建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年10月号〉

interview

地域経済成長戦略の予算化への努力は惜しまない

――全国道路利用者会議の副会長の就任決定
  北海道の道路整備の必要性をアピール

北海道議会議員 建設常任委員長 柿木 克弘氏

柿木 克弘 かきき・かつひろ
昭和43年1月26日 美唄市進徳町に生まれる
昭和61年 美唄東高等学校卒業
平成 2年 札幌大学経営学部卒業
     北海道議会議員(現参議院議員)伊達忠一秘書
平成 3年~6年 衆議院議員 佐藤静雄公設第2秘書
平成 7年 美唄市史上最年少(27歳)で市議会議員当選
平成11年 美唄市史上最年少(31歳)で道議会議員当選
平成14年 道議会環境生活常任委員会副委員長に就任
平成15年 道議会議員2度目の当選
     道議会少子高齢社会特別委員会副委員長に就任
     道議会自民党政策審議委員会副委員長に就任
平成16年 道議会史上最年少で代表質問(36歳8ヶ月)
平成17年 産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会副会長
     道議会自民党政策議員会筆頭副委員長
平成18年 道議会議員3度目の当選
【主な役職】
道議会建設常任委員会委員長
自民党道連青年局長
自民党道連政調会長代理
農業振興議員連盟副会長
社会福祉振興議員連盟幹事長
防衛議員連盟事務局長

美唄市選出の道議会議員柿木克弘氏(39)は今春の道議選で3選を果たし、改選後の臨時道議会で建設常任委員長に就任した。30代で建設委員長になったのは道議会史上初めてのこと。柿木氏は美唄市出身。札幌大学卒業後、道議、衆議の秘書を経て、平成7年に27歳で最年少の美唄市議に初当選。11年には道議選に打って出て道議会デビューを果たした。全国道路利用者会議副会長への就任も決まり、いま平成20年度政府予算編成に向けて予算獲得の知恵を絞っている。建設産業に対しては意識改革を強調するとともに、「地域のニーズを掘り起こし国、道へどしどしアピールしてほしい。予算化への努力は惜しまない」と、小泉構造改革で疲弊している地域の活性化に心を砕く。道議選での重点公約の一つが、「歩いて暮らせる『コンパクトシティ』の実現」だ。2期目の実績であるJR美唄駅東側の道営住宅に続いて同駅西側にも道住の誘致を目指して奮闘している。柿木道議に建設委員長就任の抱負などを聞いた。
――道議3期目の当選と建設常任委員長の就任おめでとうございます。30代の建設常任委員長は道議会史上初めてのことと伺っています
柿木
常任委員長ポストは会議の中では3期目に割り当てられます。道議会自民党は現在、3期目が6人いますので、ある程度は本人の希望がかなえられます。おやじ(佐藤静雄・元国交省副大臣)は建設畑が中心でしたので、自分としてもチャレンジしたい気持ちはありました。
――建設委員長就任後、どのような活動をされましたか
柿木
委員会はまだ数えるくらいしか開催していませんが、入札制度についての議論、それに8月2日から東京に出張し、20年度政府予算編成に向けての中央折衛で東日本高速道路、国土交通省、衆参各議員会館を回り、当時の中川幹事長には直接お会いし要請活動を行ってきました。
――手ごたえはありましたか
柿木
例年なら7月上旬には補助事業の要望額がまとまっていますが、道の08年度予算で470億円の収支不足に陥ることが判明したため、要望額を決定できないまま事業内容だけで金額が空欄になっているという、前代未聞の要請活動になりました。
――8月20日になってようやく要望額がまとまったようですね
柿木
国からの補助を受けて道と市町村が公共事業を行う補助事業の要望額は、国費ベースで本年度当初比7%減の1,960億円。概算要求の期限に何とか間に合いました。 北海道道路利用者会議の会長として10月の全国大会(全国会議の副会長に就任予定)に出席の予定ですので、その機会に独自に省庁への要請活動をしようと建設部長とも話しているところです。
――道の財政は依然として厳しいようですが、改善の兆しは見られませんか
柿木
21年度はさらに悪化するのではと心配しています。参議院議員選挙でおわかりのとおり、地方にとって小泉構造改革のダメージが予想以上に大きかった。北海道はたかが130年の歴史しかありません。この間、第一次産業の農林水産業や商工業がそれぞれの地域を支えてきました。 公共事業費が年々削減されていますが、道路整備など地域の要望は多い。例えば高規格道路の整備率は全国平均が61%なのに対し、北海道は41%の水準に甘んじています。他府県に比べて面積が広大で都市間の距離が長いハンディをどう克服するか、医師不足の中で救急医療体制の確立、観光立国として観光ルートの整備などの課題を解決するためにも高規格道路を全国平均並みに整備するのは喫緊のテーマでしょう。 知事選後の07年度道補正予算で道は当初、投資単独事業のうち特別対策事業の通常分を前年度当初対比3%削減の数字を計上する方針でしたが、建設委員長として道幹部に強く訴え、116.1%の伸び率を確保できました。 形のあるものはいずれ壊れると言いますが、施設の維持修繕費がこんなに削られては、施設の長寿命化は図れません。最近、アメリカで橋梁の崩落事故がありましたが、わが国にとっても他人事では済まされません。
▲高橋はるみ知事圧勝、美唄市が65%の投票率だった。
握手を交わす高橋知事と柿木道議
――建設産業の現状をどう見ていますか
柿木
私の選挙区である美唄市もそうですが、地方の建設業界は本当に苦しんでいます。公共事業費がピーク時に比べて半減しているのに、建設企業はそんなに減っていませんから、合併のメリットが期待できない。北海道開発庁(局)の存在が大きかったと思いますが、建設産業に限らず「国が面倒を見てくれる」という意識が強かったのは否めません。意識改革が必要です。多少でも余裕がある企業は新分野へ積極的に進出してほしいと思いますが、半面、明日の飯にも困るような零細企業も少なくありません。彼らは地域の事情をよく知っていますので、地元のニーズを掘り起こし、予算措置の要望をどしどし上げてほしいと言っています。歩道が雑草に覆われ自転車も通れない所が美唄市内にあって、道にお願いして調査費を付けてもらいました。利益誘導と言われようが、地元の要望を汲み取って事業(仕事)を作ることもわれわれの役割だと思っています。 いずれにしろ後世にツケを残してはなりません。「先輩はいいまちをつくってくれた」「ふるさとが大好きだ」と、後々の世代に評価してもらえるマチづくりに取り組んでいきたい。地方を守るための改革が急務です。
▲握手を交わす安部首相と柿木道議
自民党道連青年局長就任(5月26日)
――マチづくりで特に力を入れている施策は
柿木
期目に取り組ませてもらった事業ですが、JR美唄駅の東側に1棟29戸の道営住宅を建設しました。29戸に126人の募集が殺到しました。高齢者も含めて歩いて暮らせるマチづくり、「コンパクトシティ」の推進に取り組んでおり、3期目の重点公約の1番目に挙げております。美唄の炭鉱跡地には高齢者世帯ばかり約30世帯が暮らしている集落がありまして、バスの便が悪くなり、一方で除雪経費の自治体負担も大きい。今度は駅西側に道営住宅を建てて、こうした集落の人たちに住んでもらうことや、子育て支援や高齢者対策を、しっかり行える街づくりを進めていきたいと思います。
――建設業界に対しては、道もソフトランディング対策を講じているようですが、美唄で成功している事例はありますか
柿木
そうですね。数年前に先代社長が亡くなり、いまはご子息の代になっている会社ですが、地鶏を育ててそば店を開業したり、全国チェーンの焼肉店のフランチャイズ店を経営し、成功しています。こうした努力をしている会社は私としても応援したいですね。
▲元・巨人軍の王選手にサインをもらう
柿木少年(小学3年)
――入札制度の改革も重いテーマです。道は、道発注の公共工事での談合防止のため入札契約制度の適正化方針をまとめました
柿木
一般競争入札の対象を、現行の予定価格5億円以上から、来年4月には1千万円以上に拡大することが柱になっています。 建設委員会として今後本格的に議論していくことになるでしょうが、入札参加資格基準をより厳格にし、地元への納税額や社会貢献度も斟酌したらいいと考えています。   

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