建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年8月号〉

ZOOM UP

世界自然遺産「知床」への玄関口

――中標津空港ターミナルビル増築建物平成20年春オープン

中標津町 中標津空港ターミナルビル増築工事

中標津空港(第三種空港)は、中標津町周辺にある貴重な観光資源を背景に、観光利用者の増加が見込まれることから、ターミナルの増築が進められている。計画に当たっては、外観、内装については既存ターミナルビルが、当時の建築基準法第38条認定を取得した木造と鉄筋コンクリート造りの混構造建築物となっているので、それに合わせて調和を図ることにした。 これに基づき、林野庁のモデル木造施設の一つに指定されており、エゾマツ・トドマツの大断面集成材を主要な架構に用いて、大規模木造建築の可能性を追求している。開口部の木製サッシ及び木製ドアには桜を用い、天井材を兼ねる化粧野地板はカラマツ難燃処理材、2Fフロアー、階段のフローリングは楢、固定橋の内装及び外装にはカラマツ・トド松、キャノピー庇部分にはカラマツ羽目板が用いられている。 全体の構造としては、1階ロビーは吹抜を採用し、木造による大空間を強調。2階搭乗待合室及び出発ロビーは、天窓による自然採光としている。接合用鋼板を部材内部に挿入し、接合金属がなるべく目立たないよう工夫した。

また、増築部は鉄筋コンクリート造りの耐火建築物として計画し、既存施設との間を区画する。つまり、エキスパンジョイントで区分し、柱スパンは、X方向を3m十5.5m+5.5m+5.5m、Y方向を10m+5.5m+10m+7mとして既存施設に合わせている。階高については、2階は既存の階高レベルに合わせるが、3階のレベルに合わせると、天井内での設備及び電気の配管・配線がスムーズに納まらないため、既存階高より高くする。 避難経路は既存の経路を変更せず、既存棟と2方向の避難も確保できる構造としている。東側の道管理事務所棟との隣棟距離については、延焼の防止に配慮している。既設区画との壁を撤去し、防火シャッターを設置する。 ビルのバリアフリーを考慮し、既設2階固定橋から車椅子利用者の為のエレベーターを配置する。ターミナルビルを利用する高齢者、身体障害者等の交通弱者の移動の円滑化を実現するため、「交通バリアフリー法」に基づく「旅客施設共通のガイドライン」に沿って設計する。視覚障害者については、航空会社職員等が適切に誘導をするが、ターミナルビルの旅客正面入口から、誘導員が常駐する航空会社カウンター及び案内カウンターまでは、視覚障害者誘導川床材を設置し、旅客用出入口の総合案内(点字触知図)から航空会社カウンター及び案内カウンターまで誘導する形となる。 国際線チャーター便に対応するため、各検査エリアを搭乗待合室、バゲージクレーム旅客通路部分に確保し、チャーター便の運用がスムーズに出来るよう計画する。

建築概要
構  造
 ターミナルビル本館 鉄筋コンクリート造3階建
 固定橋エレベーター棟 鉄筋コンクリート造2階建
 付属棟(ゴミ庫、プロパン庫)コンクリートブロック造平屋建
建築面積
 2,427m2(既存部:1,593m2+増築部:834m2
中標津ターミナルビル増築工事に貢献
HOME