建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年8月号〉

寄稿

活力ある宗谷づくりをめざして

―北海道稚内土木現業所 平成19年度事業概要

北海道稚内土木現業所長 葛西 勝栄

葛西 勝栄 かさい・かつえい
昭和24年9月7日生 室蘭工業大学土木工学科卒
昭和49年 室蘭工業大学助手
昭和51年 小樽土現共和出張所
昭和55年 小樽土現蘭越出張所黒松内事業所
昭和62年 室蘭土現治水課河川係長
平成元年 商工労働観光部企業立地推進室工業基地第一課主査
平成 3年 土木部砂防災害課砂防係長
平成 5年 函館土現治水課長
平成 7年 旭川土現治水課長
平成 9年 建設部空港港湾課主幹(苫小牧管理組合派遣)
平成11年 建設部砂防災害課長補佐
平成13年 小樽土現企画調整室長
平成14年 留萌土現事業部長
平成16年 監査委員事務局技術監査課長
平成18年 宗谷支庁稚内土木現業所長

地域の皆様には、日頃から稚内土木現業所が実施しております各種事業の推進につきまして、ご理解とご協力を頂き厚くお礼申し上げます。
宗谷地域は、その豊かで美しい自然環境を活かし、水産業・酪農業・観光を基幹産業として発展しており、最北に位置することからサハリンとの交流も積極的に行われています。
しかし、地理的に道央圏や中核都市までの距離が長く、道路が交通手段の中心となっている地域が多いため、高度医療機関への移動時間の短縮や冬期間を含めた通年の交通確保が求められており、また、地域の方が安心して暮らせるよう、災害に備えた砂防などの治水対策も重要となっています。

一方で、北海道開発関係予算などの社会基盤整備の事業については、国や道の厳しい財政状況から、抑制基調が続いています。
このような状況を踏まえ、稚内土木現業所では、事業の効率化と重点化を図りながら地域のニーズを的確に捉え、豊かな暮らしと自然に満ちた活力ある宗谷づくりをめざして、事業展開を図っていきます。
さて、平成19年度の主な事業概要ですが、道路事業では、災害に対する安全性の確保に向けて、枝幸音威子府線の歌登トンネルで今年度の掘削貫通を目指すとともに、礼文島線起登臼地区で落石対策に新規着手します。
また、冬期交通の安全性の向上を図るため、利尻富士利尻線など新規1路線を含む9路線で防雪対策を進めます。

▲沓形仙法志鴛泊線の落石状況 ▲枝幸音威子府線歌登トンネル工事(枝幸町)

交通ネットワークの強化として、国道40号豊富バイパスとオホーツク方面とのアクセス向上を図るため、豊富浜頓別線の整備を促進するとともに、離島の交通を支える道路として、礼文島線、沓形仙法志鴛泊線、利尻富士利尻線などで整備を進めます。
今年度は新たにシーニックバイウェイルート関係として、景観スポットである宗谷丘陵の上猿払清浜線において駐車帯の整備を行います。
さらに、街路事業では、快適な都市空間の創出を目指し、3.4.7オホーツク通(枝幸町)で整備区間の延長を図るとともに、3.4.6波止場通(稚内市駅前広場)の整備に向け事業を進めます。

▲豊富浜頓別線改築工事(猿払村) ▲頓別川広域(基幹)河川改修工事(浜頓別町) ▲浜中(江戸屋)漁港防風雪施設(礼文町)

次ぎに、河川・砂防・海岸事業については、自然災害から尊い人命や財産を守るために、積極的に整備を促進し、安全で安心して暮らせる地域づくりをめざしています。
先ず、河川事業では、頓別川の広域基幹河川改修などにおいて、河畔林の保全、植生の復元に配慮した築堤工、護岸工等を実施するとともに、市街地での氾濫被害を防ぐため、新たに稚内市のクサンル川において改修を行います。砂防関係では、大雨等による土砂災害の備えとして利尻島の雄忠志内川やアフトロマナイ川などで砂防事業を継続するほか、沼の沢川を含む2河川で新たな整備に着手します。急傾斜地崩壊対策事業では稚内市東浦地区など2箇所で整備を進めます。
また、生活環境の改善と河川等の水質保全を図るため、頓別川で河畔林の整備を行うとともに、過疎地域の下水道整備を市町村に代わって行う過疎下水道代行事業では、利尻富士町の2地区と礼文町船泊地区で処理場施設などの整備を進めます。

▲上猿払清浜線〔宗谷丘陵〕)駐車帯イメージ(稚内市) ▲頓別川河畔林植樹(浜頓別町)

漁港事業では、水産物の安定供給を図るため、漁場との一体的、総合的な整備を進めており、浜鬼志別漁港や音標漁港など20箇所の漁港で引き続き整備を進めるとともに、新たに利尻町の蘭泊漁港で地域水産物基盤整備事業に取り組みます。
このほか、道立宗谷ふれあい公園では、指定管理者や関係機関と連携を図りながら様々なイベントを企画し、これからも親しまれる公園づくりをめざします。
最後になりますが、宗谷管内のさらなる発展のため、地域との連携・協働を図りながら、より効率的・効果的な事業の実施に向けて、職員が一丸となって努力して参りますので、今後ともご理解とご協力をお願い致します。

網走管内の発展に貢献します
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