建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年8月号〉

寄稿

豊かな自然環境と調和した地域づくりを推進

―北海道網走土木現業所 平成 19年度事業概要

北海道網走土木現業所長 野坂 俊夫

野坂 俊夫 のさか・としお
昭29年1月生 北見市出身、北大工卒
平成元年 網走土現治水課河川係長
平成 4年 札幌土現同河川改修係長
平成 6年 土木部河川課主査、平7同治水係長
平成 8年 同計画係長
平成 9年 建設部同
平成10年 札幌土現治水課長
平成13年 建設部河川課長補佐
平成15年 同河川課主幹
平成16年 留萌土現事業部長
平成17年 同建設部河川課長
平成18年 現職
網走土木現業所の平成19年度予算は、国の公共投資の見直しや、道の財政立て直しプランなどによる公共事業費の抑制の影響もあり、補助事業で概ね183億円と、平成18年度当初予算約189億円に比べると3%程度の減額が見込まれます。
当所が所管するオホーツク管内は、世界自然遺産登録された『知床』やラムサール条約登録湿地に指定された『濤沸湖』をはじめとして、森と湖と海とが調和した豊かな自然を有しています。この特色のある、恵まれた自然環境と調和を図りながら、安全・安心で個性ある地域づくりを行うため、選択と集中の視点に立って、より効果的・効率的な事業執行に努めます。
道路関係事業
広域分散型社会を形成しているオホーツク管内は、道路交通に多くを依存する地域特性であることから、物流の効率化、管内外との交流や観光客の利便性向上を図るため、道路ネットワークの拡充整備を推進します。また、自然災害に対する危険箇所の解消や緊急輸送を確保する道づくり、さらに地域のまちづくりと一体化した施設整備を進めます。
▲3・4・5中央通1種改築事業
道路事業
道路事業については、補助事業として概ね84億円で83箇所の事業執行を予定しています。
・道路改良事業では、金八トンネルを施工中の紋別丸瀬布線(紋別市・遠軽町)と、本工事に本格着工する大観山公園線(網走市)の2路線について継続して整備を進めます。
・道路の安全対策である災害防除事業は、知床公園線(斜里町)で引き続き重点的な落石対策を進め、知床の重要観光路線としての安全を図ります。
・冬道対策としての防雪事業は、士別滝上線(滝上町)など4路線において、スノーシェルター、防雪柵等の整備を行い「冬に強い道づくり」を目指します。
・交通安全事業では、嘉多山美幌線(美幌町)など9路線で交差点改良や歩道の整備、中央帯設置、路肩改良等の安全対策を進めます。
・臨時交付金事業では、斜里停車場美咲線(斜里町)、網走端野線(網走市、大空町)など、前年を大きく上回る50箇所で橋梁整備、線形改良、路盤改良等を行います。
・地方特定事業では、置戸温根湯線(北見市)など17路線で法面工、現道対策などの整備を進めます。
▲小石川基幹河川改修事業
街路事業
街路事業については、補助事業として概ね28億円で17箇所の事業執行を予定しています。
・改築、立体交差事業では、4月オープンの「道の駅しゃり」に隣接する3・4・4斜里網走通(斜里町)や、3・4・7野上通(遠軽町)、3・4・25大正通(北見市)など7箇所で、引き続き用地補償や本工事の進捗を図ります。
・交付金事業では、3・4・45斜里網走通(斜里町)など2箇所で事業実施します。
・地方特定事業は、3・4・5中央通(北見市)など8箇所で行います。
下水道事業
知事代行の下水道事業については、湧別町処理場の電気・機械設備の整備を行います。
公園事業
道立広域公園整備事業として、オホーツク流氷公園(紋別市)の園路、広場等の整備工事を行います。
空港事業
女満別空港(大空町)において、灯火整備を完了させるとともに、計器着陸装置(ILS)の双方向化事業に着手し、一層の施設整備を図ります。
▲士別滝上線防雪事業(スノーシェルター)
治水関係事業
治水関係事業では、近年全国的に多発している集中豪雨や台風による水害、土砂災害等の自然災害に対応する安全性の高い保全施設の整備を推進します。整備にあたっては、安心できる国土の形成(安全)、自然環境と調和した生きている川づくり(うるおい)、個性あふれる地域づくりと連携強化の支援(活力)、人と水のかかわりの再構築(ふれあい)の4本柱に基づき進めます。
漁港関係事業では新長期整備計画に基づき物流効率化やHACCPなどの品質・衛生管理にも対応する漁港施設の整備を進めます。また、海岸整備では、侵食を防止して国土保全に努めるとともに、人命・家屋・財産を高潮、波浪などから守ります。
治水事業
治水事業については、補助事業として河川改修、砂防関係合わせて概ね41億円で18箇所の事業執行を予定しています。
・河川事業では近年の大雨により多大な洪水被害を受け改修中の佐呂間別川(佐呂間町)、芭露川(湧別町)、小石川(北見市)、斜里川(斜里町)、興部川(興部町)などの河川に加えて、新たにオコツナイ川・ポンオコツナイ川(雄武町)の計12河川について、水辺や周辺の環境に配慮しながら改修整備を進め、洪水被害の解消に努める予定です。
また、女満別川(大空町)など3河川において堤防の質的改良を継続します。
・砂防事業では土石流などの土砂災害を防止するために通常砂防事業として呼人川(網走市)、8線の沢川(佐呂間町)で自然環境や景観に配慮しながら施設整備を進め、稲積川(置戸町)では事業の完了を図ります。
・地すべり対策事業では遠軽町の生田原地区において、引き続き横排水ボーリングによる地下水低下対策を行い安全率の向上を図ります。
▲湧別地区(芭露漁港)地域水産物供給基盤事業
漁港・海岸事業
漁港・海岸事業については、補助事業として概ね24億円で12箇所の事業執行を予定しています。
・漁港事業では広域漁港整備事業として斜里漁港(斜里町)、常呂漁港(北見市)、湧別漁港(湧別町)、雄武漁港(雄武町)について、衛生管理型への対応を考慮しながら静穏対策等の漁港施設整備を進めます。
また、地域水産物供給基盤整備事業として呼人漁港(網走市)、富武士漁港(佐呂間町)、芭露漁港(湧別町)、沢木漁港(雄武町)、興部漁港(興部町)について、環境に配慮しながら漁業生産活動の拠点となる漁港施設の整備を進めるほか、新たに幌内漁港(雄武町)に着手します。さらに、常呂漁港(北見市)では高度化(活性化)事業に取り組みます。
・海岸事業では、侵食の著しい沢木漁港海岸(雄武町)について、引き続き整備を促進します。
網走管内の発展に貢献します
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