建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年7月号〉

interview

個人向けユーザーにアプローチし幅広い施工に対応

――中国人留学生との交流で優秀な人材確保を図る

株式会社 エスケー石材企画 代表取締役 中股 敬 氏

中股 敬 なかまた・たかし
出  身:北海道常呂町
生年月日:昭和32年3月24日
昭和55年3月東北工業大学卒業
昭和55年4月イワクラ工業株式会社(建築)
昭和58年4月網走交通株式会社(土木)
その後、大一興産株式会社(造園・石)、株式会社フジ大理石札幌(石)に勤務の後、
平成2年7月株式会社エスケー企画を設立。
平成6年3月に株式会社エスケー石材企画に社名変更をして現在に至る。

 ホテルや公共施設のホール、ロビーなどの床材として利用されることの多い御影石などの自然石には、悠久の時が育んだ風格と高級感があり、建築空間に気品と潤いを与えてくれる。そして何よりも大地の贈り物である自然石は環境にもやさしい最高の素材であり、その存在感が創造する空間や風景は人類共有の財産といっても過言ではない。マイホームのリフォーム需要が高まるなか、見た目も美しく、住まいの印象をグレードアップさせる自然石は外壁や玄関、アプローチのほか、インテリア素材としても注目されはじめている。 しかし、石材業界を取り巻く環境は急速に変化している。長くゼネコンの下請に甘んじてきたため、バブル崩壊後、公共事業の激減に伴って石材工事の受注が大幅に目減りし、業界は青息吐息の状態という。そんな業界にあっても下請からの脱皮を目指し、個人住宅などの一般向けユーザーに営業のターゲットを向け、ユーザーと直接対話しながら、それぞれのニーズに応じた施工に取り組んでいる、株式会社エスケー石材企画の中股敬社長に最近の石材事情などを聞いた。
――まず会社のプロフィルからお聞きします
中股
わが社は平成2年7月、施工図作成、発注業務及び施工管理、工程管理を主な業務として設立しました。その後、公共工事、民間工事における石材工事の設計施工及び国内産、外国産石材の販売も手掛けるようになり、現在に至っています。建設、内装、造園関係の企業から幅広く受注し、墓石以外ならすべての石材工事を手掛けています。
――最近の受注実績としては、どのような施工例がありますか
中股
平成17年度の工事実績では、公共工事は道立有朋高校新築工事、札幌市立屯田中央中学校改修工事、札幌市立大学スカイウォーク展示場改装工事、札幌市南2条西11丁目歩道改修工事、丘珠空港緑地造成工事、岩見沢市ほのぼの公園造成工事、留萌管内遠別町旭温泉外溝工事など、民間工事では温浴施設、マンション、医療施設、ホテル、デパートなどの新築、改修工事を請負業者から多数受注しています。現在、取引企業は50社以上にのぼっています。
――中股社長は建築、土木、造園関係の企業に勤めたあと独立されましたが、石材業界に入られた時の印象は
中股
すごく閉鎖的な業界だなあと感じましたね。ちょうどバブル時期だったこともあって皆さん自信に満ち溢れて元気でしたが、「お山の大将」のようなところがあって、今になって考えると、周りが見えていなかったと思いますね。石材工事は、ゼネコン等から受注するだけの「待ちの姿勢」が染み付いていましたから、バブル経済が崩壊し、長期の不況が続くなか、どうしたら仕事が綾られるか、打開策を見出せていないのが現状でしょう。
墓石以外の石材工事は、大きく分けて建築石材と護岸工事、公園造成などの環境石材がありますが、公共事業が激減したため、環境石材一本できた会社は瀕死の状態です。わが社のように両方の分野を施工しているのは、札幌では2、3社を数えるぐらいです。
▲小樽都通商店街アーケード改修工事
――特に力を入れている石材工事はありますか。
中股
どちらかと言えば、建築より内装関係でしょうか。例えばデパートなどの店舗改装は納期が短いため、内装業者と一緒に現場に張り付いて突貫工事で施工をしますから、やりがいを感じます。
▲浜頓別町役場庁舎新築工事
――ところで石は自然素材ですから地球環境にやさしいという面では今の時代にマッチしている半面、高級感がありますから、勢い価格面で「高嶺」のイメージがあります。団塊の世代が大量に定年する時代を迎え、戸建て住宅のリフォーム需要は高まりそうでが、個人向けユーザーの開拓にはどう取り組んでいきますか。
中股
業界としてはその点が一番の悩みです。これまで多くの会社がゼネコン等の下請けで生きてきましたから、営業力が弱いのが最大の弱点。個人向けユーザーにアプローチするには、施工単価のコストダウンを図るため商社などの中間マージンを省く必要がありますから、それなりのリスクがあります。
当社も個人向けユーザーの需要をどう取り込むか、2〜3年前から鋭意努力してきました。これからは一般ユーザーに一歩でも近付くため、下請から脱皮して、お客様と直接対話しながら、石材のメリットや施工単価を正確に伝えることに重点を置きたい。石はどうしても「高い」というイメージを持たれがちですが、ひと口に「石」といっても何百種類もあって、価格帯は千差万別。
例えば、3m2の玄関の床を石材にリフォームするなら10万円程度でできます。また、玄関アプローチは3年〜5年でヒビ割れが生じやすいコンクリート製品に比べると、石は半永久的であり、欠けた程度なら補修も可能なので、長い目で見れば安いかもしれません。当社は専属の職人を多く抱えていますので、個人住宅の小規模工事でも対応できる態勢を整えています。今後は道内はもとより東京以北を視野に入れて営業展開していこうと考えているところです。
――中国産の開拓にも取り組んでいるとのことですが
中股
上海などに年に1〜2回行っています。まだ全ての工場ではありませんが、中国の石の加工技術は国産と変わらないほど格段に進歩しています。納期が短ければ国産の石を使いますが、中国産は4週間程度で納入できます。商社を通さず直接輸入できるよう中国とのパイプを太くすることもこれからの課題です。最近、札幌近郊の大学で学ぶ中国人留学生と交流し、卒業後の雇用を考えているところです。
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