建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年6月号〉

寄稿

全ての住戸を暖かい南向けに配置

――身障者世帯のために3LDK分のスペースで2LDKを構築

株式会社都市設計研究所 代表取締役 一級建築士 マンション管理士 松田 真人 氏

松田 真人 まつだ・まこと
1973年 4月〜1977年9月(株)大高建築設計事務所にて、住宅地 計画及び記念館、博物館の設計に携わる。
1977年10月(株)都市設計研究所 入社
1982年 7月(株)都市設計研究所 取締役副所長
1992年 7月(株)都市設計研究所 代表取締役、現在に至る。

帯広市(仮称)柏林台団地の型別供給は、帯広市における道営住宅の位置づけ及び道営住宅整備指針に基づき、地域の住宅事情や住宅需要を勘案して決定しています。 その基本は、現入居者の世帯人員より「2DK:2LDK:3LDK=1:2:2」の割合で供給し、計画戸数は現段階で69戸とする。型別比率、戸数は入居者属性・意向調査後に最終決定する。各型別の住戸専用面積・平面プランは「北海道営住宅設計指針」の住戸標準・参考平面に基づく。障害者向け住戸の住戸専用面積・平面プランは2LDKですが、専用面積としては一般3LDK相当を確保する。第1期工事で39戸分を確保し、既存R13・R19の入居者を移転させてから2期工事30戸分を建設し、2期工事分はR18の入居者移転分と公募とする。構造は、壁式鉄筋コンクリート造5階建て、外断熱方式とする。ただし、6階以上となる場合は鉄筋コンクリート(ラーメン)造、内断熱方式とする、というものです。そこで住戸の型別供給計画においては、型別供給戸数の比率は2DK:2LDK:3LDK=1:2:2となります。

一方、地盤条件については、計画敷地のホーリングデータがないため不十分なので、建設の際には、住棟の配置計画に合わせて、再度土質調査をする必要があります。参考までに隣地の帯広市営住宅R-6号棟のデータをもとに、予想される地盤状況を検証すると、支持地盤は,最も深いところでGL-9.0m寸近と考え、東側に向かって徐々に浅くなっていると考えられます。したがって、基礎地業としては8.0m程度の杭基礎が適切と思われます。
これらを踏まえて、配置、コスト、工事計画、駐車場配置、物置・駐輪場の配置、住棟毎の住戸タイプバランスの項目について検討しました。その結果、全住戸南向きの直線的配置がコストが安くなります。工事計画としては1期:39戸(組込集会所1ヶ所)、2期:30戸とし、駐車場の配置は期毎に2ヶ所に配置し、将来において連結しやすい形状としました。物置は利用率を考えて配置し、駐輪場は期毎に配置。住棟毎の住戸タイプバランスは2DK:2LDK:3LDK=1:2:2程度としました。全住戸南向き(全住戸同条件)であるため、南側敷地が広く、集会所の前に庭を連動することもできます。

外観において、特に色彩計画に関しては、隣接する帯広市営住宅との調和をとる方向で団地全体の景観を考慮し、この計画では妻側外断熱工法一鋼板システム(通気工法)、バルコニー面外断熱工法−ビーズ法ポリスチレンフオーム(湿式工法)を基本として計画しました。また、鋼板部分は塗装鋼板の標準色を参考に選別します。
これらについても様々に検討しました結果、妻側鋼板をシルバー色とし、下部1層までを02-80H(2005年C版)、上部を25-90C(2005年C版)とすることにしました。
検討に当って留意すべき点は、妻側鋼板部分が近隣市営住宅と違い、歩道面から近いため、濃い色彩にすると歩行者が圧迫感を感しやすいことで、そのためなるべく明るい色彩にし、庄迫感を軽減することでした。
なお、建築の概要については、前表の通りです。




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