建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年6月号〉

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いよいよ動き出した補正・ゼロ国債工事の現場

――補正6,082億円で建設業不況にテコ入れ

国土交通省 北海道開発局 補正予算・ゼロ国債

2月に成立した平成18年度の国土交通省関係補正予算と、19年度のゼロ国債に基づく工事が発注され、各現場で施工に向けて動き出した。この補正は18年に発生した台風、豪雨、竜巻などによる被害の早期復旧のための災害復旧関係と、水害などの再度災害防止、緊急震災対策、交通の安全確保、竜巻対策など、緊急の対応が必要な災害防止事業が目的で、総額は6,082億円。このうち建設事業の平準化のためのゼロ国債は2,463億円となっており、低空飛行が続く建設業の下支えとなった。
災害復旧関係は、平成18年の発生に係る台風、豪雨などによる河川の被害の早期復旧など一般公共事業費は5,879億円で、公共土木施設の災害復旧事業や災害防除事業が実施されている。
内訳は治水関係は1,283億円、海岸は114億円で、18年の豪雨などによる被災地域の緊急対応が行われるほか、河川堤防の詳細点検結果を踏まえた緊急改修、首都直下地震などを踏まえた河川・海岸堤防の耐震対策などが実施される。
道路関係は2,724億円で、被災地域などの緊急的な法面対策、孤立化防止対策、首都直下地震などを踏まえた橋梁耐震補強、交通安全基本計画、踏切交通実態総点検を踏まえた緊急的な交通安全、踏切安全対策が実施される。

港湾空港・鉄道では、港湾関係は244億円で、18年に発生した台風や低気圧などによる波浪により、防波堤が整備中の港湾内で、港湾施設の被害や船舶の動揺による荷役障害等が発生。荒天時における港内静穏度の向上が緊急課題となっているため、そのための整備に着手している。
また、首都直下地震などの大規模地震の発生が切迫する情勢で、18年4月に策定された「首都直下地震の地域防災戦略」を踏まえ、地震発生時に甚大な被害が予想される地域への緊急物資等の海上輸送の確保等が喫緊の課題となっている。さらに、18年2月に指定された「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域」においては、地震発生時の津波による甚大な被害が予想され、津波被害の防止・軽減対策も緊急課題となっている。
これらを踏まえ、被災地域における再度災害防止等や緊急震災対策として、港湾整備事業においては「被害地域等における外郭施設等の緊急整備」、「首都直下地震等を踏まえた耐震強化岸壁等の整備」に予算の追加配分が行われた。

空港関係は28億円で、被災した空港舗装の緊急的な剥離防止対策、首都直下地震などを踏まえた空港の安全・機能確保のための整備が行われる。この他、航路標識関係は8億円で、被災地域の航路標識の緊急的な耐波浪補強や、航路標識の耐震補強、さらに灯器の免震化が実施される。都市・幹線鉄道関係は7億円で、鉄道の安全対策に必要な運転保安システムの緊急改修を実施。
その他、都市型インフラについては、住宅関係は28億円で市街地整備関係は15億円。18年の豪雨などによる緊急的な被災住宅地の水害対策を実施。下水道関係は287億円で、被災地域の雨水貯留施設や管渠などの緊急整備、首都直下地震などを踏まえた重要幹線の耐震化が行われる。都市公園関係は134億円で、首都直下地震時の避難地・防災拠点となる都市公園を整備する。その他、官庁営繕費は203億円で、官庁施設などの耐震化、東京湾臨海部基幹的広域防災拠点施設(川崎港東扇島地区)を整備する。

この補正予算のうち、公共事業の発注平準化措置を目的に、19年度予算を前倒しで執行する国庫債務負担行為(ゼロ国債)は2,463億円となっている。本道は補正236億、ゼロ国債828億円。
北海道分については、緊急防災対策のための直轄事業費は359億円、うち一括配分は236億円。補助事業費は12億円、うち一括配分は11億円で計371億円。ゼロ国債分については直轄分が606億円で、一括配分は108億円。補助は222億円で一括配分は121億円で、計828億円となった。
特に、北海道は冬期間に土木施工の中断を余儀なくされるという現状を考慮し、公共事業の円滑かつ効率的な執行を計る上では、ゼロ国債による事業の平準化は重要である。一方、自治体の財政難から、地元での公共事業が激減する反面、入札制度改革によって、必要以上に競争が激化したために低迷する道内建設業界にとっても、ゼロ国債などによる前倒し発注は、一時的にもカンフル剤としての効力が期待される。
これらの事業費によって実施される主な事業は、近年の台風災害に対応した石狩川、常呂川などにおける洪水対策や、豪雨災害の被災地における土砂災害対策、再度災害防止のための海岸事業、豪雨による地域の孤立化を防ぐための道路斜面対策、日本海・千島海溝型地震に対応するための耐震対策、その他の大規模地震を踏まえた空港の安全・機能確保のための整備、低気圧災害を受けた漁港施設の越波対策などが行われる。


補正・ゼロ国債工事に貢献
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