建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年5月号〉

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JR跡地を有効活用した道営釧路ことぶき団地

まちの元気を取り戻す住宅に

釧路市 釧路市道営住宅(ことぶき団地)

北海道が建て替えを進めている釧路市のことぶき団地は、JR跡地を活用したもので、高低差はなく、ほぼ平坦な形状となっている。周辺環境は、北側に集合住宅地があり、南側は大型店舗及び一般住宅地、東側はJR用地(パーク&トレイン用駐車場)に接し、そして西側は寿小学校に接している。また、JR釧路駅のほか、1km以内に市役所、郵便局、病院保育所などの公共施設が整っており、生活上の利便性が高い。 建て替えに当たっては、ことぶき団地の役割を『まちの元気を取り戻すこと』との視点に立ち、地域特性に応じた快適な住環境を創造し、釧路のランドマークとして魅力ある都市空間の形成を図ることを基本理念とした。 それに基づき、まちなかにおける道営住宅のあり方として、市街地活性化に寄与する賑わいの拠点づくリを目指し、賑わい創出、既存小公園の活用、駐車場とスクールゾーン対策、景観に対する配慮、騒音対策とプライバシーの確保に配慮した。 また、コミュニティー形成と防災等に配慮した安心して暮らせる住環境づくリを目指している。

配置計画

配置計画としては、各棟を東西方向に直列に接続し、8階建てとすることにより、駐車場、コミュニティスペースなど適切な空地バランスとなり、また全住戸にわたり均質で良好な採光条件を確保した。 南側は既存の植樹マス及び樹木を残して緩衝緑地とし、既存小公園から連続した、ふれあいゾーン・憩いのゾーン・活動のゾーンを設け、世代間コミュニケーションが形成されるようオープンスペースを確保している。 駐車場・物置・自転車置場を北側に配置することにより、JR線路側の緩衝空間を確保し、かつ歩行者と車の動線を完全に分離している。

住棟計画

平面計画としては、各棟を連続した1棟の片廊下型とすることにより、階段・エレベーター等の共用部分を縮減しつつ利便性を確保(全体で階段は4か所・エレベーターは2基設置)。各棟の前面距離を変え壁面線に変化をもたせることで、直列配置による圧迫感・単調さを緩和。A〜B間・B〜C間の南北通り抜けが可能な共用玄関の他に、東西に共用玄関を配置することにより、複数の動線が選択でき、日常の利便性向上の他、緊急時及びメンテナンス時の対応にも有効で集会所は住棟内に設け、入居者は天候に関係なく利用できるように配置した。 ユニバーサルデザインの取組みとしては、アプローチからEVホール・階段室・各住戸・集会所までの段差解消と全ての共用玄関に隣接して、高齢者や車椅子・ベビーカー利用者にやさしい屋根のある勾配1/20のスロープを設置するとともに車イス用住戸のバルコニーにも、直接出入り可能なスロープを設置した。

住戸計画

住戸型別の構成としては、全体戸数119戸(A棟・B棟・C棟)で、ユニバーサルデザインとして、室内について段差を解消、(玄関上がり框は段差75:補助手摺設置)。住戸内の扉は車椅子でも利用しやすい引き戸を採用している。また、車イス住戸には、高さ調節可能タイプの流し台を設置し、車イス住戸の浴室内は車椅子の回転スペースを十分に配慮した。



釧路市 釧路市道営住宅(ことぶき団地)新築工事に貢献
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