建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年2月号〉

ZOOM UP

新興津地区で国際海上コンテナターミナルの関連施設整備

――大水深で地震に強い施設整備が進行

国土交通省清水港湾事務所
清水港

▲清水港
港勢

 静岡市清水区にある清水港は、本州のほぼ中央にある駿河湾の西側に位置する。神戸港・長崎港とともに日本三大美港とされ、富士山を背景に三保半島を天然の防波堤として、日本書紀の時代から繁栄してきた。明治以降は国の管轄となり、本格的な修築工事が行われ、清水波止場や日の出岸壁などが完成。昭和27年には特定重要港湾に指定され、港の拡張が行われてきた。昭和45年には初めてコンテナ船が入港し、地域のコンテナ輸送に対応した国際コンテナターミナルを有する中核国際港湾として発展している。
 背後圏には紙・パルプ、輸送機械、楽器などの製造業が立地し、内外貿易貨物物流拠点として重要な役割を担う。平成17年の取扱貨物量は約18,084千トン、外貿コンテナ取扱個数は約41万TEUで取扱量は年々増加している。そのような情勢の中、平成15年には国際貨物の主流を占めるコンテナ船の大型化に対応すべく大水深の新興津岸壁が耐震強化岸壁として完成。同年7月より供用を開始した。これは、国内三大湾(東京、大阪、伊勢)以外では初となる水深15mの大水深岸壁で、これにより「安く、早く、安全で信頼性の高い」海上物流サービスの国際競争力強化が図られる。
 また、清水港は、東京と名古屋のほぼ中間地点に位置し、内陸部である山梨・長野方面との近接性も高いことから、非常に恵まれた立地に存在する港とも言える。現在周辺地域では第2東名自動車道および中部横断自動車道の建設が進められており、その開通によって東西方面はもちろんのこと甲信方面からのアクセスが飛躍的に向上し、一段と利用しやすい港になるものと期待されている。

▲日の出マリンパーク
施設再編・空間利用

 清水港においては、今後も取扱貨物の増加が見込まれるとともに、コンテナ船の大型化が予想されていることから、さらなるコンテナ取扱機能の拡充・強化が求められている。
 現在、コンテナ貨物取扱機能が3地区(新興津・興津・袖師)に分散しているために同一機能が各地区に存在する非効率な状態であるとともに、各地区間でコンテナを横持ちするなどの荷役活動が発生している。
 そこで、今後、新興津地区を中心としてコンテナ貨物取扱機能を集約・再編することで、高機能な国際物流拠点の形成を目指している。
 一方で、物流に対し、人流面についても非常に注目度が高いことが清水港の特徴でもあり、日の出地区における賑わいは特筆すべきものがある。今後更に魅力ある港湾空間を形成すべく、港湾管理者である静岡県により様々な取り組みもなされている。新興津地区における緑地・海浜の整備が進みつつあるとともに、折戸地区では、マリーナを核とした親水空間の形成計画が検討されている。
 当事務所では今後も、港湾を利用される皆様・地域の方々・港湾管理者などの行政機関との連携・対話を図りながら、効果的・効率的な整備を実施するとともに、港を通じて様々な観点から地域に貢献していきたい。


清水港港湾建設工事安全協議会
HOME