建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年2月号〉

寄稿

第二名神高速道路(亀山東JCT〜甲賀土山IC)の建設事業状況

NEXCO中日本高速道路樺部地区

亀山工事事務所 所長 小宇佐 武司氏

小宇佐 武司  こうさ・たけし
平成 14年 11月 日本道路公団東京管理局保全部
保全第1課長
平成 17年 10月 中日本高速道路株ュ足
横浜支社保全サービス事業部
改良Tリーダー
平成 17年 12月 中部地区亀山工事事務所所長

はじめに

NEXCO中日本高速道路(株)中部地区亀山工事事務所では、近畿自動車道名古屋神戸線(第二名神高速道路)の亀山東JCT〜甲賀土山IC(インターチェンジ含まず)の建設事業を担当しています。  近畿自動車道名古屋神戸線は、愛知県名古屋市を起点に三重県、滋賀県、京都府、大阪府を経由し兵庫県神戸市に至る延長174Kmの高速道路です。  この路線は、第二東海自動車道(第二東名)と共に首都圏、中部圏、関西圏の三大都市圏を結び高規格幹線道路網の根幹として現東名・名神高速道路と一体となって我が国の産業・経済・文化の発展に重要な役割を果たす道路です。また、高規格幹線道路ネットワークの機能強化、災害時及び冬季の代替路としての役割を担う道路でもあります。  名古屋〜神戸間(延長174Km)のうち、現在工事が進められている区間は、亀山東JCT〜草津田上IC間(延長51Km)であり、この区間が完成すると既存の高速道路の開通区間と合わせ、東名高速の豊田JCT〜名神高速の草津JCT間がダブルネットワーク化することとなります。  亀山東JCT〜草津田上IC間のうち亀山工事事務所では亀山東JCT〜甲賀土山IC間(延長18.5Km)を担当しており、甲賀土山IC〜草津田上IC間の施工はNEXCO西日本高速道路椛蜥テ工事事務所の担当となっています。












路線概要

亀山東JCT〜甲賀土山IC間のうち、亀山東JCT〜亀山JCT間(延長5.3Km)は第二名神本線と既存の東名阪自動車道を接続する連絡路と位置付けられ完成4車線で工事を進めています。この亀山東JCT〜亀山JCT間は、三重県亀山市の山地部を7橋梁と1トンネルで通過することから構造物比率は71%に及びます。  工事の起点部に位置する亀山東JCTのランプ橋のうち、東名阪自動車道を横断するC及びDランプ橋の中間支点部は鋼(梁部)とコンクリート(橋脚)の剛結構造となっています。この「複合ラーメン構造」の採用により耐震性の向上が図られると同時に、支承が不要となるため維持管理費の縮減が可能となります。  また、橋梁の中には地上から路面までの高さが最大箇所で80mを越える池山高架橋があります。この橋は上部構造・下部構造ともに鋼・コンクリートの複合構造であることが大きな特徴です。下部構造うち高橋脚には「鋼管・コンクリート複合構造橋脚(ハイブリッド橋脚)」を、上部構造には「波形鋼板ウェブPC箱桁橋」を採用して自重の軽減によるコスト縮減を図っています。  次に、亀山JCT〜甲賀土山IC間(延長13.2Km)は第二名神の本線として暫定4車線(完成6車線)で工事を進めています。このうち、鈴鹿山脈東側の亀山市域は鈴鹿国定公園内を橋梁及びトンネルで通過します。  ここに位置する錐ヶ瀧橋(上り線)は連続ラーメン箱桁のウェブの一部にプレテンション方式によるプレキャスト部材を採用し、主桁の自重軽減を図っています。  また、錐ヶ瀧橋(下り線)は、連続ラーメン箱桁(3室)をFEM解析により2室の箱桁とし主桁自重の軽減を図っています。  また鈴鹿山脈下を鈴鹿トンネル(延長約4Km)で通過しています。このトンネルは片側3車線断面で建設しており、掘削断面積は従来の2車線トンネルの約2.5倍の190uとなっています。  鈴鹿山脈西側の滋賀県甲賀市側は近江の丘陵地を土工主体で通過しており、本線橋3橋梁とSAのランプ橋1橋梁のみで亀山JCT〜甲賀土山IC間の構造物比率は47%となっています。  なお、甲賀市域には上下線の駐車場を下り線側に集約した土山サービスエリアを設置しています。



事業状況

この区間は、平成5年11月19日建設大臣から施行命令を受け、平成8年3月に地元設計協議を開始し、平成9年3月に用地買収に着手、平成9年9月から工事を開始しています。現在(平成18年11月末)の用地取得進捗率は100%、工事進捗率は86%となっています。  工事状況は、土工、橋梁、トンネルなどの主要構造物は今年度末にほぼ完成し、来年度以降は開通に向け仕上げ段階の舗装工事・施設工事が主体となってまいります。



おわりに

中日本高速道路株式会社は発足以来1周年を迎えました。私たちの事業は東海・北陸地方を中心としたエリアの地域社会の発展と暮らしの向上に役立ち、さらに日本経済全体の活性化に貢献すべきものでなくてはならないと考えています。  その一環として第二名神の一日も早い開通を目指して工事を進めてまいります。

中日本高速道路葛T山工事事務所の整備に貢献
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