建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年1月号〉

ZOOM UP

アジアと静岡、北海道・九州と静岡が直結 〜平成21年3月富士山静岡空港が開港

雄大な富士を背景にジェット機が離着陸

静岡県 富士山静岡空港

順調に進む施工

静岡県が整備している富士山静岡空港は、現在、本体部の工事として山を切土し、谷を盛土する造成を実施している。盛土量全体は2,600万立方メートルで、うち平成18年3月末までに2,020万立方メートル、約78%の工事が完了した。2,600万立方メートルは東京ドーム約22杯分以上に相当するもので、我が国においては有数の土工量となる。同じ様な工法を執る広島空港でも1,900万立法メートルなので、かなりの規模だ。本年度は、3箇所の工区において造成工事を施工している。
滑走路、エプロンエ事については、17年度に滑走路西端560m区間の舗装(路盤)工事を実施し、今年度は滑走路約1,000mの工事を行っている。幅は60mで、両側に10mずつの路肩(ショルダー)があり、全体で80mとなる。舗装の厚さは、最大で68cmで、砕石47cmの上にアスファルト21cmを舗設。現在は、アスファルト6cmまで施工しており、残り15cmを舗設して完成する。
また滑走路灯、滑走路中心灯などの灯火を設置するため、すでに一部配管を施工している。
滑走路南側には誘導路(幅30m、路肩各7.5m、計45m)を整備中で、今年度は約2,100mの工事を行っている。エプロンは5スポット(大型2、中型1、小型2)で、幅約285m、奥行き190m、厚さ37cmのコンクリート舗装を実施する。今年度からエプロン舗装54,245u、GSE工8,624uを施工。着陸帯においては野芝の植生を行っている。
その他、灯火工事では、進入灯橋梁(L=186mL=267m)を2橋架設しており、灯火基台659基の設置、及び幹線ダクトエを施工している。

▲富士山静岡空港完成予想図
運営会社を設立

こうした、地方空港では、滑走路、エプロンなどは自治体が、旅客ターミナルビルは第三セクターなどの会社が運営しているのが通例であるが、富士山静岡空港では、空港とターミナルビルを一体的に経営し、質の高いサービスの提供と経営の効率化を図ることで、競争力のある空港を目指こととしており、昨年2月には、県内民間企業10社の出資による「富士山静岡空港株式会社」が設立された。 今後の運営に当たっては、航空会社にとって魅力のある空港(低コストで効率的)、集客力のある空港(利便性の高い路線・便数の確保)、使い勝手のよい空港(コンパクトで機能的な空港施設、ユニバーサルデザインの導入)の実現に向けて取り組む方針だ。
また、欧米では各路線の需要にあわせ、大型機と中、小型機を使い分けて都市間を直結し、航空機のスピードを活かした路線展開を行っており、特に小型機を活用して基幹空港を経由せずに中・小都市を高頻度で直結するリージョナル航空は、大型機中心の日本でも最近、注目されていることから、富士山静岡空港も国内主要4路線(札幌、福岡、鹿児島、那覇)に加え、リージョナル航空機(100人乗り以下の小型機)により、国内各地を直接結ぶ航空路線の充実によって利便性の向上を図る考えだ。もちろん、300人乗りの大型ジェット機の離着陸にも余裕がある。
地方空港の乗客数は年々増加しており、平成15年時点では1億人以上に上る。この10年間で2千5百万人、29%も増加しており、20年前の2倍以上に達している。この間にも新幹線や高速道路が整備されてきたが、飛行機は都市間を直接結ぶ交通機関として欠かせないものになりつつあることから、かなりの需要が見込まれる。
特に静岡県は、平成16年の製造品出荷額で愛知県、神奈川県に次ぐ全国第3位の「ものづくり県」であり、世界レベルの技術力を持つ企業も多く抱えており、また、お茶やメロンをはじめ全国に誇る農産物を有しており、空港がない現在でも静岡県の国際航空貨物の輸送量は年間約9万トンである(平成17年財務省『輸出入貨物に係る物流動向調査』に基づく推計)。一空港での国際航空貨物輸送の採算ラインは、年間1万トン程度と言われているが、同県の場合はその約9倍のマーケットがあることから、新たな物流拠点としての発展も期待される。

▲吉田町側から見た飛行場
(平成17年12月13日撮影)
波及効果は絶大

開港に伴う波及効果は大きく、新たな人の交流は、各産業の生産活動を誘発し、県内総生産の増加や、雇用の創出など大きな経済効果をもたらす。また、物流コストの低減による産業活動の活発化や、開港に伴う立地環境の向上による企業立地誘発などの効果も見込まれる。
その他、広域的な会議・学会・メッセなど各種のコンベンションなどは、観光客誘致などの面でも大きな経済効果をもたらすが、この5年間の国際会議や国際コンベンションなどの開催実績を見ると、全国で17,217件のうち静岡は107件で16位の位置にある。だが、空港が開港すれば、交通利便性の向上から、県内開催件数の増加に向けての取り組みもより有効となる。特に霊峰・富士や南アルプスなどの雄大な景色を背景に、国際線ジェット機などが飛び立つという優れた景観環境は有力なアピールポイントとなりそうだ。






 ●平成18年度静岡空港整備工事 本体用地造成工 第1工区/清水・竹中土木・山田JV―――――――――――――――――
清水建設株式会社 株式会社竹中土木 株式会社山 田 組
 ●平成18年度静岡空港整備工事 本体用地造成工第2工区/西松・みらい・角丸JV―――――――――――――――――――
西松建設株式会社 みらい建設工業株式会社 角丸建設株式会社
 ●平成18年度静岡空港整備工事 本体用地造成工 第3工区/清水・竹中土木・山田JV―――――――――――――――――
清水建設株式会社 株式会社竹中土木 株式会社山 田 組
 ●平成18年度静岡空港整備工事 滑走路・誘導路工/NIPPOコーポレーション・エコワークJV―
株式会社NIPPOコーポレーション 株式会社エコワーク
 ●平成18年度静岡空港整備工事 エプ口ン工/鹿島道路・静和工業JV―――――――――――
鹿島道路株式会社 静和工業株式会社

HOME