建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年1月号〉

寄稿

一般国道218号北方延岡道路の整備について

国土交通省 延岡河川国道事務所 技術副所長 田中 秀之進


はじめに

延岡河川国道事務所は宮崎県北部地域の一般国道10号、218号の改築事業及び国道10号の電線共同溝整備事業、交通安全対策事業、維持管理(73.2km)を実施しています。宮崎県北地域は東九州随一の工業集積を誇り、県北の中心都市となって発展してきた延岡市をはじめとし、海上交易拠点として主要な役割を果たしている細島港を擁する日向市など、交通の結節点としての重要性が今後飛躍的に見込まれる地理特性を有しています。また、その背後圏に位置する東部沿岸部の(旧)北浦町・(旧)北方町(※平成18年2月20日に延岡市と合併)では農業・水産業が、西部山岳地帯の高千穂町・日之影等では豊富な森林・観光資源を生かした地域づくりが盛んに進められています。しかしながら、主要産業の低迷などから人口減少を招くなど大きな課題が顕在しつつあります。
このような地域的特性の中で、地域産業や観光を支援するための交通網、特に、高速道路の整備が熱望されており、当事務所では、宮崎県北地域に高速交通サービスを提供し地域活性化を寄与することを目的とした、高規格幹線道路の整備を中心に事業展開を図っています。
また、事業展開にあたっては「5年でみえる道づくり」の考えに基づき、「ちゃく2プロジェクト」という新たなマネジメントサイクルを導入して、整備効果の明示と明確な事業目標(供用目標、各年度の進捗目標)を公表することで「利用者に見える道づくり」を目指しています。
当事務所管内には、国土開発幹線自動車道である東九州自動車道と、それを東西に連絡する九州横断自動車道延岡線が計画されています。このうち東九州自動車道の県境〜北川間を新直轄事業として、また国土開発幹線自動車道に並行する一般国道の自動車専用道路として、一般国道10号延岡道路及び一般国道218号北方延岡道路の事業を推進しています。
今回はちゃく2プロジェクトに指定されており、鋭意事業中の10号北方延岡道路の整備について紹介いたします。

▲舞野地区工事状況(起点側を望む)
▲曽木橋付近工事状況
▲復工が進む小川地区のトンネル
般国道218号 北方延岡道路

北方延岡道路は、災害に強く、安全性、信頼性の高い一般国道218号の代替機能を有した道路であり、(旧)北方町を起点に延岡JCT・ICと接続する延長13.1qの自動車専用道路として計画されました。
この道路は延岡市を中心に(旧)北方町、北川町、日向市、高千穂町といった東西軸を主とした広域的な地域連携が図られるとともに、地域振興に貢献することは勿論のこと、将来、東九州自動車道、九州横断自動車道延岡線と一体となって、循環型高速交通ネットワークを形成する重要な道路です。
北方延岡道路は、起点から1~3工区に分かれており、1工区(延長4.6km)については平成18年11月19日に着手式で鋲杭打ちを行い、路線測量を実施中で、2〜3工区については平成11年から用地買収、平成13年度には工事着手しており、3工区の国道218号との交差部である舞野〜延岡JCT・IC間(L=2.1q)については、整備効果の早期発現を目的に平成18年2月18日に供用を開始しましたが、起点側の2工区、北方IC〜舞野間(L=6.4q)については、現在、「ちゃく2プロジェクト」の仕組みを導入し、平成19年度の供用を目標に掲げて用地買収及び工事を推進しています。
供用した3工区の工事では、約14万2千m3の切土、約17万4千m3の盛土作業が行なわれ、一部粘土層を含んだ軟弱地盤がある箇所については、発泡モルタルによる軽量盛土工法を実施し完成させている。また、舗装関係については、走行安全性の向上と沿道環境の改善に資する排水性舗装を全区間実施して完成させました。
2工区の工事の状況としては、用地取得進捗の比較的よい、主に延岡側からの事業展開で進めており、改良工事を中心として、6箇所の橋梁上、下部工、そして4箇所のトンネル工事を実施しており、全面展開と成っております。
工事を進めるにあたってのポイントは、頁岩を主体とした四万十層群の脆弱な切土法面の対応と、土運搬において、搬出と受入時期のミスマッチによる工程調整です。また、ダンプトラックによる土運搬において、周辺地域の生活道路や通学路を頻繁に走行させるため、交通管理や騒音振動などの環境問題、特に防塵対策には細心の配慮が必要です。地域の皆さんの県北の道路整備に対する期待は現場でも伝わってくるだけに、工事への理解と協力もいただきながら進めているところです。
起点部のトンネル坑口部には、トンネル本体箇所に高含水の火山灰質砂及び粘性土が存在し、グランドアーチが形成されないため、トンネルの安全性、安定性を考慮し地盤改良を含めた補強対策を計画し、掘削工事中です。残り3箇所のトンネルについては掘削を完了し、復工コンクリートを施工中であります。
橋梁については、1箇所が完成し、4箇所が下部工完成で上部工施工中であり、1箇所が下部工施工中であります。
今後の事業展開として、1工区については、平成19年度、用地関係の調査ができる様、早期供用を目指し事業を推進していきます。また、2工区(北方IC〜舞野区間)については、平成19年度供用に向けて6.4km区間の工事が全面展開と成っていますが、平成18年度の工事目標をいかに達成するかが、供用に向けた大きな鍵になります。
今後の事業の実施にあたっては、新技術、新工法の積極的活用、建設副産物対策により、着実なコスト縮減を図るとともに、事業の時間的コストの低減に向け、計画的、重点的な整備により効率性の向上を図る必要があり、事業のマネジメント管理が重要となります。

おわりに

北方延岡道路の3工区(2.1km)は、地元住民をはじめとして関係各位の協力により、当初目標の2年前倒しの平成17年度供用を迎える事ができました。当該道路は地域住民はもとより、延岡市周辺からも大きな期待を寄せられており、一日も早い全線供用に向けて、各方面の協力を得ながら事業を推進して参ります。   
道路は、人流・物流だけでなく情報を運び、地域発展の先駆を成すものであります。当事務所としましても、国土交通省の一員として、宮崎県北地域のより一層の地域間連携支援を主眼に据えた基盤整備に努め、地域の方々とともに透明かつ効率的な道路整備を進めてまいります。

▲北方延岡道路


延岡河川国道事務所の整備に貢献
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