建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年1月号〉

寄稿

九州の東西格差を解消

―― 地域から愛されるハイウェイを目指す

NEXCO西日本高速道路葛繽B支社 延岡工事事務所 所長 高田 澄夫

高田 澄夫 たかた・すみお
昭和45年4月 日本道路公団入社
平成6年7月 九州支社大分工事事務所工事長
平成9年7月 本社企画部技術管理課課長代理
平成12年4月 九州支社建設部建設第二課長
平成15年7月 九州支社沖縄管理事務所副所長
平成16年11月 九州支社延岡工事事務所所長

 

▲五十鈴川橋(下部工)工事
▲庄手川橋(下部工)工事
▲日向第二トンネル工事
はじめに

延岡工事事務所は平成16年11月に開設され、西日本高速道路株式会社が事業を進めている東九州自動車道の宮崎県内のうち、門川から都農間(延長約34km)の道路建設、国土交通省が新直轄方式で事業を進めている大分・宮崎県境から北川間(延長約17km)の道路建設における技術支援業務及び一般有料道路として開通している延岡南道路(延長約4km)の維持・管理を担当しています。

東九州自動車道の整備効果

東九州自動車道は、福岡県の北九州市を起点として福岡・大分・宮崎・鹿児島各県を結び、鹿児島市に至る延長約436kmの高速自動車国道で、九州縦貫自動車道及び九州横断自動車道と一体となり、九州の循環型高速交通ネットワークを形成する道路です。
平成7年度に九州縦貫自動車道が全線整備され、また九州新幹線の整備が進められている西九州地域と比較して、東九州地域では人口や産業面において東西格差が進展しています。東九州地域には、空港、重要港湾、生産都市、観光地が数多くあり、また豊かな自然を生かした水産業、林業及び農業が盛んに行われており、東九州自動車道を整備することにより、東九州地域の産業、経済、文化の振興と均衡ある発展、交通混雑の緩和、輸送時間の短縮など地域内外の多くの人への豊かな生活作りと活力ある地域作りが期待されます。また、事故、災害等の緊急時には一般道路の代替路、迂回路として生活に必要な最低限の交通機能が確保されます。

東九州自動車道(門川〜日向間)

門川から日向間(延長13.9km)は、平成22年度の開通を目指して事業を進めています。路線は、現在開通している延岡南道路の門川IC(仮称)を起点とし、西南方向に丘陵部を延伸し二級河川鳴子川、五十鈴川及び塩見川などを横過し、日向IC(仮称)で一般国道327号バイパス(仮称)に接続します。この間は主に山裾を通過しており、トンネル及び橋梁の構造物比率は約4割となっています。
当該区間は、平成10年12月25日に施行命令を受けて事業に着手し、平成12年3月には中心杭設置が完了。その後、調査・設計を経て、平成14年度に設計協議がまとまり、平成15年度より用地取得に着手し、10月末現在で約9割の用地を取得しています。工事においては、平成15年8月にこの区間で最初の工事である庄手地区函渠工事を発注し、用地取得が完了した区間より順次工事発注を行っており、10月末現在、土工工事3件、橋梁下部工工事2件、函渠工事2件(うち1件竣功)及び橋梁上部工工事4件を発注しており、全延長に対する土工工事(土工・下部工)着手の割合は約6割となっています。今年度末には、工事着手率約9割を目指し工事を発注する予定であり、建設工事の最盛期を迎えようとしています。

東九州自動車道(日向〜都農間)

日向から都農間(延長20.0km)は、平成26年度の開通を目指して事業を進めています。路線は、日向IC(仮称)から南に延伸し、二級河川耳川を横過し都農IC(仮称)で県道都農インタ一線に接続します。この間は北側の日向市域では山地部を主とし構造物にて通過、南側の都農町域では丘陵部を主として土工構造にて通過しており、トンネル及び橋梁の構造物比率は約4割となっています。当該区間は、平成17年度に設計協議がまとまり、現在、土質地質調査、用地幅杭設置及び用地測量・物件調査を順次進めており、今年度末から一部区間において用地取得に着手する予定です。

東九州自動車道(大分・宮崎県境〜北川間)

大分・宮崎県境から北川間(延長16.5km)は、平成15年12月に開かれた国土開発幹線自動車道建設会議において国土交通省による新直轄方式で整備することが決まりました。現在、土質地質調査、道路・橋梁・トンネル設計を実施中であり、会社は調査業務、関係機関との協議などにかかる支援業務を国土交通省と調整を行いながら実施しています。

延岡南道路

延岡南道路は、延岡市と門川町を結ぶ6.1kmの一般国道10号のバイパスとして、建設省(現国土交通省)と日本道路公団(現西日本高速道路梶jによる合併施行により、平成2年2月に開通したもので、この内2本のトンネルを含む3.7kmを会社が管理しています。国土交通省にて整備された延岡道路が平成17年4月に接続、また、平成18年2月には延岡道路へ北方延岡道路が接続され、宮崎県北部地域の高規格幹線道路ネットワーク約20kmが完成されたことにより、延岡南道路の交通量も増加しており、現在、一日平均約5,900台の御利用を頂いています。将来的には東九州自動車道の一部を形成する道路となり、さらなる交通量の増加が期待されます。

おわりに

東九州自動車道の早期完成を目指し高速道路建設事業を進めていくとともに、安全・安心で快適な道路の維持管理に努め、「地域から愛され、お客様に喜ばれる西日本高速道路」を目指して、事務所一丸となって取り組んでいきます。


西日本高速道路(株)延岡工事事務所の整備に貢献
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