建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2007年1月号〉

寄稿

沿線地域の生活向上と活性化に貢献する 東九州自動車道

NEXCO西日本高速道路葛繽B支社 宮崎工事事務所 所長 溜渕 孝治

溜渕 孝治 たまりぶち・こうじ
昭和32年1月生 熊本県出身
昭和57年 日本道路公団入社
平成13年2月    〃  四国支社建設部建設第二課長
平成16年2月    〃  中国支社徳山管理事務所副所長
平成17年4月    〃  九州支社八代工事事務所長
平成18年6月 西日本高速道路葛繽B支社建設事業部調査役
平成18年10月     〃    九州支社宮崎工事事務所長
事業概要

東九州自動車道は、北九州市を起点として福岡、大分、宮崎、鹿児島各県を結び、鹿児島市に至る延長約436qの高速自動車国道です。北九州市で九州縦貫自動車道と分岐し途中、大分県日出町及び大分市で九州横断自動車道長崎大分線と、宮崎県延岡市で九州横断自動車道延岡線と、宮崎県清武町で九州縦貫自動車道宮崎線と、また鹿児島県加治木町で九州縦貫自動車道と連絡する路線です。
当路線は、九州縦貫自動車道及び九州横断自動車道とともに、九州の高速自動車国道のネットワークを形成し、東九州地域の産業、経済、文化の振興と均衡ある発展を図り、また交通混雑の緩和、輸送時間の短縮など沿線諸都市の生活向上、活性化に資するために計画されたものです。

▲東九州道 西都北工事 西都IC施工状況
▲東九州道 一ツ橋川
▲高鍋〜西都間の通山浜層
▲東九州道 宮田川橋(PC上部工)工事施工状況
管内路線概要

宮崎工事事務所では、東九州自動車道都農〜西都間約25kmの道路新設事業、宮崎自動車道と東九州自動車道を連結する清武JCT約1kmの道路改築事業及び新直轄区間である清武〜日南間約27kmの技術支援業務を行っています。
都農〜西都間の路線は一般国道10号とアクセス可能な都農IC(仮称)を起点として南下。二級河川名貫川を橋梁で横断し、川南町に入る。川南町では西側山地の山裾部・丘陵部を主として土工構造で南進。二級河川切原川を横断したあと高鍋町へ入り、一般国道10号とアクセス可能な高鍋IC(仮称)に至る。高鍋IC(仮称)からは一級河川小丸川、宮田川などを橋梁で横断したあと、新富町へ入る。新富町では丘陵部を主として土工構造で通過。西都市に入り、二級河川一ツ瀬川を橋梁で横断し、一般国道219号とアクセスする西都ICに至ります。
清武JCTは、清武町で宮崎自動車道と東九州自動車道を連結します。宮崎自動車道と大分方面の東九州自動車道とは既に連結供用中で、鹿児島方面の東九州自動車道との連結のための改築事業を行っています。

管内進捗状況

都農〜高鍋間約13kmについては、他事業との調整により一部工事を先行して行っており、工事発注率(延長比)は約21%です。(しゅん功:土工工事2件、工事中:土工工事1件)平成24年度の供用開始を予定しています。
高鍋〜西都間約12kmについては、一部用地買収未了箇所を除きほぼ全線工事を行っており、工事発注率は約97%です。(しゅん功:橋梁下部工工事4件・橋梁上部工工事4件、工事中:土工工事3件・橋梁上部工工事2件)平成22年度の供用開始を予定しています。
清武JCTについては、一部橋梁下部工工事中で平成25年度の供用開始を予定しています。

工事の特色

高鍋〜西都間の一部区間において通山浜層(新生代・更新世の粘土)が分布します。この層は、既供用区間の西都〜宮崎西間においても分布しており、工事中及び供用後に切土のり面崩壊を起こしました。のり面検討委員会での検討結果を踏まえ、この層の切土を減らすための分布区間の縦断線形の変更及び特殊植生のり面工等の対策を行っています。
都農〜西都間の沿線では、お茶の栽培、切干大根の生産(大根を千切りにして干した物)及び畜産業が盛んで、畑や畜産場に対する道路建設後の通風阻害による影響調査を行うとともに、工事中の粉塵や振動等対策を行い施工しています。また、沿線において農業が盛んなため、農業用の幹線水路が本線と多数交差しており、関係機関と調整しながら付替工事を行い本体の施工を行っています。

東九州自動車道の整備効果

宮崎県は宮崎都市圏における自動車の利用率が約70%、県外からの観光客の自動車の利用率が約80%と自動車の利用率が全国でも高くなっています。そのため東九州自動車道の整備によって様々なメリットが期待されています。
例えば一般国道で北九州市〜宮崎市間を利用すると、おおよそ7時間20分かかりますが、高速道路を利用すると、3時間50分と大幅な時間短縮となります。また宮崎市〜延岡間ではおおよそ1時間の短縮となり、地域住民の生活利便性向上のほか、産業・経済の活性化に大きく貢献します。
また、宮崎県では歴史資源を広域的に活用した地域活性化構想「ひむか歴史ロマン街道形成」の実現に取り組んでおり、西都原古墳群をはじめとする各地の交流拠点等への観光客の増加も期待されます。さらに救命救急時における搬送時間が短縮され、安全・定速走行が可能になることで患者への負担を軽減することができます。加えて一般国道10号の万一の事故や災害などの際にも代替ルートとして機能するとともに、同道路の交通混雑緩和にも効果があります。

おわりに

東九州自動車道の整備促進については、宮崎県民の皆様の非常に強い熱意・要望があり、一日でも早い完成を目指し事業を進めて参ります。


西日本高速道路(株)宮崎工事事務所の整備に貢献
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