| 岩﨑 信治 いわさき・しんじ | |||
| 昭和 | 56年 | 4月 | 日本道路公団入社 |
| 平成 | 11年 | 5月 | 本社 保全交通部 保全企画課長代理 |
| 平成 | 12年 | 5月 | 試験研究所 企画課長 |
| 平成 | 15年 | 11月 | 北海道支社 帯広工事事務所長 |
寄稿
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ネクスコ東日本㈱北海道支社帯広工事事務所は昭和59年7月1日に調査事務所として発足し、昭和61年7月1日に工事事務所に名称変更しました。その後、平成10年7月1日に工事事務所・管理事務所の組織統合を行い、建設・管理が一体となった地域との連携強化、地震等災害発生時の建設部門から管理部門への支援、管理区間の経験を迅速に建設区間にフィードバックさせる等、建設・管理両部門を統合した体制をとり、現在に至っています。
当事務所は北海道横断自動車道黒松内釧路線のうち、勇払郡占冠村から上川郡清水町までの約45Km、同上川郡清水町から中川郡池田町までの50.3Km（道東自動車道、平成7年10月30日開通）と同中川郡池田町から中川郡本別町までの19.0Km、及び黒松内端野線の中川郡本別町から足寄郡足寄町までの13.1Km（道東自動車道、平成15年6月8日開通、計32.1Km）、合計約127Kmの建設・管理を担当しています。
占冠～清水間については、トマム～清水間が平成9年12月25日、占冠～トマム間が平成10年12月25日に施行命令を受け、その後、順次事業概要説明を実施し、測量・調査を行い、地元設計協議を進めながら用地取得を実施してきており、現在の用地取得状況は99％となっています。
この区間が開通すると,交通の難所である国道274号の日勝峠（標高1,022m）を回避することが可能となり、走行距離と時間が大幅に短縮されるだけではなくて、吹雪・濃霧・事故等の交通障害のリスクも大幅に改善されるということで地元の期待も非常に大きい路線です。
工事の進捗状況はトマム～清水間は19件の工事（土工工事7件、トンネル工事1件、橋梁上部工工事3件、舗装工事2件、防雪柵工事1件、施設工事5件）を実施しています。これに加えてしゅん功工事は11件（トンネル工事3件、橋梁下部工工事3件、橋梁上部工工事4件、施設工事1件）となっています。区間全体の進捗率は約69％（平成18年10月末現在）まで進んでおり、舗装工事の合材プラントの設置も完了し、平成19年11月の開通へ向けて最後の追い込みに入っている状況です。
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| ▲冬の日勝峠（一般国道274号） |
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| ▲西新得工事状況 |
占冠～トマム間は12件の工事（土工工事4件、トンネル工事4件、橋梁上部工工事4件）を実施しています。これに加えてしゅん功工事は3件（橋梁下部工工事1件、工事用道路等工事2件）となっています。区間全体の進捗率は約23％（平成18年10月末現在）であり平成21年11月の開通へ向けて鋭意工事を進めている状況であります。
当事務所での新工法への取り組みとしては波型鋼板ウェブPC箱桁橋（鋼・コンクリート複合構造）があげられます。この工法は従来のPC箱桁橋のウェブに波形鋼板を用いた構造で、主桁重量の10～40％を占めていたウェブ重量を軽量な鋼構造とすることで主桁重量の大幅な軽量化が図られます。また、コンクリートの断面積が減少することと波形鋼板の軸力に抵抗しない性質（アコーディオン効果）によりプレストレスの導入効率が向上されます。さらに波形鋼板は高いせん断座屈耐力を有するので、補剛材（スティフナー）の必要がありません。このようにコンクリートウェブを波形鋼板に置き換えることにより、施工の合理化、工期の短縮、コストの低減が可能となり、橋脚･基礎を縮小することで、よりコストの縮減が可能となります。
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| ▲道東自動車道 |
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| ▲十勝平原サービスエリアトイレ |
十勝清水～池田間は、道東地区における最初の高速道路として、地域の皆様から「十勝スカイロード」の愛称をいただき、平成7年10月30日に開通しましたが、延長が50.3Kmで他路線との接続が無い単独路線であるため、利用状況は低迷していました。
しかし、平成9年7月に大幅な値下げに踏み切ったのをはじめ、各種割引チケットや回数券の発売、通行料金を40～50％割引く社会実験やETC割引などのPR活動を実施し利用促進に努めました。これに加えて、平成15年3月15日には高規格道路の帯広・広尾自動車道の帯広JCT～帯広川西17.0Kmが開通し、同年6月8日には池田以東の池田～本別間・本別JCT～足寄間32.1Kmが、平成18年3月12日には帯広・広尾自動車道の帯広川西～幸福間13.0Kmが開通したことにより、十勝圏内約110Kmの高速道路ネットワークが形成されました。
平成18年にはWRC（世界ラリー選手権）への協力や地域の温泉施設と連携した「湯～遊～キャンペーン」なども行い、十勝スカイロード利用促進協議会の地道なPR活動の努力もあいまって、当初供用時の交通量に対して、現在は約3倍の交通量となっています。
また、当事務所管内には休憩施設が上下線4ヶ所あり、各施設のトイレの美化にも力を入れています。メンテナンス会社の協力により、四季折々の飾りつけやBGMを流すことにより癒しの空間を演出しており、ご利用されるお客様からも大変好評を得ています。
当事務所は占冠から本別・足寄まで約127Kmという広大な道東地域を担当しています。当地域は農林水産業が生活基盤の中心となっていることから、物流の基本的インフラとして、高速道路が果たす役割は大きく、一日も早く道央地域との連結を目指して事業を進めていきます。
また、夏は30℃から冬は零下30℃まで、年間の気温差が実に60℃以上という、北海道でも特に厳しい気象条件にあり、それに加えて冬期間には日高山脈からの風雪が厳しい地域であることから、凍上、凍害などに対する一層の寒冷対策、また、防風防雪対策等に技術的課題として取り組む一方、自然環境に配慮した、北海道らしい高速道路造りを目指しながら事業を進めております。
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| ▲波型鋼板ウェブPC箱桁橋 |