建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年12月号〉

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湧別と生田原の農業経営の安定化を目指す

自然環境を重視した農地防災と安定的な水資源を確保する畑作かんがい排水

北海道開発局 網走開発建設部 北見農業事務所


▲生田原貯水池(堀込形式〜2池タイプ)

網走開発建設部北見農業事務所では、国営総合農地防災事業湧別地区と国営かんがい排水事業生田原地区の事業実施している。
湧別地区は、泥炭土であるため、地盤沈下により、農用地としての機能も農業用排水路の機能も、ともに著しく低下しており、農用地の過湿とたん水被害が発生。生産性と農作業効率の低下を招いている。例えば、農作物の生育阻害や、湿性雑草の繁茂などによって、収穫量の低下、作業時間の増加を招き、農家の粗飼料自給率も低下している。

そこで、北見農業事務所は農用地と農業用排水路の機能回復を図り、被害防止と農業経営の安定化に向けて、総合農地防災事業に着手した。事業は、暗渠排水の整備や排水路の改修が中心だが、排水路の護岸工法に当たっては、地域に棲息するイトヨ、ヤチウグイなどの棲息環境に配慮すべく、篭マット工法を採用した。
また、法面保護のために土砂流出の抑制に当たっては、在来種の飛来も想定し、ヤシ繊維ネットを採用。タライカヤナギ、ミクリなどを植生に適した場所へ移植。さらには、サロマ湖やオホーツク海の環境保護のため、施工中は濁水防止プラント(水槽ろ過施設)によって、浄化してから排水本線に排出し、下流側への汚濁水流出を防止した。

生田原地区は、ブロッコリーやスイートコーン、カーネーション、てんさいなど、畑作や花卉など幅広く生産されているが、農業経営の安定化に向けては、安定した水源確保が課題となっている。
そこで、同事務所はかんがい排水事業に着手している。事業内容は用水路と取水施設、貯水池の整備で、用水路は4条29.4q分を整備中だ。取水施設は埋設管形式で一カ所、本体延長は20.43mで、取水量は毎秒0.08m3。貯水池は堀込み形式で、水深は上池4.30m、下池4.40m、貯水量は上池20,000m3、下池 40,000m3の規模となる。
また、取水施設及び貯水池は森林地帯に建設する事から、法面は環境に配慮した「自然石護岸」で施工する。この事業によって、足腰の強い農業基盤の確立と、畑地かんがい技術の確立、循環型農業の確立を通じて、農家経営の安定化に貢献する。





 ●生田原(二期)農業水利事業 生田原貯水池建設工事  ●湧別地区第6号排水路工事
岩田・渡辺経常建設共同企業体 三共・北進経常建設共同企業体
 ●湧別地区暗渠排水東工区工事  ●生田原(二期)地区外1工区生田原取水施設外一連工事
株式会社菊 地 組 三和工業株式会社
 ●湧別地区暗渠排水外一連工事  ●生田原(一期)地区生田原用水路外一連工事
五十嵐建設株式会社 株式会社管 野 組
 ●湧別地区農地保全工事
久島工業株式会社  



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