建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年12月号〉

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茨城労働総合庁舎

まちづくりに貢献する開かれた庁舎づくり


■全体計画
所在地:茨城県水戸市宮町1丁目6-141
構造・規模:S-6-1
延面積:5,471m2
工期:平成16年度~平成18年度

茨城労働総合庁舎は、茨城労働局・水戸労働基準監督署の狭隘化・老朽化を解消し、茨城県および水戸市における労働行政の拠点として整備されている。敷地は水戸市の新しい玄関口として開発が進められている水戸駅南口地区特定再開発事業区域内に位置し、良好な都市環境の形成を推進する先導的施設としての役割も期待されている。
顧客のニーズを追及した公共建築を実現するため、施設利用者に対するPOE(施設利用者ニーズ調査)調査に基づき、「すべての来庁者・利用者のための『ゆとり・安らぎ・落ちつき』のある快適なオフィス環境」、「長期にわたり、この地区のまちづくりに貢献し、都市環境形成に寄与する施設」をコンセプトとした施設計画となっている。また、グリーン庁舎の理念に基づく環境への配慮や、ユニバーサルデザインの導入、耐震安全性の確保など、国の施策を重点的に実践し、労働行政施設のモデルとなるような施設整備を目指している。

地域と連携し開かれた庁舎とするため、良好な都市環境形成の観点から、庁舎は敷地の高低差を利用し、敷地形伏を大きく改変しない断面計画としている。配置は、再開発事業ですでに建設された建物と同様に、壁面線を後退させ、街区全体が壁面線のそろった良好なまちなみ形成を誘導すべく、先導的意味合いを持たせた計画としている。
建物前面には、歩道と一体化した外構計画やポケットパークの整備により、まちとの連携を図っている。玄関ホールには、労働関連情報や労働行政を広く紹介・発信する情報交換・公開の揚となる「情報ラウンジ」を設置しており、開かれた庁舎づくりを目指している。
さらに、分かりやすく使いやすい空間を構成するため、来庁舎の動線は西側コア部分に集約し、初めて訪れる入にも分かりやすい空間にすると同時に、管理の容易性とセキュリティの確保に有利な平面計画としている。オフィススペースは、ロングスパンによる無柱空間として広く整形な床を確保し、ゆとりを持った天井高さ(H=2.7m)を確保することで、自由度の高いレイアウトが可能なオープンオフィスを実現する。また、水廻りや積載荷重の大きな倉庫、機械室などの小部屋は、北側スパン内に各階同一平面で配置し、構造的・設備的にも合理的な計画としている。

環境負荷の低減に配慮したグリーン庁舎とするため、CO2削減率20%を目標に、自然エネルギーの活用と環境負荷の低減に配慮した計画としている。メイン空間である事務室は、自然採光・換気を十分に取り入れながら、南面開口側には庇を設けて日射をコントロールし、排気口内蔵のブラインドボックスにより、ペリメーターゾーンの効果的な排熱を行う。
また、透水性舗装の積極的採用、掘削土の敷地内転用などとともに、太陽光発電パネルの設置や雨水の中水利用による自然エネルギーの活用を図っている。さらに、氷蓄熱ユニット及びガス冷房システムによる夏季電力負荷の平準化や、高効率型機器、VWV、VAV、排熱回収、照度センサーなどによる連続調光照明器具など、あらゆる分野の省エネルギー技術を積極的に導入している。
ユニバーサルデザインヘの取り組みとしては、敷地の高低差を解消し、徒歩・自動車それぞれの利用者が容易に庁舎を訪れることができるよう、南北2ヶ所にエントランスを設け、バリアフリーでアプローチできる敷地レベルの設定を行っている。また、ハートビル法の利用円滑化誘導基準を満たすとともに、各階への多目的トイレの設置、来客動線にある扉の自動ドア化・引戸の採用、わかりやすいサイン計画など、さらなる配慮を施している。






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