建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年12月号〉

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高松宮記念ハンセン病資料館

ハンセン病への理解を深め偏見を解消


■全体計画
工事施工場所:東京都東村山市青葉町4-1-13
敷地面積:9,714㎡
建物規模:既存棟・増築棟 RC-2 一部S造
建築面積:増築棟1,358.55m2
     (既存棟:1,228.24m2) 
延べ面積:増築棟2,486.23m2
     (既存棟:1,796.05m2
工期:平成17年度~平成18年度

高松宮記念ハンセン病資料館は、平成13年5月11日の熊本地裁の原告勝訴を受けて、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けて、5月25日付で表明された内閣総理大臣の「ハンセン病資料館の充実」についての談話に基づいて計画された。ハンセン病に対する正しい知識の普及啓発による偏見・差別の解消、及び患者・元患者の名誉回復を図るための普及啓発の中核、人権尊重のシンボルとして、すでに平成5年に完成していた「高松宮記念ハンセン病資料館」を拡充することになったもの。

敷地は国立療養所多磨全生園に隣接しており、全生園入所者が長年にわたってつくり上げた豊かな樹木に囲まれている。計画では、この緑と調和し、かつコンパクトな平面形状とすることによって樹木を極力保存し、また建設地の樹木については資料館と調整し、工事着工前の移植しやすい時期に移植に努めた。

増築棟は、大空間の構成と既存棟との床段差が生じないよう考慮し、厚肉床壁構造を採用している。1階にはロビー、映像ホール、収蔵庫、設備室が配置され、2階は、展示空間(常設展示・企画展示)を集約し、明快なゾーニングとしている。既存棟はバリアフリー改修を行い、全館でユニバーサルデザインに配慮した。また、既存棟においては増築棟と全体的な調和を図りつつ、大幅な改変なく有効活用した改修に止めている。1階は既存の玄関・ロビーを継承し、メインロビーとして改修。その他、事務室・会議室・館長室も改修する。2階については、既存展示室を企画展示室、図書室、書庫へと改修する。
また、様々な環境対策にも取り組んでおり、展示室・収蔵庫の空調負荷を低減するため、外断熱と複層ガラスを採用。屋上緑化やセンサー型照明システムなどのグリーン技術も導入しているほか、自然光・地熱・雨水などの自然エネルギーも有効利用している。展示模様替への配慮、設備トレンチの整備、屋上メンテナンス通路の安全確保など、将来対応や維持管理が容易にできるよう計画した。

動線計画としては、主出入口となる既存棟の玄関と増築棟のサブエントランスを直線的に結び、来館者に分かりやすいものとする。来館者と物品納入業者の搬出入、管理動線の分離を明確にしている。






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