寄稿
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▲北部水みらいセンター 水処理設備工事 |
南大阪湾岸流域下水道事務所は、堺市南端の一部から岬町までの泉北・泉南地域の9市4町、いわゆる泉州地域を流域として分流式下水道事業で実施しており、その計画面積は23,514haと府下7流域の28.4%を占めている。
流域下水道の整備は泉州地域を北部・中部及び南部の3処理区に分け、それぞれ埋め立て地に水みらいセンター(平成18年4月から下水処理場は水みらいセンターに名称変更した。)を設置し閉鎖性水域である大阪湾の水質保全を図るため、富栄養化の要因となる窒素・リンを除去するため高度処理を実施している。
又、汚泥処理については「流域下水汚泥処理事業」で実施している。この「流域下水汚泥処理事業」は管内の3水みらいセンター及び周辺単独公共下水処理場から発生する下水汚泥を送泥管等により北部水みらいセンターに隣接する大阪南下水汚泥広域処理場まで圧送し集約処理する事業で、日本下水道事業団が実施していた「下水汚泥広域処理事業(エースプラン)」を大阪府が移管を受け平成16年度より実施している。
平成17年度末の進捗状況は、3処理区合計で計画処理能力1日当たり763,500m3に対し238,800m3が供用開始しており進捗率は31.3%となっている。
幹線管渠についても計画延長107.64kmに対し104.9kmが整備済であり進捗率は97.5%となっている。中継ポンプ場は3箇所計画されており3箇所とも供用開始している。
一方、管内9市4町の平成17年度末の下水道普及率は80.4%と昨年度より1.4ポイント上回ったものの、府全体の普及率90.8%から比べると10.4ポイント下回っている。
北部処理区においては、平成15年度に着手した1日当たり56,000m3 の水処理施設(土木工事)の増設工事も平成18年10月に竣工予定である。増設能力の2分の1にあたる水処理能力28,000m3の設備工事は平成17年度末に供用開始し、残りの2分の1の設備工事についても平成19年春の供用開始に向け鋭意工事の進捗に努めている。
中部処理区においては、平成12年度に流域幹線として追加延伸した貝塚幹線については、下流側7工区までが竣工し、現在、平成16年度に着手した第8工区及び平成17年度に着手した第9工区は平成18年10月及び11月には竣工予定となっている。
又、今年度は最上流部となる第10工区を発注する予定である。
南部処理区においては、流入水量の増加に対応するため平成17年度より汚水ポンプ設備工事に着手しており平成18年10月の竣工を予定している。
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▲和泉中継ポンプ場 |
3水みらいセンターの増設については、今後の市・町の面整備進捗による流入水量の増加に合わせ、計画的に増設工事を実施していくとともに、管渠についてはROSE PLANに基づき、全線の早期完成に向け、今後とも事業の進捗を図って行く。
ROSE PLANは川や海など公共水域の水質を更に改善に、泳げる川、泳げる海を大阪に取り戻すことを目指している。このため、より良質な処理水を放流するために高度処理化を進めている。管内の3水みらいセンターは大阪湾に直接放流することから、富栄養化の要因となる窒素・リンの除去等高度な水質の保全が特に重要となっている。
南部水みらいセンターは平成5年の供用開始当初から。中部水みらいセンターも平成14年度に第1系の既存施設(標準活性汚泥法)の更新工事を完了し、全量高度処理となっている。
北部水みらいセンターにおいても、1系の既存施設を早期に高度処理化するため、まず、高度処理施設の増設を進め、その中で更新時期を選択し速やかに全量高度処理に更新したい。
平成16年度より実施している「流域下水汚泥処理事業」において、既設施設が更新時期を迎えていることから、適正な更新・補修を行っていく必要があり関係機関と調整を図りながら、効率的な事業の運営に取組んでいるところである。
又、各下水処理場から汚泥を圧送している送泥管の各種トラブルに対する危機管理対策の策定についても関係機関と連携を図りながら取組む方針である。
当事業から発生する溶融スラグは、建設用資材等の有効利用を図っているが、一層の活用が必要である。又、発生する焼却灰の有効利用について関係機関と連携を図りながら取組んで行く。