建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年8月号〉

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三宅島噴火災害の復旧が概成

―港湾・漁港での取組み―

東京都港湾局離島港湾部 三宅島復興事業

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三宅島は、東京から南へ約180qに位置するほぼ円形の島である。島の中央にある雄山は、高さ783.2m(噴火前814.6m)で海岸まで美しい裾野を広げており、緑豊かでアカコッコなど野鳥の多い島として有名である。
 20年間隔で噴火すると言われている三宅島は、昭和の時代だけでも3回噴火を繰り返している。
 平成12年8月18日の噴火では、噴煙と火山灰により、晴れているにもかかわらず島全体が暗闇となるほどであった。さらに、8月29日に低温火砕流が発生し、火山ガスの噴出が確認されたため、9月2日島外避難指示が発令された。
 その後、平成17年2月1日に4年5ヶ月におよぶ島外避難が解除され、9月4日、島民避難完了と同時に、2,600トン(1,460人乗り)の船に災害対策本部を設置し、夜は火山ガスが流れてこない沖合いに停泊し、昼は岸壁に接岸して復旧作業に取り組んだ。
 10月からは災害対策本部を隣の神津島に移し、漁船で2時間をかけて通った。その後通船は漁船から貨客船へと大きくなったが、荒天時には、三宅島に着いても岸壁上が波で洗われ、接岸できずに引き返すことも度々であった。これは、火山活動に伴う地殻変動で、岸壁が大きく沈下したことが要因であり、今回の復旧作業では、改めて「みなと」の重要性を痛感させられた。
 また、島での復旧作業は、火山ガス(二酸化硫黄)との戦いでもあった。平成13年に三宅支庁舎に脱硫施設を設置してクリーンハウス化し、5月から三宅島での試験夜間滞在が開始された。港湾局でも阿古漁港に船舶運航関係者や建設作業者の宿泊施設としてクリーンハウスを建設し、これにより、本格的な復旧工事が始まった。しかし、屋外での作業は、防災無線機とガス検知機を携行し、ガス検知機が警報音を発した際は、ガスマスクを装着しての作業を余儀なくされた。
 三宅島には東側に三池港、西側に阿古漁港があり、毎日就航する定期貨客船は、風向きや海象条件により両港を使い分けている。その他に4つの漁港(坪田、伊ヶ谷、湯の浜、大久保)が島の南北に分布している。
 これらの港湾・漁港における主な被災は、降灰・泥流による泊地等の埋没と地殻変動に伴う地盤沈下で、各港の沈下量は概ね、三池港46p、三池港海岸43p、阿古漁港56p、伊ヶ谷漁港66p、坪田漁港101p、湯の浜漁港23p、大久保漁港23pであった。
 このうち、災害復旧・復興支援に欠かせない大型貨客船の接岸機能の回復を最優先事業とし、三池港岸壁及び阿古漁港特定目的岸壁の嵩上げを平成13年度に実施した。その後、順次、漁船係留施設や外郭施設及び背後集落を守る海岸防潮堤の嵩上げ、埋没泊地の浚渫等を行った。
 また、比較的火山ガスの影響が少なく、海象・地象条件に恵まれた伊ヶ谷漁港に避難用として大型貨客船用の特定目的岸壁の整備を進め、平成16年度に完了した。
 未だ火山ガスの放出が続く三宅島であるが、現在、約2,800人(噴火前3,867人)の住民が、火山ガスと共生しながら、懸命に島の復興に取り組んでいる。
 港湾局では、今後も人々の生命や財産を守る前線として、また、物流や産業の拠点として、港湾・漁港の整備促進を図り、三宅島の発展と繁栄に寄与していきたい。

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