建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年8月号〉

寄稿

活力のある地域社会に向けて安定した地域発展を推進

―北海道室蘭土木現業所 平成 18年度事業概要

北海道 室蘭土木現業所長　吉田 雅毅

吉田　雅毅　よしだ・まさき 幌延町出身、室蘭工大卒、平1室蘭土現治水課防災係長、平4林務部みどり対策室主査、平6土木部河川課治水係長、平7同計画係長、平8室蘭土現治水課長、平10建設部河川課ダム室主幹、平12監査委員技術監査課技術主幹、平14函館土現事業部長、平15建設部河川課参事、平17現

▲竹海海岸

　平成18年度の北海道開発予算は、国の公共事業費削減方針などにより、開発予算の北海道シェアは昨年度に引き続き10％を割り込み、対前年度比約7．2％減と厳しいものとなっております。また、室蘭土木現業所の公共事業予算におきましても、約267億円で対前年度比87．2％となっております。
　本年度の主な事業としては、月浦川、西山川、小有珠川、小有珠右の川（洞爺湖町）等における堰提工、遊砂地、監視観測機器設置などの火山砂防事業、壮瞥川（壮瞥町）の緊急放流施設等の河道改修事業、災害に強い安全な漁港づくりに向けての虻田漁港（大磯分区）地域水産物供給基盤整備事業（洞爺湖町）など有珠山周辺地域の復興対策の推進を引き続き実施してまいります。
　また、道路整備事業では、新千歳空港・苫小牧港の拠点とネットワークを形成する道路の重点的な整備として、新千歳空港線及び上厚真苫小牧線（苫小牧市）の2路線で地域連携推進事業を継続します。
・広域観光を担う観光拠点間のアクセスの向上を図る洞爺湖登別線、倶多楽湖公園線（登別市）の整備を実施します。
・中心市街地活性化に向けて、まちづくりと一体となった街路・道路の整備を中島中央通（室蘭市）、美和豊浦（停）線（豊浦町）で継続して実施します。
・安全な地域づくり（災害時の代替性、補完性）や広域物流ネットワークを形成する道路網の整備として、新冠平取線（日高町、新冠町）、平取門別線（日高町）で継続して実施します。

▲日高門別川

　河川整備事業では、水辺環境や自然環境の保全・創出に向け、美々川（苫小牧市）、古川（新ひだか町）で事業を継続し、知利別川（室蘭市）フシコベツ川（白老町）、明野川（苫小牧市）及び厚真川（厚真町）で災害につよいまちづくりを促進します。
　このほか、総合的な治水・利水対策に向けた厚幌ダム建設事業（厚真町）を引き続き事業を推進します。
　また、子供や高齢者等の災害弱者対策を推進する室蘭天神町急傾斜事業（室蘭市）、浦河井寒台急傾斜地崩壊防止施設（浦河町）、サテキナイ川砂防施設（新ひだか町）、山手地すべり事業（日高町）を継続して実施していきます。
　さらに、平成15年の日高地域を中心に甚大な被害をもたらした台風10号災害関連では、治水安全度の向上を図るため、当管内では改良復旧（助成、関連）事業として、引き続き厚別川、慶能舞川、日高門別川の3河川は、地元の皆さまの協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。
　また、河道改修とあわせ、山腹崩壊や土砂及び流木の流出が顕著であったウェンテシカン川、貫気別川、西厚別、比宇川の河川についても、上流域に流木対策を講じた砂防事業を引き続き実施してまいります。
　以上が本年度の主要な事業概要です。
　室蘭土木現業所では、地域重視の姿勢を大切にし、胆振・日高地域の特性・潜在能力を生かしながら、地域の皆様が安全・安心して暮らせる公共事業を行うことにより、活力ある地域社会の実現が図られ、安定した地域発展につながるものと考えております。
　今後も道だけでなく国、市町村などの関係機関と連携して、事業の重点化、効率化をさらに進め、災害に強い安全でゆとりのある快適な地域の形成を目指して、事業評価、アカウンタビリティーの徹底、コスト縮減や既存ストックの有効活用などの取り組みを一層推進し、自主自立に向けた質の高い社会資本の整備を進めたいと考えております。
　また、昨年から建設現場の効率化を通じて建設業の経営効率化が図られるよう、土現発注工事において、施工前に発注者、施工者、設計者により施行条件の確認等を行う三者検討会の本格実施や設計変更の迅速化等に取り組んでいるところです。今後も経営効率化に向けて様々な視点から検討を進め、建設業の振興に資する施策の推進に努めていきます。　
　防災体制の強化については、昨年、室蘭建設業協会と災害時の協力体制に関する協定を締結しました。また、コンビニエンスストアから道路や河川の異常の情報を通報してもらうよう協力体制を整備したところです。今後も安全性の高い公共土木施設の整備や関係機関との連携強化に取り組むとともに、地域の企業や団体等などの連携を拡大するなど、防災体制の充実・強化に努めて参りたいと考えています。