建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年8月号〉

寄稿

緑を守り育てる取り組みと平成18年度予算について

―北海道網走土木現業所 平成 18年度事業概要

札幌市環境局 みどりの推進部長 千代 吉雄

千代 吉雄 せんだい・よしお
昭24年6月6日生、昭48札幌市採用、平3東区土木事業所公園緑化係長、平9環境局緑化推進部公園計画課長、平15豊平区土木部長、平16環境局みどりの推進部 現職

はじめに

 札幌市は、平成11年に「札幌市緑の基本計画」を策定し、公共空間から個人の住宅の庭に至るまで市民と行政が協力しながら都市緑化を進める「市民参加でみどりを育てよう」、市街地の周辺の豊かな自然の保全・育成を図り、子孫に継承する「いまあるみどりを次代に残そう」、市街地の身近な緑を増やすことにより、均衡のとれた緑の街並み形成を図る「身近なみどりを増やそう」を基本方針とし、概ね平成32年を目標年次として緑化行政を推し進めているところです。
 この「緑の基本計画」に基づいた具体的な取り組みとして、平成13年には「札幌市緑の保全と創出に関する条例」を整備し、市内の緑を保全し、及び創出することが必要な地域をその特性に応じ5区分に指定し、この地域内の1千u以上の現状変更行為に対し、いち早く一定割合の緑化を義務付けています。また、平成16年度から18年度までの3年間におけるまちづくりの考え方や重点的に進めるべき市の施策、事業などの実施計画として「札幌市新まちづくり計画」を定め、水とみどりのうるおいと安らぎのある街の実現を重点戦略課題として公園造成事業や公園再整備事業のほか各種施策を実施しています。
 さらに、この「緑の基本計画」や平成16年度に改定した「環境基本計画」、平成14年の「都心まちづくり計画」、平成16年に策定された「さっぽろ都心交通計画」をもとに、「緑を感じる都心の街並み形成計画」を策定し、都心のオープンスペース・ネットワークの考え方やそれらの活用・管理のあり方を明示するとともに札幌駅前通及び創成川通の再整備に関する基本計画等の考え方をまとめ、市民と共に市街地中心部での緑を増やすよう全庁的な取り組みを進めているところです。


平成18年度整備事業の概要

 平成18年度の公園等用地取得は、街区公園8箇所、近隣公園1箇所、地区公園2箇所、都市緑地5箇所の計16箇所を実施、主なところでは、昨年度までの南東地区に引き続き丘珠空港緑地の北西、北東地区の新たな用地買収に着手します。
 公園造成では、街区公園18箇所、近隣公園1箇所、地区公園1箇所、総合公園2箇所、特殊公園1箇所、都市緑地8箇所、緑道1箇所の計32箇所の実施設計及び造成を行います。
 既設公園では、供用開始後概ね20年を経過した街区公園等を地域の特性にマッチした新たな魅力ある個性的な公園とする事業として、街区公園9箇所、地区公園1箇所、緑道1箇所の再整備を行います。
 また、「札幌市福祉のまちづくり条例」の整備基準に基づき障害のある人、高齢者が誰でも快適に楽しく利用できる公園にすることを目的とした福祉のまちづくり公園整備事業では、身障者対応トイレの設置や園路の段差解消などを平成12年度から計画的に実施しております。
 これら公園等の造成、再整備等の事業も、みどりを守り育てるための主要な事業でありますので、限られた予算の中で今後も必要なものを順次整備していくものであります。


市民との協働

 市民と協働して行われる今年度の主な緑化事業を紹介します。
 昨年度から引き続きで「マイタウン・マイフラワープラン」や「一家庭一植樹運動」を今年度も実施します。
 「マイタウン・マイフラワープラン」では、歩道の植樹桝や公園等に植える花苗を、市内の小学校のほか幼稚園や地域を対象に、市民の皆さんとの協働により、育成及び植栽をします。「一家庭一植樹運動」では、本市の緑化イベントや地域での緑化活動などをとおして、家庭や地域への植樹を市民と共に進めます。
 また、平成18年度の新規事業の「リラの花香るまちづくり事業」では、市民や企業の協力の下に、民有地や公園、学校、公共施設等に、札幌市の木であるライラック(リラ)を植樹することにより、札幌を訪れた方々に、札幌らしい街並を感じていただくとともに、併せてみどりのボリュームアップを図りたいと考えています。
 この他にも、「みどりゆたかな都心づくり事業」では、都心部における緑豊かな街路空間の創出に向け、沿道企業との協働によるフラワーポットの設置や、北国特有の色鮮やかな花を用いた街路樹景観に取り組みます。山口緑地では市民による植樹を積極的に推し進める「さっぽろふるさとの森づくり事業」など、市民との協働による取り組みをより充実させるため様々なメニューを用意して取り組んでいるところです。


終わりに

 緑は私たちの生活にうるおいや安らぎを与えてくれる貴重な財産です。緑を守り増やす取組みは、公園・街路樹・広場等での緑化のほか、民有地での緑化が大切な取組みと考えられており、その一つとして建築物におけるオープンスペースや屋上での緑化が全国的に進められています。
 札幌市でも、民有地での緑化の普及を目指し屋上緑化のモデル施工を本庁や厚別区役所で取り組んでおります。このほか、市民の皆様との協働による家庭での植樹や花苗育苗を積極的に進め、市民の方々が緑とふれあうことで、緑の大切さをより理解していただけることを期待しながら、緑豊かなうるおいのある街づくりを進めています。
 ぜひ、10年後20年後の札幌を訪問していただき、私たちの取り組みの成果を実感していただきたいと思います。


平成18年度歳出予算案総括表(みどりの推進部)
                              (単位:千円)
区分 平成18年度
予算案
平成17年度
予算額
増 減 増減率
07 土木費(みどりの推進部分) 9,770,489 12,044,743 △2,274,254 △18.9%
06 公園緑化費(みどりの推進部分) 9,770,489 12,044,743 △2,274,254 △18.9%
01 公園緑地管理費 3,580,020 3,668,326 △88,306 △2.4%
01 公園管理費 2,739,874 2,757,942 △18,068 △0.7%
02 緑地及び街路樹等管理費 840,146 910,384 △70,238 △7.7%
02 公園緑地整備費 6,190,469 8,376,417 △2,185,948 △26.1%
01 公園造成整備費 3,367,761 4,077,987 △710,226 △17.4%
02 公園用地取得費 2,112,558 3,534,750 △1,422,192 △40.2%
04 緑地等整備費 710,150 763,680 △53,530 △7.0%


緑豊かな“マチづくり”に貢献します
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