建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年7月号〉

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川辺川流域の砂防事業での台風14号による災害復旧

――災害箇所の重点整備で住民の安全を確保

国土交通省 川辺川ダム砂防事務所 台風14号復旧事業

▲にがこべ谷川第6砂防えん堤完成予定図

川辺川ダム砂防事務所では現在、平成17年9月6日に発生した台風14号の復旧事業を行っている。この台風は、熊本県内のほぼ全域を暴風雨に巻き込み、天草の西海上を北上した。この影響により、球磨川流域では、降り始めてからの降水量が約500oを超え、1時間に最大53oという豪雨を記録した。これによって川辺川流域は、195箇所の山腹崩壊が発生。土砂崩れや河川による洗掘で、至る所で道路が寸断され、5つの集落(36世帯・103人)が孤立した。
 同事務所が施工している主な箇所は、久連子川上流、山の津谷川、にがこべ谷川上流などである。
 久連子川は、山腹崩壊の被害で河道内に多量の土砂が堆積し、既設護岸の埋塞や河岸が侵食された。そのため、堆積土砂撤去及び護岸工の整備を行っている。
 山の津谷川は、豪雨により多量の土砂が流下したため、市道石飛線の一部及び新山の津川橋、山女魚種苗生産育成施設などが埋塞した。今後の出水により、多量の土砂流下の可能性や橋梁流出による2次的災害も懸念されたため、砂防事業による応急復旧対策の後、本復旧に入る予定だ。
 にがこべ谷川の被害は、河岸浸食及び河岸上部の斜面が140mにわたって崩壊し、周辺の集落7世帯20名が孤立した。今後、さらなる出水で崩壊する懸念もあるため、砂防事業による緊急的な事業を行っている。
 同事務所では今回、災害を受けた箇所や荒廃した渓流で、砂防設備を重点的に施工しているが、今後も流域住民の生命や財産を守るため、地域住民と連携した効果的・効率的な事業を進めていく方針だ。

▲にがこべ谷川上流の山腹崩壊状況 ▲山女魚系住育成施設・被災直後
▲久連子上流の山腹崩壊状況 ▲山女魚系住育成施設・応急復旧後


 ●久連子川渓流保全工事  ●にがこべ谷川渓流保全(その1)工事 ●にがこべ谷川第6砂防えん堤工事
株式会社土井組 株式会社藤永組 丸昭建設株式会社


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