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広島県の地質は花崗岩及び流紋岩が広く分布し、県下のほぼ70%を占める。特に花崗岩は48%を占め、分布率の高さは全国1位となっている。花崗岩の大部分は、容易に化学的風化を受け二次鉱物としての粘土鉱物に変質し、進行するといわゆる「マサ土」と呼ばれる風化花崗岩となる。このため、深い層まで風化している場合は、滑落、崩壊が生じることがあり、広島県は地質上災害を受けやすい状況にあるといえる。
近代の広島県の災害を振り返ると、昭和20年枕崎台風での被害は、広島市、呉市及びその周辺が多く、県全体での死者数1,775人、家屋被害(全・半壊,流失)は6,832戸を数えた。このうち渓流での被害としては、死者数1,037人、家屋1,021戸であった。
昭和42年豪雨被害で、呉市の被害が最も多かった。これは前面を海に、背後三方を山に囲まれたすり鉢状の地形で、旧海軍の根拠地が造営された経緯が背景となっていた。このため人口が増大すると共に、急傾斜地に宅地が造成され山腹斜面一帯に住居地域が形成されてきた経緯がある。この時の総雨量は317.0mm、時間最大雨量(呉市)74.7mmの豪雨となり、県全体での死者数159人、家屋被害(全・半壊)は1,119戸を数えた。このうち呉市では死者数88人、家屋被害(全・半壊)は465戸を数えた。砂防施設の被害は703箇所による。この災害が「急傾斜地法」制定の一つの契機となった。
平成11年の豪雨は短時間集中型の降雨で、広島市西部では連続雨量232.5mmのうち、最大3時間で144mmに達した。また呉市でも連続雨量184mmのうち、最大3時間で151mmに達した豪雨であった。今回の被害は、土石流139箇所、がけ崩れ186箇所に及び、県全体での死者数31人、家屋被害(全・半壊)は255戸を数えた。この災害が「土砂災害防止法」制定の一つの契機となった。
こうした都市型災害に対処するため、広島県は厳しい財政状況ではあるが、ハード事業も計画的にかつ集中的に実施している。方針としては、災害履歴対策、災害時要援護者関連施設対策、重要交通網対策、地域支援対策の4施策を優先して進める方針だ。これに合わせ、ソフト対策にも重点をおき、土砂災害防止法の推進や情報基盤の整備に取り組んでいる。
渓流名 等 | 場 所 | 事業名 | 工 種 | 規 模 |
安川左支川 | 安佐南区伴東 | 災害関連緊急砂防 | 不透過型コンクリート | h=08.0m l=39.0m |
古野川 | 佐伯区五日市町上小深川 | 〃 | 不透過型ダブルウォール | h=08.0m l=70.4m |
屋代川 | 伯区屋代 | 災害関連緊急砂防 | 不透過型ダブルウォール | h=10.0m l=76.8m |
宮ヶ谷川(堂ヶ原支川) | 佐伯区五日市町上河内 | 災害関連緊急砂防 | 不透過型コンクリート | h=10.0m l=34.0m |
土居(飯室土居) | 安佐北区安佐町飯室土居 | 災害関連緊急急傾斜 | 法枠工 | a=906.0u |
魚の滝261(魚の滝270) | 佐伯区小深川魚の滝261 | 災害関連緊急急傾斜 | 法枠工・待受擁壁工 | a=3427.0u l=15.3m |
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▲屋代川砂防堰堤(災関、不透過型dw) | ▲安川左支川被災時氾濫状況 | |
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▲宮ヶ谷川砂防えん堤 (不透過型コンクリート)復旧後 |
▲土居(飯室土居)普及後 |
●安川左支川不透過型コンクリート工事 | ●吉野川不透過型ダブルウォール工事 |
河井建設工業株式会社 | 協和建設株式会社 |
●屋代川不透過型ダブルウォール工事 | ●宮ヶ谷川(堂ヶ原支川)不透過型コンクリート工事 |
株式会社三上建設 | 株式会社清水土建工業 |
●土居(飯室土居)法枠工工事 | |
アース工業株式会社 |