建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年6月号〉

寄稿

活力ある宗谷づくりに向けて

―北海道稚内土木現業所 平成18年度事業概要

北海道 稚内土木現業所長 葛西 勝栄

葛西 勝栄 かさい・かつえい
昭24年9月7日生 室蘭工業大学土木工学科卒、昭49室蘭工業大学助手、昭51小樽土現共和出張所、昭55年小樽土現蘭越出張所黒松内事業所、昭62室蘭土現治水課河川係長、平1商工労働観光部企業立地推進室工業基地第一課主査、平3土木部砂防災害課砂防係長、平5函館土現治水課長、平7旭川土現治水課長、平9建設部空港港湾課主幹(苫小牧管理組合派遣)、平11建設部砂防災害課長補佐、平13小樽土現企画調整室長、平14留萌土現事業部長、平16監査委員事務局技術監査課長、平18宗谷支庁稚内土木現業所長
▲暖気による雪崩発生の状況
▲豊富中頓別線スノーシェルター

 地域の皆様には、日頃から稚内土木現業所が実施しております各種事業の推進につきまして、ご理解とご協力を頂き厚くお礼申し上げます。
宗谷地域は、豊かで美しい自然環境を有し、水産業・酪農業・観光を基幹産業として発展した魅力あふれる地域であり、サハリンとの交流などこれからの可能性に充ちています。

 しかし、道央圏や中核都市までの距離が長いことや、道路が主要な交通手段となっている地域が多いことから、高度医療機関への移動時間の短縮や冬期間を含めた通年での安全な交通の確保が求められており、少子高齢化の中にあって、地域の方が快適で安心して暮らせる地域づくりを進めることが重要な課題となっています。

 また、道では財政状況の悪化により目前に迫った赤字再建団体への転落を回避するため、聖域なきコスト縮減に取り組んでおり、北海道開発関係予算など社会基盤整備の事業についても今後更なる効率化と重点化が求められています。
 このような状況を踏まえ、稚内土木現業所では、地域課題を的確に捉えながら、豊かな暮らしと自然に満ちた活力ある宗谷づくりにむけて、様々な事業展開を図っていきます。

 それでは、平成18年度の主な事業の概要ですが、道路事業では、災害に対する安全性の確保のため、枝幸音威子府線パンケナイ地区の歌登トンネルに着手するとともに道路改良の早期完成を目指すほか、元地香深線元地地区における地すべり対策などの新規着手に加え、沓形仙法志鴛泊線久連地区においても新たに越波対策を行います。

 また、冬期交通の安全性の向上を図るため、管内特有の地吹雪対策として利尻富士利尻線や豊富猿払線など8路線で新たに防雪柵等の整備に着手するなど、引き続き積極的な整備を図ります。

 交通ネットワークの強化として、国道40号豊富バイパス(自動車専用道路)とオホーツク方面とのアクセス向上を図るため、豊富浜頓別線の整備を促進します。
 また、離島での生活や産業・観光を支える道路として、礼文島線、沓形仙法志鴛泊線、利尻富士利尻線などで未整備区間の整備に努めていきます。

▲土石流捕捉工(利尻富士町二股沢川)
▲防風柵(礼文町浜中漁港)

 さらに、街路事業では、快適な都市空間の創出を目指し、3.4.7オホーツク通(枝幸町)で整備区間の延長を図り整備を促進します。
 次ぎに、河川・砂防・海岸事業については、自然災害から尊い人命や財産を守るために、積極的に整備を促進し、安全で安心して暮らせる住みやすい地域づくりをめざしています。

 先ず、河川事業では、頓別川やウエンナイ川などの広域基幹河川改修において、河畔林の保全、植生の復元に配慮した築堤工、護岸工等を実施するとともに、砂防関係では、大雨等による土砂災害の備えとして雄忠志内川やアフトロマナイ川などで砂防事業を実施し、礼文町元地冷水地区で地すべり対策事業や稚内市東浦地区などで急傾斜地崩壊対策事業を実施します。
 また、生活環境の改善と河川等の水質保全を図るため、頓別川で河畔林の整備を実施するとともに、過疎地域の下水道整備を市町村に代わって行う過疎下水道代行事業では、利尻富士町鬼脇地区や礼文町船泊地区で処理場施設などの整備を引き続き進めます。

 さらに、漁港事業では、水産物の安定供給を図るため、漁場との一体的、総合的な整備を進めており、浜鬼志別漁港や西上泊漁港など、猿払地区、礼文地区、枝幸地区等の漁港で引き続き整備を促進するとともに、新たに新湊漁港、本泊漁港で高度化事業に取り組み、漁港施設の整備や就労環境の改善を図ります。
 このほか、道立宗谷ふれあい公園では、今年度から指定管理者制度を導入するとともに、稚内市などの関係機関の協力をいただきながら、地域の方と共に公園を育んでいけるような運営に努め、これからも親しまれる公園づくりに取り組みます。 

 最後になりますが、宗谷管内のさらなる発展のため、地域との連携・協働を図りながら、より効率的・効果的な事業の実施に向けて、職員が一丸となって努力して参りますので、今後ともご理解とご協力をお願い致します。

宗谷地域の発展に貢献します
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