建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年6月号〉

interview

2020夏期五輪招致に今から着手

オリンピックを次期市長選の争点の一つに

北海道議会議員・建設委員長  丸岩 公充

丸岩 公充 まるいわ・きみあつ
昭和16年12月3日 台湾台中州に生まれる
昭和35年3月 道立本別高校卒
昭和39年3月 法政大学法学部法律学科卒
昭和39年4月 札幌市採用
平成3年3月 南区市民部長
平成6年5月 札幌市退職
平成7年4月 北海道議会議員初当選(札幌市南区選出)
平成11年4月 北海道議会議員2期目当選(無投票)
平成15年4月 北海道議会議員3期目当選(無投票)
<主な公職>
建設常任委員会 委員長
北方領土調査特別委員会 委員
自民党道連 組織委員長
北海道観光議員連盟 幹事長
北海道道路利用者会議 会長
北海道農業土木測量設計協会 顧問
北海道造園緑化建設業協会 顧問
低迷する北海道経済を再生し、財政再建を目指すには、「単に歳出をカットするだけではなく、歳出に反映して歳入が増える増収策を模索すべきだ」と、丸岩公充建設委員長は力説する。そのための特効薬として、五輪招致や新幹線建設の効果を、有機的に連携させ、相乗効果を狙うという戦略を提言する。単なる節約ではなく、増収のための手だてを模索する積極姿勢がなければ、縮小の一途を辿るのは企業経営者でなくても分かることである。問題は、それを実行できるかどうかが、自治体としての明暗を分けることになるだろう。前号に続き、同委員長に再生に向けての構想などを窺った。
――道州制が論議されていますが、特区としての利点を生かせば、新たな視点で可能性を拓くこともできるのでは
 丸岩
道州制は、ただやれば良いというものではありません。財源の確保または補償など、担保された状況が実現できるかどうかが重要です。道州制の最終形態だけを先に決めて、さあやれと言われても、実行できるものではないと思います。
北海道は、面積が広い割には高速道路の整備が進んでいるわけでもなく、インフラが整っているわけでもないというジレンマがあり、そして冬は厳しい気候です。そうした負の条件が、道州制論議で、どれだけ理解されているのか。国家予算が減っていくのだから仕方がないと割り切られるのではダメだと思います。
今回は当別ダムのゴーサインが出ました。知事も私も去年一昨年の台風で日高の二風谷ダムを見てきましたが、ダムに溜まっている流木はものすごい量で、もしもダムがなければ下流域は全滅しているでしょう。ですから、公共事業は必要です。そして、それは財産として残っていくものであって、雪のように溶けて消滅する除雪とは違うのです。
――今後は公共事業をどのように確保できるでしょうか
 丸岩
私は現在、夏のオリンピック誘致に取り組んでいます。札幌市の上田市長は誘致を断念しましたが、オリンピック開催の準備には1兆8千億円を要します。そのうち札幌市の負担分はわずか2千5百億円で、市民一人あたりでは14万円です。赤字で大変なときにオリンピックなどと、高齢者は反対するでしょう。しかし、私の念頭にあるのは15年先で2020年の五輪です。
オリンピック開催によって総額1兆8千億円の事業を、札幌市はわずか14%の2千5百億円で獲得できるのです。開催後の観光客も確保できます。また100km圏内で開催されますから、札幌だけではなく小樽、岩見沢、室蘭、苫小牧なども一緒に発展すると思います。オリンピックはただのお祭りではなく、公共事業そのものでもあるのです。
今回の市民投票では、35%が反対で、32%が賛成でした。しかし内訳を見ると、反対票は高齢者が多く、賛成票は若者が多かったのです。若者にとっては、15年後の夢ですから当前でしょう。したがって、来年の統一地方選で、若者に向けての自民党の政策テーマになると思いますね。
――勝算はあるのでしょうか
 丸岩
今回は東京も福岡も立候補しますが、2016年には日本にはオリンピックは来ないと思います。2008年は北京、2012年はロンドンとなり、次はアメリカの番となるでしょうから、アジアには来ないはずです。しかし、2020年ならばアジアに帰る可能性があります。
したがって、札幌市も自分の街だけではなく、北海道全体を考えて欲しいですね。公共事業は減っていきますが、だから仕方ないと諦めず、公共事業を何とか誘致する方法を考えることが必要です。例えば新幹線がついに着工となりましたが、私が五輪誘致に取り組むのは、この新幹線建設を促進するためでもあります。
――新幹線効果も、大いに期待できますね
 丸岩
新幹線ができれば、朝に青森から札幌に買い物に来て、例えば「大丸」で買い物をし、地下街で昼食や夕食をとって帰宅できます。また、秋田や青森の小学生らが修学旅行で来ることもできます。わざわざ東京にまで出なくても、新幹線で2時間もあれば札幌に来られるのですから。 その意味でも、札幌市は道都という視点だけでなく、少なくとも東北三県の核都市を目指す志を持って欲しいですね。福岡市でも周辺県を含めた経済圏の中心となっているわけですから。特に、札幌市長は北海道市長会の会長でもあるのです。
道内の人口が札幌に一極集中しているとの指摘もありますが、札幌は道内人口の道外流出を食い止めているに過ぎません。札幌に魅力がなくなったなら、全道規模で人口は減少するでしょう。
――四期目に向けての抱負は
 丸岩
発言力、実行力、実現力をより高めて、歳入拡大と財政再建のための政策を、建設という分野を通じて実現していきたいですね。一期目はあくまで初心者で、二期目でもまだ甘いところがあります。三期目にしてようやく委員長に就任し、培った経験を生かしている最中です。そして四期目となったなら、さらに行政に対して大いに発言し、納得させていける力を得ていかなければなりません。それが議員たる者の責任だと思います。政策は政治家の仕事であって、行政を通じてそれを実現させていくのですから。

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