建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年5月号〉

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【小田急線連続立体交差事業】

代々木上原〜梅ヶ丘間連続立体交差事業および複々線化事業

連続立体交差事業と複々線化事業の一体整備で事業効果を大きく発揮!!
慢性化する交通渋滞とラッシュ時の列車の混雑を同時解決!

▲本格的に工事が進む東北沢駅付近

小田急線は新宿を起点とし、都心と神奈川県央部などを結ぶ約120kmにわたる鉄道路線で、1日に184万人が利用する首都圏の通勤、通学の大動脈である。朝のラッシュ時には、大手民鉄では3番目となる188%の混雑率にまで達し、過密なダイヤにより列車速度も低下している。さらに、都内の踏切の多くが、1時間に50分以上遮断し、慢性的な交通渋滞などの弊害を生じている。
 このような問題を解決するため、東京都と小田急電鉄では、連続立体交差事業と複々線化事業(4線化)を一体的に進めており、すでに郊外方の世田谷代田〜登戸駅間8.8キロの4線高架化(一部掘割化)が完成、30箇所の踏切解消や列車の所要時間短縮などによる効果を発揮してきた。そして、2004年9月には、残る都心方の代々木上原駅〜梅ヶ丘駅間2.2kmの4線地下化に着手、現在、工事を推進中であり、以下、この事業について紹介する。

■道路と鉄道の2大効果

本事業では、地上の在来線をシールドや開削トンネル構造で4線地下化にする。これにより踏切9箇所が廃止となり、慢性的な交通渋滞や地域分断が解消されるほか、賑わいのある下北沢の街で、心配される踏切事故もなくなる。また、既に完成している複々線化区間とつながることで、列車の増発が可能となり、混雑が大幅に緩和されるなど、抜本的な鉄道輸送の改善を果たすことができる。このように、本事業は道路と鉄道の両面において、高い事業効果を発揮する。特にこの付近は、小田急線で最も列車が混雑し、また、列車の「ノロノロ運転」により、踏切が全て「開かずの踏切」となる。そのため、整備の緊急性も高く、多くの住民や鉄道利用者からも、早期完成へ大きな期待が寄せられている。


■工事の状況

本事業区間は、世田谷区および渋谷区の密集した市街地であり、非常に厳しい施工条件の中、在来線直下でシールドトンネルを掘進するほか、1日7万台の自動車交通量がある環状七号線や京王井の頭線との交差および東京地下鉄千代田線との隣接など、多くの関係者を有する難工事である。
 着工から3年目を迎え、環状七号線交差部では、推進トンネルの発進立坑が完成し、引き続き、道路直下においてトンネル本体の推進工事を開始、2006年内の一期施工分(2線分)の完成を目指す。また、東京地下鉄と相互直通運転を行っている代々木上原駅付近では、6月に千代田線留置線とあわせて仮線切替を行うほか、シールド関係の工事では、トンネルの掘進開始に向け、シールド立坑の構築やシールド機械の製作などを進めている。
 このように、工事も本格化している中、鉄道輸送の安全と工事の安全を確保すべく、トンネル工事の有識者などで構成する技術委員会を設け、難工事に対する安全面の検証も行なっている。また、人為的事故の防止に向けた安全対策にも、積極的に取り組んでいる。


■沿線対策・事業PR

工事は終電後の夜間作業が続くなど、沿線地域への影響が避けられない。そのため、工事説明会を開催するなど、地域住民の理解と協力を得ながら進めている。また、地下化工事は、将来のイメージや工事の内容がわかりづらいことから、本年3月、下北沢駅に事業prコーナーを開設し、模型やCGにより工事の詳しい情報
の提供を行っている。
 この事業は大きな注目と期待が寄せられていることから、同社では、安全確保への取り組みや住民との調和を図りつつ、1日も早い完成に向け、精力的に工事を推進している。


小田急線代々木上原〜梅ヶ丘間線連続立体交差化事業に貢献
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