建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2006年4月号〉

寄稿

一般国道3号黒崎バイパス・
201号飯塚庄内田川バイパスの整備について

国土交通省 九州地方整備局 北九州国道事務所 技術副所長 下山 道秋

▲終点側(八幡地区)からjr黒崎駅方面を望む
はじめに

北九州国道事務所は福岡県の東部及び北部の重要都市を結ぶ一般国道2号、3号、10号、200号、201号の5路線(171.9q)の改築事業、電線共同溝整備事業、交通安全対策事業、維持管理を実施しています。管内には政令指定都市である北九州市をはじめ、総人口約197万人に上る11市18町1村の地方自治体があり、当事務所ではこれら所管地域の生活、産業および社会・文化活動を支え、かつ地域の活性化の基盤となる直轄国道の安全で円滑・快適な交通を確保するという重要な使命を担い、管内各市町村の地域計画を支援しているところです。
 現在、改築事業としては、3号黒崎バイパス、岡垣バイパス、10号行橋バイパス、豊前拡幅、200号直方バイパス(馬場山交差点渋滞対策)、引野口バス停周辺地区整備、201号飯塚庄内田川バイパス及び仲哀改良、行橋インター関連の各事業を推進中です。
 九州地方整備局では供用目標・効果の明示と進捗管理を実施する、利用者に見えるみちづくり「ちゃくちゃくプロジェクト」を進めておりますが、当事務所におきましては3号黒崎バイパス、10号行橋バイパス、200号直方バイパス、201号飯塚庄内田川バイパス、201号仲哀改良の4路線(5事業箇所)が指定されています。今回はこのうち、現在鋭意事業中の3号黒崎バイパス、201号飯塚庄内田川バイパスの整備について紹介いたします。

▲黒崎バイパス(黒崎駅付近)の施工状況
▲黒崎バイパス(陣原駅付近)の施工状況
一般国道3号黒崎バイパス

黒崎バイパスは北九州市八幡東区西本町〜八幡西区陣原までの延長5.8kmの路線です。一般国道3号は北九州門司区を起点に福岡市や熊本市などの九州西部を縦断し、鹿児島市に至る延長約426kmの重要な幹線道路ですが、近年は小倉方面から福岡市方面への通過交通が多いことに加え、周辺地域から発生する生活交通や産業交通が加わり、慢性的な交通渋滞が発生しています。特にjr黒崎駅付近では1日約8万2千台(平成11年道路交通センサス)の自動車交通量で、朝夕のラッシュ時には一般国道3号八幡東区西本町〜八幡西区陣原間の通行に約23分を要する状況です。また、黒崎地区は北九州市の副都心として各種再開発事業が実施・予定されているため、今後ますますの混雑が予想される地区となっています。
 そこで一般国道3号の自動車専用道路として北九州市八幡東区本町〜西区陣原に至る延長5.8kmを4車線の「黒崎バイパス」として計画し、整備を進めています。
 このバイパスが開通すると、並行する国道3号の混雑時の通行所要時間が約17分短縮されるとともに、現道交通量の約70%が黒崎バイパスに転換されると予想されます。これにより、主要渋滞交差点である筒井・黒崎駅前交差点の交通混雑の緩和、通学児童、買物客の安全性、快適性の向上、バスの走行性・定時性が確保され、交通事故の減少、交通騒音の減少など、沿道環境の改善が図られます。
 また、北九州都市高速道路と結節することで北九州都市高速道路および九州自動車道と一体となった自動車専用道路網が構築され、市北西部を中心とした都市圏全体のアクセス性向上、定時性の確保による物流交通の円滑化が実現し、加えて副都心の再開発事業が促進されることで、小倉都心部、黒崎副都心の2極型都市構造の形成が図られます。
 一方、奥洞海湾地区など沿線工業地帯から市内外の交通拠点である高速道路ic、新北九州空港、太刀浦コンテナふ頭、新門司フェリー等へのルートについても時間短縮、定時性の確保により物流効率化が図られます。また、北九州地域の産業の高度化・先端化を担う「北九州学術研究都市」の拠点地域から高速道路ic、空港、鉄道駅等の交通拠点、テクノセンター、テクノパーク等の産業拠点へのアクセスが向上し、研究都市への開発、整備の支援が図られます。
 工事は現在、陣原ランプ〜黒崎ランプ間(延長2.9km)区間の平成19年度を目標に舟町ランプ〜陣原ランプ間(l=2.9q)暫定2車線供用を目指し、鋭意整備を進めているところです。

▲▼飯塚庄内田川バイパス
一般国道201号飯塚庄内田川バイパス

一般国道201号は、従来から九州北部の都市間を東西に結ぶ幹線道路として利用されてきましたが、飯塚市から田川市に至る区間では、その行程の多くを、映画『青春の門』で全国的に知られるようになった烏尾峠などの山間地が占めており、気象条件等による規制区間が多くなっています。また都市域では近年の交通量増加に伴って渋滞が慢性化している状態にあります。
 このため、福岡県嘉穂郡穂波町弁分から田川市弓削田に至る延長9.7km区間を飯塚庄内田川バイパスとして事業を行っています。路線は嘉穂郡穂波町弁分〜飯塚市鶴三緒間(延長2.9km)が既に暫定2車線供用中で、続く庄内町有安までの区間(延長3.3km)については平成18年度暫定2車線供用、庄内町有安から田川市弓削田までの区間(延長3.5km)については平成20年度の暫定2車線供用を目指し整備を進めているところです。
 平成17年度は飯塚市鶴三緒〜庄内町有安間における上三緒跨道橋、綱分跨道橋、庄内川橋等の工事を施工中です。また庄内町有安〜田川市弓削田間では、20年度の供用に向けて、烏尾トンネルの1期工事に着手したところです。
 バイパスが開通すると、現道の国道201号に比べて福岡市から田川市間の所要時間が約20分の短縮されるとともに、主要渋滞ポイントである「片島交差点」「立岩交差点」の交通渋滞を緩和します。また、新たな経済構造の実現が図られることで地域振興プロジェクト支援が可能となり、石炭産業からの脱皮を目指した筑豊地域の産業、並びに経済の活性化への貢献が期待されます。
 整備にあたっては飯塚市鶴三緒〜庄内町有安までの区間については一部県道を有効利用するとともにランプ橋を本線橋として利用することによって初期の建設コストから約30億円の縮減を行いました。さらにトンネル区間の歩道幅員見直しに伴うトンネル断面縮小等によりコスト縮減を図っています。

終わりに

両バイパスの工事にあたっては、工事用車両の通行等の安全対策や騒音・振動などに十分配慮し、整備を進めてまいります。地域住民の方々のご協力を得ながら鋭意事業に取り組んでいきたいと考えております。


北九州国道事務所内の道路整備に貢献 黒崎パイバス安全協議会 飯塚庄内田川バイパス安全協議会
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