北海道発未来着

北海道が人口日本一!?

29.日本の人口分布の変遷

日本の国勢調査は大正9年(1920)に始まった。その時、北海道の人口は都道府県別で全国第3位の236万人であった。それから約半世紀の昭和40年(1965)まで常に3位以内をキープしていた。その上昭和20年(1945)には、戦時中の疎開の影響もあったにせよ、全国第1位の352万人であった。たとえ一時的な現象であったとしても、北海道の人口が全国一であったことはほとんど知られていない。

表−10 都道府県別人口ベスト10の変遷
順位 1925年 1935年 1945年 1955年 1965年 1975年 1985年 1995年
1 449
(東京都)
637
(東京都)
352
(北海道)
804
(東京都)
1087
(東京都)
1167
(東京都)
1183
(東京都)
1177
(東京都)
2 306
(大阪府)
430
(大阪府)
349
(東京都)
477
(北海道)
666
(大阪府)
828
(大阪府)
867
(大阪府)
880
(大阪府)
3 250
(北海道)
307
(北海道)
286
(愛知県)
462
(大阪府)
517
(北海道)
640
(神奈川県)
743
(神奈川県)
825
(神奈川県)
4 245
(兵庫県)
292
(兵庫県)
282
(兵庫県)
386
(福岡県)
480
(愛知県)
592
(愛知県)
646
(愛知県)
687
(愛知県)
5 232
(愛知県)
286
(愛知県)
280
(大阪府)
377
(愛知県)
443
(神奈川県)
534
(北海道)
586
(埼玉県)
676
(埼玉県)
6 230
(福岡県)
276
(福岡県)
275
(福岡県)
362
(兵庫県)
431
(兵庫県)
499
(兵庫県)
568
(北海道)
580
(千葉県)
7 185
(新潟県)
200
(新潟県)
239
(新潟県)
292
(神奈川県)
396
(福岡県)
482
(埼玉県)
528
(兵庫県)
569
(北海道)
8 167
(静岡県)
194
(静岡県)
222
(静岡県)
265
(静岡県)
301
(埼玉県)
429
(福岡県)
515
(千葉県)
540
(兵庫県)
9 163
(長野県)
184
(神奈川県)
212
(長野県)
247
(新潟県)
291
(静岡県)
415
(千葉県)
472
(福岡県)
493
(福岡県)
10 162
(広島県)
180
(広島県)
205
(埼玉県)
226
(埼玉県)
240
(新潟県)
331
(静岡県)
357
(静岡県)
374
(静岡県)

ところが、それがら半世紀経った平成7年(1995)には第7位にまで後退してしまった。東京一極集中、石炭・造船・鉄鋼などの基幹産業の衰退といった人口の伸び悩みの原因を結果論的に指摘することは容易である。しかし、今必要なことは長期低落傾向にある人口の全国順位を再び上げるためにはどうすべきかを真剣に議論し実行に移すことである。その実行が行われないとしたら、北海道の順位はひたすら下がるだけであろう。過去に明治維新後の本格的な開発からわずか半世紀で全国第3位になり、さらに半世紀もの間3位以内を続けてきたことを思えば、再上昇を目指すことは決して無理なことではない。何しろ全国の5分の1の面積と、12.5%もの居住希望者(昨年8月10日付け読売新聞ふるさと意識全国世論調査結果、図−18参照)がいる。

▲図−18 住みたい県ベスト10

表−11 世界の主要都市の気候(理科年表より)
都市名 1月の平均気温 8月の平均気温
札  幌 -4.6 21.7
旭  川 -8.4 20.9
釧  路 -6.1 17.8
東  京 5.2 27.1
ロンドン 3.8 16.2
パ  リ 3.5 18.0
ベルリン -0.2 18.4
ローマ 8.0 23.8
モスクワ -9.2 16.3
北  京 -4.3 24.6

さらに世界の主要都市の気候に似ているのは東京よりもむしろ北海道である(表−11参照)。世界の主要都市の中で東京の夏は飛び抜けて暑く、赤道直下のジンガポール(8月の平均気温26.9度)よりも暑い。このように北海道には人口が増えても当然な好条件が揃っている。それにも関わらず、人口の順位が今後も下降を続けるとしたら、何が大きな欠陥(誤解、先入観を含めて)が北海道に潜んでいるとしか理由が見当たらない。人口日本一の再現を期待するのは難しいとしても、せめて3位以内への復帰ぐらいは目指して欲しいものだ。
 これを実現不可能な夢と思うがもしれないが、夢はその持ちようで夢のままに終わる場合もあれば、実現する場合もある。ウエスト・ポイント(アメリカ陸軍土官学校)におけるリーダーの基本心得に「他人が考える以上に夢を抱けば、現実になる」「他人が考える以上に期待をすれば、可能になる」というのがある(参考文献(1)より)。気持ちの持ち方で如何様にも変わるのは個人も地域も同じではながろうが。今北海道に必要なのは多くのそして大きな夢と期待を他地域の人が考える以上に抱くことである。

〈参考文献(1)〉 「ウエスト・ポイント流最強の指導力」l.r.ドニーソン著 斎藤精一郎訳、三笠書房








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