建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2006年3月号〉
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富士山の直轄砂防事業を推進

東西交通の要衝・由比地区では地すべり対策事業がスタート

国土交通省 富士砂防事務所 富士砂防事業

▲除石工
日本の最高峰・富士山はその優れた景観から、日本のシンボルとして親しまれてきたが、その美しい容姿とは対照的に、脆弱な火山地質で構成されているため、土砂の再生が活発で土石流を発生させるなど下流域に多大な被害を与えてきた。
▲猪の窪沢
大沢崩れ
大沢崩れは、富士山西斜面の山頂直下から標高2,200m付近まで、延長(水平距離)2.1km、最大幅500m、最大深150m、崩壊面積1kuにわたる崩壊地である。崩壊土砂量は東京ドーム約60杯分に相当する7,500万m3と、日本最大級の規模を誇る。
この対策として、大沢扇状地内で土砂を安全に氾濫堆積させ、潤井川への流出を防止する遊砂地を整備。未然に数多くの土石流を捕捉し、下流域への被害を防止する。
近年では平成12年11月、平成16年12月に土石流が発生したが、遊砂地で全ての土砂を捕捉している。
一方、最も崩壊の激しい土石流の発生源である源頭部大沢崩れ対策では現地の自然環境が高標高・急傾斜と非常に厳しく、施工技術・資材運搬手段などの技術的な課題や環境・景観問題などの課題が多い。このため、峡谷部区間の標高2,100m付近で試験工事を行って
いる。調査工事は昭和57年から行われており、現在までに床固式低ダム工、渓岸保護工、斜面基礎工、覆式落石防護網工(ロックネット)など30種類を越える試験施工
を行い、モニタリングを続けている。
南西山麓野渓対策
富士山麓には通常は水が流れていない「八百八沢」と呼ばれる多くの渓流(野渓)があり、豪雨時には土砂を伴って流れ込むことがある。このため、現在までに富士宮市側で猪の窪川、足取川、風祭川、弓沢川、富士市側では凡夫川、千束川、須津川の渓流に着手し、砂防えん堤や沈砂地工などの砂防施設の整備を進めている。
▲由比地区
由比地すべり対策事業
由比地区は江戸時代から交通の難所として知られているが、過去幾多の土砂災害に見舞われ、記録に残る土砂災害だけで26回、その他地震等に起因する多くの土砂災害が発生してきた。
現在、国道1号、東名高速自動車道、jr東海道本線など、重要な国土軸が集中しており、地区の交通量は国道1号67,000台/日、東名高速道路64,000台/日、列車150本/日に上る。この地域で地すべりが発生した場合、甚大な経済被害・人的被害となることが予測されるため、富士砂防事務所と静岡県は、平成16年度に「由比地すべり対策検討委員会」を設立。学識経験者・行政担当者などが合同調査を行い、地すべり地帯で特徴的に見られる地すべり地形を薩た山周辺に確認した。また、東海地震等による地すべりの可能性も高く、早急な国の対策が必要であるとの判断から直轄地すべり対策事業を実施している。
 ●平成17年度 富士山砂防堰堤補強工事 ●平成17年度 富士山大沢川扇状地第6上流床固工工事

遠藤建設株式会社

村本建設株式会社


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