〈建設グラフ2000年5月号〉

ZOOM UP 東京都財政局営繕部

「肉の芝浦」―21世紀の食肉市場を支える最新型シンボル施設に再生

“食品衛生”を主眼に、あらゆる流通面の変化に対応

東京都-東京都中央卸売市場食肉北側棟及び東京都芝浦食肉衛生検査所移転改築

「中央卸売市場食肉市場」は、卸売場、冷蔵庫の老朽化や、部分肉流通の食肉流通の変化に対応する必要があることから、「第6次東京都卸売市場整備計画」に基づいた市場施設の総合的な市場施設整備の一環として進めている。
建設地は、JR品川駅そばで、品川インターシティの近くにあたる東京都港区港南2-7-19。敷地面積6万5,895.74u、建築面積8,218.557u。構造・規模は、pc造、鉄骨造地下1階地上9階建、延床面積5万0887.469uで、最高高さgl+53.62mとなる。
5階までの低層部は卸売場、冷蔵庫、加工処理施設等の市場機能ゾーン、6階以上の高層部は食肉市場関係業者、東京都職員等の事務所ゾーンとし、階層別に各機能を配置している。 
その他内部には、小動物セリ場、仲卸店舗、大動物冷蔵庫、部分肉冷蔵庫、衛生検査所等が設けられ、既存市場棟大動物セリ場及び既存小動物棟解体室とは、それぞれ専用の搬送路によって連絡され、自動搬送によって、大動物、小動物の枝肉の搬入が行われることとなる。
一方、設計上の特徴として、「衛生対策の徹底」が挙げられ、食肉を取り扱う衛生区域とその他の区域を明確に分離し、汚染を防止するとともに、温度管理が徹底されるよう冷蔵設備を充実させているほか、最新の設備機器の導入を検討するなど、衛生対策に万全を期している。
加工場、冷蔵庫その他直接食肉を扱うエリアをクリーンゾーン、その他の直接外部との接触のあるエリアを一般ゾーンとし、これらのゾーンを往来する場合は、必ずクリーニングゾーンを通過する動線計画とした。
外観は、オフィスビル等が立ち並ぶ周辺環境との調和を重視して、ガラスのカーテンウォール、タイル、石、金属板等で構成し、落ち着いた外観となるようにした。
また、周辺への圧迫感を抑えるため、中間階にピロティを配し市場機能ゾーンと事務所ゾーンを分ける構成としている。
現在、JR品川駅周辺では、大規模な再開発事業の一環として、品川インターシティをはじめとした超高層ビル建設が着々と進行しており、周辺地域も変化している。これらに対応するべく同施設も、21世紀の食肉市場の基幹的施設として誕生する。
平成13年度竣工予定。



全都をカバーする高度かつ専門的な福祉・医療の「複合施設」を建設

他施設とも機能的に連携 総合サービスを提供する先進モデル施設

東京都-(仮称)高齢者専門病院

「(仮称)高齢者専門病院」は、今後増加の一途をたどる高齢化ならびに痴呆症高齢者を背景として計画された「高齢者福祉・医療の複合施設(仮称)」の中心となる位置づけとして建設されている施設だ。
建設地は、地下鉄東西線南砂町駅そばの東京都江東区新砂3丁目地内。敷地面積7万4,400u、建築面積9,736.15u。構造・規模は、鉄骨造(免震構造)地上7階塔屋1階建、延床面積3万2,978.00uとなる。
同施設は、全都を対象としているため、痴呆症高齢者120床、一般高齢者200床あわせて320床を設置し、精神障害や行動障害などによって地域医療機関での対応が困難な痴呆症高齢者等に対し、高度専門的な医療・看護を提供していくものとして期待も高まっている。
なかでも、重要な医療課題の計画として、@「特に著しい痴呆症疾患に対する積極的な医療」、A「痴呆症高齢者に対する早期、専門的なリハビリテーション医療」、B「痴呆症高齢者に対する緊急医療と、入院対応の体制を整備する救急医療」、C「痴呆症疾患の約3割を占める血管性痴呆の原因につながる心血管疾患に対する体制を整備する医療に力を入れ取り組むものとしている。
また、「複合施設」全体が一体となって地域医療機関や福祉施設等と連携していくために、「複合施設」内の特養、老健等の他施設とも密接な連携を深めていく。
痴呆症高齢者の医療・看護・介護に関する先進的な技術開発を進めながら、地域医療機関や福祉施設等への普及についても積極的に社会的役割を果たす施設となる。
建設地周辺一帯は、新砂土地区画整理事業区域となっており、リーディング・プロジェクトとされたのが同施設だ。計画・整備においては、区画整理事業をはじめ、放射16号線、環状4号線の幹線街路整備や下水、水道、電気、ガス、地域冷暖房のインフラ整備、駅前広場、公園整備事業などの整合性が重要視された。
平成13年度竣工予定。


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