建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2005年9月号〉

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小沢川流域の豊かな自然環境を保全し、地域住民の生活を支える

洪水調整、水道用水、流水の正常な機能の維持を目的としたロックフィルダムを建設

北海道旭川土木現業所 剣淵町 西岡ダム

▲完成予想図
旭川土木現業所と剣淵町は西岡ダムの建設を進めている。
西岡ダムは、1級河川天塩川水系小沢川の北海道上川郡剣淵町字ペオッペ原野地先に建設するもので、小沢川下流の洪水調節と地元剣淵町の水道用水の供給、流水の正常な機能の維持を目的としている。ダムは高さ31m、堤頂長247mのロックフィダムで総貯水量は84万4,000m3、有効貯水容量66万4,000m3。北海道と剣淵町が共同で実施する生活貯水池整備事業である。また、このダムの整備とともに剣淵町簡易水道拡張事業も進められている。
ダムサイトの上・中流域は自然豊かな森林に囲まれた山地形状を呈し、河床勾配は約1/60の急流。ダムサイト付近の中流域から北へ流れ、さらに下流域では東に流れ、パンケペオッペ川に合流する。中・下流域では広大な水田と丘陵畑地が広がる。
この流域一帯は、古くから台風、前線の停滞、及び融雪によりたびたび洪水に見舞われ、治水施設の不足と相まって田畑・集落地帯は甚大な被害を被ってきた。近年では平成6年8月、12年9月の集中豪雨により床上、床下浸水、さらに田畑などへの浸水被害が起きている。
一方、剣淵町の西部地区では近年では毎年のように夏期に水不足が起きており、タンク車による補水が行われている。特に平成2年から10年にかけては、約300〜400人に影響をおよぼすような水不足が生じた。さらに西部地区の北西部には福祉厚生施設「北の杜舎」や「マツダ自動車テストコース」が立地し、現在はこれら施設の拡張が計画されていることから、将来の水需要の増加が懸念されている。
ダムが完成すると、ダム地点で計画高水流量q=35m3/sのうち、32m3/sを調節し、下流域の洪水を防ぎ、被害を最小限にくい止める。また、水道用水の安定供給が実現され、地域の発展やまちづくりにも大きく貢献する。さらに農業用水の確保や動植物の保護のほか、西岡ダム地点でq=0.033m3/sの水量を維持し、景観や流水の清潔を保持する。
▲パンケペオッペ川流域と小沢川流域に広がる田園風景
西岡ダム周辺の豊かな自然環境を保全
小沢川とパンケオッペ川の周辺環境調査では、植物が340種、鳥類約70種、両生類・は虫類・哺乳類約10種、陸上昆虫類約90種、魚類約10種が確認されている。
西岡ダム周辺の植生は、人為植生のシラカンバ植林で占められ、主に左岸斜面と右岸斜面上部にアカイタヤ・オオバボダイジュ群落、小沢川河岸付近はヤチダモ群落、ケヤマハンノキ群落となっている。さらにダム建設予定地にはエゾサンショウオ、エゾオオサクラソウカタクリなどの動植物が生息・生育している。これらについてはあらかじめ周辺の工事に影響のない場所への移動や移植を行い、保護している。
工事は平成17年3月25日にダムサイト付近で剣淵町長、地元町内会、工事関係者など、約40名が出席して安全祈願祭が行われ、玉ぐし奉献などの神事により工事の安全を祈願。引き続き30日に転流工への河川切替が行われ、現在工事が本格化しているところだ。ダムの完成は平成21年を予定している。
ダム諸元




位 置 北海道上川郡剣淵町ペオツペ原野地先
形 式 ロックフィルダム
堤 高 31.0m
堤 頂 長 247.0m
堤 体 積 317,600m3
非越流部標高 EL 219.70m









集水面積 4.5km2
湛水面積 0.09km2
総貯水容量 844,000m3
有効貯水容量 664,000m3
洪水調節 調節方式 自然調節方式(オリフィス)
治水安全度 1/50
計画高水流量 35m3/s→3m3/s
設計洪水流量 85.0m3/s
不特定利水 かんがい面積 1.1ha
既得用水量 0.004m3/s
上水道用水 給水区域 剣淵町(西部地区)
取水可能量 550m3/日
西岡ダム建設事業本体工工事
●地崎・中山・北野特定建設工事共同企業体

代表取締役 北條 紘次
札幌市中央区南4条西7丁目6番地
TEL.011-511-8111

取締役社長 中山 茂
札幌市東区北19条東1丁目1番1号
TEL.011-741-7111

代表取締役社長 黒川 眞行
旭川市宮下通9丁目766番地キタノビル
TEL.0166-23-0181

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