建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2005年4月号〉

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国内最長級6.8kmの春日井共同溝・最先端技術を駆使したシールドマシンで施工

「高速自動組立セグメント」「高耐久性シールド機」等の長距離シールド技術の粋を結集

国土交通省名古屋国道事務所 19号春日井共同溝

▲シールド機組立

名古屋都市圏は阪神淡路大震災の教訓から、災害時の防災機能の向上と、ライフラインの信頼性・質的向上を図ることが急務であり、国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所では、ライフラインのネットワーク化を図ることを目的に、管内の国道5路線で共同溝事業を実施している。
春日井共同溝は一般国道19号の春日井市大泉寺町〜春日井市勝川町4丁目(延長約6,820m)の地下にシールド工法で建設されている。内部には中部電力・nttのケーブルが収容され、楠・味美共同溝と接続して名古屋市と春日井市を結ぶライフラインネットワークを構成する。 
工事は先行する大泉寺工事と後発の瑞穂工事に分けて実施している。大泉寺工事(春日井市大泉寺〜瑞穂通5丁目間・延長約3,420m)は平成13年3月に工事着手し、16年3月に完了。瑞穂工事は大泉寺工事を引き継ぎ、瑞穂通5丁目〜勝川町4丁目までの延長約3,400mを建設する。
この整備により道路の掘返しを抑制し、円滑な都市交通を確保するとともに都市防災にも大きな役割を果たす。

▲シールド機写真 ▲国道19号(起点)
▲セグメント立坑上から下
最先端技術を駆使
春日井共同溝工事は1台のシールド機での掘削としては、かつてない長距離シールドトンネル(総延長6,820m)であり、部分拡幅や複数回のシールド機カッタービット交換といった高度な施工技術を要する。さらに現場は掘進地盤が堅固な洪積砂礫層という厳しい条件にあるため、長距離シールド対応として技術開発した「高速自動組立セグメント」、「高耐久性シールド機」などの最先端技術を採用している。この技術は大泉寺工事(トンネル延長約3,420m)の掘進で安全性、経済性、品質の面において既に効果を発揮している。
<高速自動組立セグメント>
春日井共同溝で使用している高速自動組立セグメント(qbセグメント)は、二次覆工省略に適し、内面が平滑型の耐久性の高いrcセグメントで、ボルトレスで連結できる構造であり、幅は1,300mm、5等分割のセグメントを使用している。供給から設置までを全自動化し、このセグメントとの併用によって、従来工法より約30%の施工時間の短縮を可能とする。なお、瑞穂工事ではqbセグメントの改良型で仮設ボルトを不要としたqbAセグメントを採用している。
▲セグメント坑内搬送 ▲セグメント台車から搬送装置
<高耐久性シールド機>
同工事は掘進地盤が堅固な洪積砂礫地盤を掘り進むことから、シールド機のビットの摩耗が激しい。そのため、何度でも安全にビットを交換できる「リレービット工法」を採用する。これはカッターディスク内部に作業空間を設け、カッターの回転軸であるシャフトから作業者が進入して任意のビットを交換する工法である。
この特長は、カッターディスクに作業空間を設けて無圧気でビットを交換できること、土質条件に左右されず「いつでも、どこでも、何回でも交換可能」であること、カッタービットの摩耗状況を直接目視確認できることなどが上げられる。大泉寺工事では計4回のビット交換を実施。交換時間は1本あたり90分、全ビット9本を一日で交換することが可能だ。

<部分拡幅>
共同溝に配置されたケーブルを分岐するために、トンネルの一部を約2.5m拡幅する。トンネルの地中拡幅は必要に応じて地中空間をトンネル側から切り拡げる工法として注目されている。
▲eb3地中拡幅 ▲eb4地中拡幅2
▲坑内(曲線)
環境に配慮した地域に優しい施工
発進基地は国道19号と国道155号の交差点の東側約2,400m2の敷地に位置する。
同施設では、シールド掘進のために裏込注入設備、添加材注入設備、受変電設備、濁水処理設備、土砂搬出設備、荷役設備等を設置。主な設備を防音ハウス内に収納して騒音対策を行っている。また防音ハウス及び仮囲いにはイラストや工事広報板を設置してイメージアップに努め、周辺環境に配慮した「地域にやさしい」施工をモットーとしている。
瑞穂工事は平成15年8月から行われ、平成19年3月の完了を予定している。
▲防音ハウス組立 ▲発進基地空中写真 ▲発進立坑防護工

●平成15年度19号春日井共同溝瑞穂工事/鹿島・清水・奥村特定建設工事共同企業体

名古屋支店/名古屋市中区新栄町2-14
TEL. 052-961-6121

名古屋支店/名古屋市中区錦1-3-7
TEL. 052-201-7611

名古屋支店/名古屋市中村区竹橋町29-8
TEL. 052-451-1101

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