〈建設グラフ1999年4月号〉

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運輸省

羽田空港 沖合展開事業で新B滑走路を整備
平成11年度末の供用開始を目指し工事が進行中

■事業完成時の滑走路配置と運用方式(現B滑走路供用に伴い、廃止)
航空機騒音の解消、滑走路処理能力の向上を図るため、運輸省第二港湾建設局が行っている「羽田空港(東京国際空港)沖合展開事業」。
現在は第V期事業後半、新B滑走路及び平行誘導路(新A滑走路西側)の整備が進んでおり、平成11年度末の供用開始を予定している。
■新B滑走路建設
第V期事業後半の代表的な施設である新B滑走路。昭和59年1月に着手した沖合展開事業の中で、新A滑走路(昭和63年7月供用)、新c滑走路(平成9年3月供用)に次ぐ3本目の滑走路になる。
新B滑走路は延長2,500m、幅60mの規模で、現B滑走路から380m海側に離れて位置するもの。さらに、新B滑走路とターミナル間を航空機が円滑に連絡できるよう、その地上走行経路となる平行誘導路(新A滑走路西側)も整備している。
■騒音問題の解消効果
■地震に強い滑走路
震災時における物資輸送などで航空輸送の果たす役割は重要。そこで今工事では、耐久強化策として建設地盤の液状化防止を図っている。
新B滑走路の地盤は、旧空港地区と第T期から第V期にわたって行われた埋立の履歴が異なるため、不均一な地盤成層となっている。
これに対応するため、地盤を振動により締固めながら砂杭を圧入築造し、液状化しにくい地盤に改良するサンド・コンパクション・パイル(SCP)工法による地盤改良を行っている。
サンドコンパクションパイル工法
改良対象層を沖積砂層(AS1層)までとし、地中に40p径のケーシングパイプで砂を送り(1.7mピッチで正方形に配置)これ振動を与えながら押し固めることにより、地中では70p径の砂柱(改良長8.2〜20.7m)を造形し、土砂の密度を高めて地盤を強化し液状下を防止するもの。
■舗装材リサイクルで環境保全
沖合展開事業の進捗に伴い、旧空港地区では舗装施設の撤去が行われ、大量の舗装材が発生する。
今工事では舗装発生材を有効活用できる、フルデプス舗装構造を採用。
この舗装構造は舗装体をアスファルト混合物で構成。アスファルトコンクリート発生材は基層・路盤に活用(再生骨材混入率70%。滑走路の舗装に最大7割ものアスファルトコンクリート発生材を使用することは従来にはなかった画期的なこと。
また、セメントコンクリート発生材は高地下水対策として路床下部に設置する排水層に活用(再生骨材混入率100%)。これらを場内に設置した再生プラントで処理し、材料輸送に伴う交通障害を抑制するなど周辺環境に配慮している。
■新b滑走路フルデプス舗装の構成
フルデプス舗装のメリット
・最も廃材を排出しないバランス。
・基準舗装厚の110pに対し、舗装厚が薄いため(63p)土工量が減少し、さらに工種が単一化されるため、工期の短縮が図れる。
■舗装構造図

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