建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年7月号〉

ZOOM UP

21世紀前半の主力発電所として北海道の暮らしと産業をバックアップ

平成21年の営業運転開始を目指し、泊発電所3号機の増設が進む

北海道電力 泊発電所3号機

▲建屋工事の建設(H16.9月末頃) ▲建屋内部の機器据付工事が本格化
(H18.8月末頃)
▲原子炉格納容器の建設(H17.8月末頃) ▲建築工事がほぼ終了(H20.5月末頃)
北海道電力は泊発電所3号機の増設を進めている。
泊原子力発電所は北海道の総電力供給の約3割を賄う重要な電源である。平成元年に1号機、平成3年から2号機が運転している。
北海道電力ではこれまで、水力・火力・原子力をバランス良く組み合わせた電源開発を進めてきたが、電力需要は増加の一途を辿っている。とりわけ北海道は全国と比べ一世帯あたりのエネルギー消費量が多く、石油依存度が高いことから脆弱なエネルギー供給構造にある。
そこで価格の安定性に優れ、地球環境問題にも適切に対応できる原子力を選択し、電力の長期的な安定供給を確保するため、泊発電所3号機の増設に着手していた。
増設にあたっては環境影響調査書、環境影響評価書を国、道それぞれに提出するとともに、地域住民に対し、縦覧・説明会を実施。また、通商産業省(現・経済産業省)主催による第一次公開ヒアリングや、国での環境審査も行われた。これらを経て、平成12年10月に電源開発調整審議会が開催され、3号機は国の電源開発基本計画に組み入れられることとなった。
3号機の大きな特徴としては、次の3点が挙げられる。
(1)I型建屋配置
泊発電所1,2号機と同様に、タービン建屋が原子炉建屋及び原子炉補助建屋に対して直角になる配置。掘削する土量の削減により得られる費用面の効率化と建設の工期短縮が可能となる。
(2)環境調和型デザイン
敷地周辺の環境と調和する景観デザインを採用。学識経験者による指導や地元アンケートの実施結果、他の電力会社の調査などに基づき、設計された。
▲タービン建屋 ▲新型中央制御盤(開発イメージ)
(3)総合デジタル化
発電所の運転をコントロールする中央制御室に、運転操作、監視のしやすさに優れた「新型中央制御盤」を採用。発電所の運転状況が一目で見渡せる大型表示装置や、運転員が座ったままで操作・監視ができる集中操作監視盤(運転コンソール)など、ヒューマンエラーの防止に対応したシステムとなっている。
また、中央制御室やタービン建屋などに「見学スペース」を設け、開かれた発電所を目指すこととしている。
施工には、騒音・振動対策などのほか大気、海域、陸域の保全に細心の注意を払い、環境の保全に万全の対策を期することとしている。
営業運転開始は平成21年12月を予定している。
主な経緯
平成 8年 10月 環境影響調査の申し入れ
平成 8年 12月 環境影響調査を開始
平成 10年 7月 北海道、地元4ヵ町村に3号機増設申し入れ
環境影響調査書を国に提出
平成 11年 6月 第一次公開ヒアリング
平成 12年 10月 電源開発調整審議会上程
平成 12年 11月 原子炉設置変更許可申請
平成 13年 3月 建設準備工事開始
平成 14年 11月 第二次公開ヒアリング
平成 15年 7月 原子炉設置変更許可
平成 15年 11月 第1回工事計画認可(着工)
3号機の施設概要
原  子  炉 型    式 濃縮ウラン、軽水減速、軽水冷却、加圧水
熱 出 力 2,660mw
原子炉圧力 約15.4mpa
原子炉容器出口1次冷却材温度 約325℃
燃 料 種   類 二酸化ウラン焼結ペレット
燃料集合体の体数 157体
原子炉容器 内    径 約4.0m
全高(内のり) 約12m
原子炉格納容器 型    式 鋼製上部半球形下部さら形円筒形
内    径 約40m
全    高 約76m
蒸気発生器 型    式 たて置u字管式熱交換器型
蒸気発生量(定格出力時) 約1,700t/h(1基当たり)×3基
蒸気タービン 型    式 くし形四流再熱再生復水式
出    力 約912mw
発  電  機 型    式 横置・円筒回転界磁形・全閉自己通風・
三相同期発電機
容    量 約102万kva
冷却水(海水) 冷却水量 毎秒66m3
取放水設備 冷却水の取放水方式 表層取水・水中放水

●泊発電所3号機増設工事のうち復水器冷却用水施設ほか土木本工事および関連除却工事(取水設備工事)
大成・佐藤・西松・北電興業共同企業体
●泊発電所3号機増設工事のうち復水器冷却用水施設ほか土木本工事(放水設備工事)
鹿島・戸田・五洋・東亜・岩内建協共同企業体
●泊発電所3号機増設工事のうち土木準備工事および関連除却工事(土捨場および土捨場専用道路工区)
前田建設・岩内建協共同企業体
●泊発電所3号機増設工事のうち土木準備工事および関連除却工事(整地工区)
  泊発電所3号機増設工事のうち復水器冷却用水施設ほか土木本工事(建屋基礎掘削工事)
大成・北電興業・伊藤組・岩田共同企業体
●泊発電所洞道内ケーブルトレイ他据付工事のうちcvケーブルトンネル他新設工事
  泊発電所3号機増設のうち復水器冷却用水施設ほか土木本工事(ダクト設備工事)
前田・熊谷・日本国土・岩内建協共同企業体

HOME