建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年4月号〉

ZOOM UP

北海道の教育政策と施設整備

広大な勇払原野に調和する伸びやかな校舎に

地域に交流と活動を生み出すオープンな空間を構築

北海道教育庁　苫小牧東高等学校

北海道教育庁は苫小牧東高校の改築事業を進めている。
同校は市街地北部に位置し、昭和12年に開校以来、66年の歴史を数える伝統校である。平成15年には主体的に魅力ある学校づくりに取り組む道立高等学校を支援する「北海道学力向上フロンティアハイスクール」の奨励校となっている。

改築のテーマは「進展する国際化、情報化、生涯学習社会に対応し、21世紀を担い『たくましく生きる力』と『豊かな心』を持った人間育成を実現するための機能的な教育環境を目指す」。
これに基づき、設計にあたっては「『地域とともに歩む学校であるために』明るく・便利で・気持ちよく・オープンな空間〜学ぶ環境、集う環境、憩う環境のデザイン」をテーマとした。

施設づくりにあたっては、
(1)樽前山を望む、恵まれた環境を生かし、広大な勇払原野に調和する伸びやかな校舎とする。
(2)生徒の日常生活の場として誰もが安全・快適に過ごせる豊かな環境・空間を目指し、ユニバーサルデザインの視点を持って、合理的・快適性を重視した施設づくりを行うとともに、有害物質を極力含まない健康的な天然素材を積極的に用い、良好な室内環境を目指す。
(3)過度な装飾的な表現を控え、建築空間の表現を合理的に行い、適切なコストコントロールを行う。
(4)環境共生の視点から、ライフサイクルの中で循環できる再生材等を積極的に用いる。
の4つを留意点としている。

配置ゾーニングにあたっては、「地域に開かれ、交流と活動を生み出す」方針とした。
動線計画は、野球場・サッカー場の位置するグラウンドゾーン、練習場・屋体棟・格技場・プール・テニス・ハンドボールコートの位置するスポーツ施設ゾーン、校舎・記念館・アイスホッケー場・エントランスコート・パーキングスペースの位置する校舎ゾーンの3つに分類。既存施設を有効活用し、敷地全体が機能的に利用でき、かつ出入りの管理が容易なゾーニングとした。

アプローチ部分は、校舎正面の記念館を利用した前庭（中庭）を造成。校舎はl字型とし、多くの人々を受け入れるシンボル的なスペースとしている。
完成は平成17年12月を予定している。