財団法人2005年日本国際博覧会協会　愛・地球博

2005年「愛・地球博」会場施設の建設工事が進む

▲グローバル・コモン

2005年、日本国際博覧会「愛・地球博」が開催される。
これは、21世紀の人類が直面する地球規模の課題解決の方向性と人類の生き方を発信するため、多数の国・国際機関のもと、自然の叡智をテーマとした新しい文化・文明の創造を目指し、愛知県名古屋東部丘陵の長久手会場、瀬戸会場で開催されるもの。現在、各会場では展示場やインフラ整備が進められている。

長久手会場の会場計画

長久手会場は、既に人工的に造成された公園地区と自然の植生が残されているゾーンからなっており、比較的高度に活用されている北西部、希少種などの生物や森林を多く残す南東部に大別される。高低差は約40ｍと大きく、変化に富んだ地形の各所に水面が存在し、まとまった平地の確保は困難な状況となっている。
しかし、多数の来場者を迎え入れる必要から、緑地や地盤への影響を最小限に止め、希少種の生物がまとまって分布する地区や森林地区を回避するため、北西部を中心に利活用を図っている。また、外から会場へのアクセスルートに制約があるため、北部（メイン）、西部にゲートを設けている。
長久手会場の施設配置にあたっては、観客の主動線である「グローバル・ループ（空中回廊）」と、各国や国際機関の出展施設群と共用広場で構成する「グローバル・コモン」を基本骨格としている。

▲グローバル・ループ

グローバル・コモンは会場内に6つ配置し、展示施設群、共有広場、飲食・物販施設で構成され、多様な文化や価値観が交流する空間となる。それぞれのグローバル・コモンは原則として地域別とし、グローバル・コモンを廻ることにより地球一周の疑似体験が得られ、地球大交流が実現できる空間となっている。
グローバル・ループは全長2.6km、標準幅員21mで会場をほぼ一周できる観客の主動線となる。これは(1)約40mの高低差のある会場をバリアフリーで繋ぐ、(2)シンプルなループ構造によって会場の施設配置を分かりやすくする、(3)土地の改変を少なく抑えることで環境への負荷を軽減する、などの特徴を有している。
長久手会場のゾーン計画としては、グローバル・ハウス、こいの池、愛・地球博広場で構成され、グローバル・ループに囲まれた『センターゾーン』、次代の日本のアイデンティティを再発見・再認識する『日本ゾーン』、メインゲートに隣接する『民間出展ゾーン』、様々なサービス機能が複合した『ゲート・エントランス』、既設の変化を見せる多様な自然とふれあえる『森林体感ゾーン』、既存施設や屋外空間を活用し、子供も大人も体験学習ができる『遊びと参加ゾーン』の6つのゾーンに分けられている。

瀬戸会場の会場計画

瀬戸会場は起伏に富んだ地形に位置しているため、地形にあった造成を行っている。主要施設は裸地部分に配置し、既存地形を活用して自然への影響を少なくしている。
また、将来『海上（地名）の森』を人と自然の関わり合いを学び、体験することができる地域として創り上げていくための拠点とする視点から、各施設を計画している。
施設は『市民パビリオン』、『広場』、『日本政府館』、『愛知県パビリオン』、『里山遊歩ゾーン』が計画されている。
会場施設建設工事は平成17年2月の竣工予定で、2005年日本国際博覧会は3月25日からの開催を予定している。

会場計画の基本コンセプト

1.現状の地形の改変を最小限に留める
2.起伏のある地形の中でできる限りバリアフリーを実現する
3.希少な動植物の生息に配慮する
4.資材・部品・備品などの3r（reduce,reuse,recycle）を実現する
5.会期後の都市公園としての利用計画を十分に配慮する

●2005年日本国際博覧会会場施設建設工事（Ⅰ工区）／大林・鴻池・鉄建・矢作共同企業体