建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年1月号〉

ZOOM UP

特集・わが国の文教施設整備最前線

諸活動を有機的に関連させる「アクティブ・アンサンブル・ステージ」を構築

芸術創作活動の多様化に合わせ、多機能な「創造空間」を創出

東京芸術大学 音楽学部校舎

東京芸術大学音楽学部は、東京音楽学校にルーツを持ち、日本の音楽史を彩る幾多の芸術家を輩出してきた。
今回の事業の音楽学部校舎は、練習ホール、アンサンブル練習室、一般練習室(すべて共同スペース)によって構成された練習ホール館と、各科専有スペース(研究室・レッスン室など)によって構成された3号館・4号館からなっている。
現状では練習室が学生数1,211人に対して52室と絶対的に不足しており、練習室の稼働率が156%とパンク状態となっている。そのため、やむなく遮音の悪い廊下などで練習し、近隣からの苦情が絶えない状況が続いていた。
さらに昭和45年以前に建設された耐震性能の劣る建物が多く存在し、耐震改修の対象になっていた。そのため、同施設の増築・改修工事に着手した。
計画では練習ホール館と4号館の地下にレッスン室、練習室を増設。既存の練習ホール館は耐震改修を行うほか、内装を改修し、ホールの音響性能の向上を図る。
設計にあたっては、音楽領域における創作・レッスン・練習・演奏・研究・アンサンブルなどの諸活動を相互に有機的に関連させ、大学キャンパスそのものをステージ化する構想「アクティブ・アンサンブル・ステージ」を目指し、7つのリファインを基本方針とした。
1. 構造のリファイン
既存躯体に加える改造負担の極力少ない「ダブルスキン工法」と耐震フレームを上増築のフレームに利用した「ハイブリッドダブルスキン工法」による耐震改修を採用する。
2. かたちのリファイン
新営棟と改修棟、さらには他の棟と一体的なものとし、キャンパスデザインの調和を図る。
3. 音響のリファイン
音響性能を重視し、部屋の用途や大きさにあった残響時間、及び遮音性能の改善を図る。
4. 空間のリファイン
教育研究分野の枠を越え、多目的な運用のできるホールを共用スペースとし、それらを中心とした空間構成を行う。
5. 設備のリファイン
芸術創作環境の多様化に合わせた温湿度環境の制御とダブルスキンフレームの利用による外部シャフトにより長寿命化を視野に入れる。
6. 広場のリファイン
これまで単なる中庭であったものからリフレッシュスペースともなる多機能な「創造空間」を創出する。
7. キャンパスのリファイン
今後の改修整備時に無理のない移行計画を見据えたスペース配分を構築。
既存棟との接続にあたっては段差が生じるため、スロープを設置し、車椅子の通行やグランドピアノの搬送にも支障なく通行できるような設計とするほか、エレベーターにおいてもバリアフリー化を図る。
外観はキャンパスの雰囲気を損なわないタイル張りとコンクリート打ち放しの組み合わせとし、既存建物や周辺環境との調和を図った。
改修棟は現状の仕上がりをできるだけ活かすことを考慮し、廃材を減らすことで環境にも配慮している。
建築概要
 校舎新営 SR4,R2  3,120m2
 校舎改修 R4,R2  5,390m2

東京芸術大学音楽学部校舎新営及び改修工事

●建築工事/鴻池・淺沼・斎籐JV

東京本店/東京都千代田区神田駿河台
2-3-11
TEL. 03-3296-7700


東京本店/東京都新宿区荒木町5
TEL. 03-5269-3111
斎藤工業株式会社
本社/埼玉県さいたま市浦和区北浦和
3-6-5
TEL. 048-833-1555
●電気設備工事

本社/東京都渋谷区渋谷2丁目11-3
TEL. 03-3498-1221
●機械設備工事/一工・塩谷JV

本社/東京都千代田区丸の内3-3-1
新東京ビル
TEL. 03-3211-8511

株式会社塩谷商会
本社/東京都大田区多摩川1丁目7-7
TEL. 03-3750-5511
●エレベータ設備工事 ●ガラス工事

本社/東京都千代田区東神田1-9-9
TEL. 03-3866-0261

本社/東京都港区港南3-8-1
森永乳業港南ビル
TEL. 03-5796-9760

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