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完成予想図 |
運輸省東京航空局は、運輸多目的衛星MTSAT(multi-functional transport satellite)をはじめとするICAO(cns/atm)構想の実現に向けた確実な一歩を刻む、「常陸太田航空衛星センター」の建設を進めている。
建設地は、茨城県常陸太田市白羽町朝日向1715。敷地面積66,618u、建築面積4,620u。構造・規模は、鉄筋コンクリート(3階一部鉄骨造)で、業務管理棟3階建、機械棟2階建、送受信局舎・中継ポンプ場はともに平屋建となり、業務管理棟は「免震構造」を採用する。
“安全で効率的な、21世紀の航空輸送を担う次世代の航空保安システム”を目的として、国際民間航空機関(icao)で平成3年に承認された将来の航空航法システム(fans)構想に基づいて、運輸省では、本年打ち上げを予定している運輸多目的衛星(MTSAT)を中心とした次世代の航空保安システムの構築を推進している。
MTSATシステム導入により、@短波通信から衛星経由の高品質通信確保、A柔軟な飛行ルートの設定、B飛行位置の正確な把握が実現し、航空管制の安全の確保、航空交通容量の拡大、既存地上航空保安施設によらない飛行経路等が実現され、管制官やパイロットの負担を減少させるほか、経済的に航空旅客の増大に十分対応が可能となる。
「航空衛星センター」は、当該衛星の機能を確実に発揮するため、衛星の軌道及び運用状況等の衛星監視制御業務等を行う地上局施設となるもので、現在は常陸太田のほか神戸においても建設が進められている。これは、衛星通信において春分と秋分の時期に、太陽雑音により発生する通信途絶(サンアウテージ現象)や電波干渉および、自然災害等による影響を同時に受けることを回避するため、西日本の神戸市と東日本の常陸太田市にそれぞれ航空衛星センターを設置し、信頼性を格段にアップさせる働きを持たせるものだ。
常陸太田市の航空衛星センター敷地選定においては、@「電波環境」―既存無線施設からの電波干渉がなく、都市雑音の影響がない、A「自然環境」―風、雪などの自然環境からの影響が少ない、B「立地環境」―電力、通信などの施設へのアクセスが容易であり、土地利用上、地形、地質等の条件が良好、C「運用保守」―保守要員の生活環境が一定のレベルを確保、D「用地取得」―土地の取得が可能であることから、同市が建設地として選定された。
「航空衛星センター」整備は、平成6年度より7ヶ年計画で実施しているが、神戸は平成12年度運用開始予定で、常陸太田は翌平成13年度運用開始を予定している。
このシステムにより、日米間の大動脈である北太平洋ルートをはじめとする、アジア太平洋地域における今後の航空交通量の増大に対応することができ、安全性の向上にも大きな貢献を果たす。
同航空衛星センターは、運輸多目的衛星(MTSAT)の追跡管制業務の非常に重要な業務を行うため、一瞬の運用中断も許されない。このため、大地震などの自然災害等に対する施設の信頼性の向上があらゆる面から実施されている。