建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年12月号〉

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国内外の主要都市への広域的なネットワークを構築

空港を中心とする60km圏内の主要都市から、約1時間のアクセス環境を実現

愛知県道路公社 知多横断空港連絡道路建設事務所

▲常滑東IC(仮称) ▲半田常滑IC(JCT) ▲常滑IC(仮称)
知多横断道路及び中部国際空港連絡道路は平成17年2月に開港を予定している中部国際空港へのアクセス道路となる総延長約10.6kmの自動車専用道路である。
路線は知多半島を南北に伸びる知多半島道路と接続する、半田常滑jct(仮称)から常滑ic(仮称)までの知多横断道路(l=8.5km)及び、常滑icから中部国際空港までの中部国際空港連絡道路(l=2.1km)が建設中で、空港開港によって新たに発生する交通需要に対処し、自動車交通の高速性、定時性、利便性を確保するとともに、沿線の交通混雑緩和を図る。
この整備によって、空港は名古屋市都心地域から30〜40分圏内となるほか、空港から60km圏域内の主要都市までおおむね1時間で到達することが可能となる。また、既設の知多半島道路、南知多道路や、計画中の第二東名、名古屋高速とも接続して広域交通ネットワークを構成する。
安全・スムーズにアクセスするインターチェンジ
新空港へのメイン道路である知多横断道路は、供用中の知多半島道路、半田常滑icにジャンクション機能を付加し、既存のインターチェンジ機能と併せ、安全でスムーズな交通の促進を図る。
<主な現場の工事状況>
道路建設工事
常滑市字小森地内始めの道路建設工事は平成14年12月に工事用道路工及び仮設工のうちtrd連続壁工の施工が完了した。現在は半地下構造物設置のための掘削とアンカー工も完了し、構造物本体工を施工している。
掘削した土は半田市側内の別工区の盛土に流用し再利用を図っている。

1) TRD連続壁工とは
道路建設工事の仮設工で採用されているtrd連続壁工とは、trench cutting re-mixing deep wall methodの略で、正式にはソイルセメント地中連続壁工と呼ぶ。
これは、知多横断道路の本体となる半地下構造物を施工するための地盤掘削の際、土が崩れてこないように留める壁(土留め壁)を造る工事のこと。通常は鋼矢板(鉄の板)を地盤に打ち込む工法で行うが、掘削深度が深く、地下水位が高い場合にはこのような特殊な工法が採用される。またこの工法は工期の短縮が可能となる。
具体的には、地盤に挿入したチェンソー型のカッターポストをベースマシーンと接続し、横方向に移動させて溝の掘削とセメントの注入、原位置土との混合・攪拌を行い、地中に連続した壁を造成する。その後芯材(h型鋼)を縦方向に挿入して固める。これにより連続した均一な壁を造ることができ、高い止水性を保つことが可能となる。

2) 発生濁水対策
工事現場内で発生する濁水処理は、濁水処理施設を通して土砂を沈下させた後、pac(ポリ塩化アルミニウム)や高分子凝集剤を混ぜて、さらに細かい土粒子を凝集沈殿させる。水質についても中和させてから浜田下水路へ排出している。現場では放流する前にphや濁度を自動的にチェックしている。また、一部の水は現場で再利用している。
▲TRD連続壁施工写真 ▲濁水処理施設
半田常滑ジャンクション建設工事
知多横断道路は現在の半田常滑ICにおいて知多半島道路とジャンクション形式で直結することにより、中部国際空港への高い利便性が期待されている。
このジャンクション建設工事は知多横断道路としては最も早い平成13年11月に工事に着手し、一期工事は橋梁下部工、ボックスカルバート、土留め擁壁などの主要な構造物を構築する工事で、15年3月に完了している。現在はランプウェイを構築する二期工事を行うとともにランプ橋についても仮設が完了し、現在床版工、橋面工を施工中である。今年中には料金所と本線を結ぶランプウェイは将来完成形の新たな道路に切り替わる予定だ。

A:半田常滑JCT

B:新黄金橋

C:常滑東IC(仮称)

D:常滑市錦町地内(掘割区間)
切廻し道路区間
現在の知多半島横断道路は片側1車線往復2車線で半田市街地と常滑市街地を結んでいるが、新しい知多横断道路は中部国際空港へのアクセス道路として片側2車線往復4車線の自動車専用道路で整備される。半田市宝来町から常滑市運内までの区間は土工形式の道路を整備している。
この区間は工事期間中においても一般車が安全に走行できるよう、知多半島横断道路を始めとする既存道路を切廻し、通行機能を確保しながら工事を進めている。
知多半島横断道路の最終的な切廻し道路は、将来は知多半島道路の側道(無料の県道)として引き続き利用される。
掘割区間
知多横断道路の内、掘割部の縦断計画は、常滑東IC(仮称)の西側で、国道155号の下を潜る格好になるため、道路縦断勾配I=3%で徐々に下がっていき、155号、県道大府常滑線及び名鉄常滑線を立体交差して、道路縦断勾配i=4%で再び地上に上っていく線形で計画されている。
常滑市多屋字十部から、多屋町4丁目にわたるこの区間は延長約1.4kmであり、半地下式の道路構造のため掘割区間と呼ばれ、地上部の道路計画などの条件から(1)u型擁壁、(2)ボックスカルバート、(3)ストラット付きu型擁壁の3タイプに分けられる。
なお、この区間は地表面部に上下4車線の一般道路である都市計画道路浜田線が併走している。
現在は、掘割区間全域で半地下構造物本体工に着手しており、鉄筋の組み立て、躯体のコンクリートを打設している。今後は順次、車道の整備を行っていくとともに周辺を埋め戻し、浜田線の築造へと移行していく。
環境への配慮
自然環境への影響については、既存の道路空間を出来るだけ活用し、動物や植物の生息・生育環境の改変を極力抑えた計画とした。
また、光触媒を利用した窒素酸化物除去を行うとともに、県道大府常滑線との交差部において、土壌による大気浄化実験が考えられている。
騒音については、遮音壁の設置など環境保全対策を適切に施すことにより、環境基準の維持達成に努めることとしている。さらに全線にわたり道路面に低騒音舗装を採用。掘割構造部の擁壁面には吸音材を設置するなど、さらなる環境影響の低減に配慮している。
▲中部国際空港連絡道路 ▲中部国際空港
計 画 概 要
●知多横断道路 ●中部国際空港連絡道路

路線名:県道碧南半田常滑線、県道中部国際空港線
起終点:半田市平和町4丁目〜常滑市新開町2丁目地先
計画延長:8.5km
幅員:23.5m
道路種別:自動車専用道路
道路規格:第1種第2級
設計速度:80km/h
車線数:4車線
構造形式:盛土・掘割・高架
事業期間:平成13年度〜平成16年度
路線名:県道中部国際空港線
起終点:中部国際空港〜常滑市新開町2丁目地先
計画延長:2.1km(海上部1.3km)
幅員:22m
道路種別:自動車専用道路
道路規格:第1種第2級
設計速度:80km/h
車線数:4車線
構造形式:盛土・橋梁
事業期間:平成13年度〜16年度

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