ZOOM UP
特集・わが国の文教施設整備最前線
薬学系総合研究棟は、本部庁舎と連続したスカイラインを形成し、龍岡門から訪れる人へのゲートとなり、フレキシビリティ、安全性、快適性、創造性の豊かな研究空間の創出、既存の組織や学問体系の垣根を超え、常に最先端を目指す研究を可能とする施設となる。学内外の機関や人々にコミニュケーションの場を与え、知的交流を誘発する施設とするのが目的である。
計画地は、西側に薬学部資料館、南側に本部庁舎、東側に構内道路(病院道路)があり、計画建物は、低層棟と高層棟からなる。1期工事(約7,500m2)、旧薬学部南館の一部を解体後着工の寄付建物(約4,000m2)を2期工事とし、連続的一体的に建設する。
施工においては、1期工事部分の南側を低層部とし、高層部と本部庁舎との離隔距離を確保する。また、低層部の屋上に薬草園を設け、本部庁舎からの景観に配慮する。高層部の建物軸は、病院道路からの見え方、「キャンパス再開発・利用計画要綱」との整合性から、病院道路と平行にする。低層部は、本部庁舎や薬学部資料館軸に相応しい壁面構成とする。
建物東側は、植栽により北側既存樹林と連続した快適な歩行空間を形成する。また本部庁舎に面する建物南側、建物西側においても、緑の景観と快適なオープンスペースを形成する。
動線は、龍岡門〜病院道路側にメインエントランスを、資料館側にサブエントランスを設け、外部2方向からの入の動線に対応し、エレベーター、階段などの施設内縦動線へと繋がる計画とする。既存薬学棟とは1階〜3階で、資料館とは2階〜4階で接続し、既存施設との一体的運用を図る。サービス動線は計画建物西側からとし、本部庁舎北側の構内道路よりアプローチする。各階非常用エレベーターホールの窓を搬入兼用とし、大型荷物用サービス動線とする。
平面計画としては、ELV、階段、便所等のコア部分を西側に配置し、実験室エリアを居住性の高い東側に設置する。実験室エリアはフレキシビリティのある大部屋とし、研究室共有の湯沸、リフレッシュコーナー兼ユーティリティスペースを西側コア内に設置し、コミュニティーゾーンとする。エントランスホールに隣接した薬学ギャラリー、2階の中講堂、薬草画等、低層部は、外部利用も考慮した配置とする。
完成後の維持管理を考慮し、東西バルコニーは設備機器、配管、ダクト等のメンテナンス、更新が容易となるようにオープンシャフトとする。バリアフリーを考慮し、建物出入口、内部廊下の床に段差をなくし、1階には身障者用便所、車椅子用リフターを設ける。
立面、断面計画としては、計画建物のバラペット天端を、隣接する本部庁舎の消音壁天端(TP69.0)に合わせ、一連のスカイラインを形成する。敷地東西のレベル差約1.8mを考慮し、IFLをTP22.8、各階階高を4.2mとする。実験室は、設備配管、配線の点検及び更新の為、直天井とする。外装デザインは、本部庁舎の4隅のコア、薬学部本館等の柱型の垂直性などに強調された既存建物の縦基調デザインを踏襲する。本郷キャンパスにおけるデザインコードに従い、3層までの低層部とその上部とに変化をつけた構成とする。周囲の既存建物の外壁素材であるタイルを主に外壁構成し、素材面と色調の調和を図る。大きな壁面として現れる病院道路側バルコニーは、テラコッタルーバーによるオープンシャフトとし、圧迫感のない新しい表情とする。病院道路に面するメインエントランスのロビーは、透明ガラスにより、内部と外部を緩やかに明るく繋ぐ開放的な空間とする。薬学ギャラリーは、交流空間として開かれた施設の顔とする。病院道路側バルコニーに設置されたダクト・配管用シャフトは、研究内容の変更に伴い更新される、機能的及びデザイン的に重要な要素となる。そのシャフトをテラコッタルーバーで構成することで、軽量化を図りながら実験室内に光を取り込む。
省エネ対策としては、高層棟東西面に設けられたバルコニーによる日射を低減する。低層棟屋上緑化により断熱性を向上し、照り返しを防止する。雨水を中水とし、トイレ洗浄水に利用する。
【(本郷)薬学系総合研究棟】 | ||
●建築工事/清水・松村・池田特定JV | ||
![]() 建築事業本部/東京都港区芝浦1-2-3 シーバンスs館 TEL. 03-5441-1660 |
![]() 東京本店/東京都千代田区内幸町1-1-2 TEL. 03-3502-1211 |
![]() 本店/東京都港区芝浦2-3-31 TEL. 03-5440-5719 |
●電気設備工事 | ●機械設備工事/斎久・装芸特定jv | |
![]() 東京支社/東京都千代田区神田須田町1-3 TEL. 03-5295-1051 |
![]() 本社/東京都千代田区大手町2-6-2 日本ビルヂング TEL. 03-3270-7411 |
![]() 東京都大田区矢口1丁目4-10 TEL. 03-3756-5461 |
●エレベーター工事 | ||
![]() 本社/東京都港区芝大門1-1-1 TEL. 03-3436-5111 |