建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年10月号〉

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特集・わが国の文教施設整備最前線

超領域的な問題を解決するための「学融合」を実践する施設に

研究生活に潤いを与え、豊かな発想を育む環境を整備

東京大学 (新領域)総合研究棟

新領域総合研究棟は、柏キャンパス計画の理念である、ハード面での余裕とフレキシビリティを確保する「絶えざるイノヴェイション」を基本に設計された、「時間的総合」を中心理念として、「学融合」「知的冒険」「新しい学問分野の創生」といったキーワードで表される「(柏)精神」を実現する仕組みとしての「新領域創生組織」構想を具現化する建物と位置づけられる。

また、平成10年に設置された新領域創成科学研究科の活動の中心となる基盤科学研究系4専攻の総合研究棟として整備されている。
施設の配置は、将来にわたり、新たなアカデミックプランがスムーズに実現出来るよう配慮。高度な教育・研究に対応した最先端の教育研究施設・設備を目指す。また、新しい建物群での研究生活に潤いを与え、豊かな発想を育む環境として整備する。

建物の平面計画では実験用配管、ダクトの効率の良い供給を図る実験室ゾーンを中央部に配置し、基準階では研究室ゾーンをh型ではさむ平面形を採用。両者を明確に分離しながらも、密な関係が保てるような設計となっている。また、各ゾーンの間仕切りは、将来の研究・実験内容、組織の変化にフレキシブルに対応出来るような計画とした。
メカニカルシャフトは、実験室を通過せずにアクセス可能なキャットウォークを儲け、実験室を利用しながらの配管・ダクトの更新が出来る設計としている。

設備室は共同溝との接続が容易な地下1階北側に配置。東西軸と南北軸の結節点となる2ヶ所にps、eps、ネットワークサブ室をまとめて配置する。実験用配管、ダクトはメカニカルシャフトを通じて別ルートで供給、排出する。配線の集中する廊下は、点検・更新の利便性を高めるため、基準階では設備配管、天井を直天とし、維持保全を効率化する。
動線計画では、実験室ゾーンの中廊下、研究室ゾーンの片廊下、南北の研究室ウイングの端部を外部ブリッジでつないで周回する動線をつくり、通行の便を良くすると同時に避難の安全性を高めた。

外観はコンクリートボーダーで囲まれた中に建具、押し出し成形板を配置し、方形、縦ラインを基調とする。さらに周辺建物との調和を図るため、独自の個性を醸し出しつつキャンパスに融合する打ち放し面にフッ素樹脂素材とする。隣接する建物とは高さを揃え、物性研から連続するピロティを南側に設けた。内部は研究・実験などに適合した、低廉で耐久性等を考慮したものとした。

利用に当たっては身障者にも快適な空間となるよう、千葉県福祉のまちづくり条例に準拠して、建物の出入り口には内部廊下の床に段差を儲けないように配慮し、基準階に計画する便所内には身障者用便所を組み込むなど、完全なバリアフリー型としている。

施設概要
 施設内容:専攻教官室、研究室、事務室、会議室、流動特殊実験室(強地場、電子顕微鏡、高次脳機能等)
 利用対象者:教官(教授、助教授、助手)、大学院生(修士、博士、事務職員)
 構造:SR造
 階数:地上7階、地下1階
 面積:4100m2(全床面積 16640m2
 用途地域:第2種住居地域
 建ぺい率:60% 
 容積率:200%



【(新領域)総合研究棟】
●建築工事/熊谷・北野・長田jv

本社/東京都新宿区津久戸町2-1
TEL. 03-3206-2111



東京本社/東京都中央区銀座1丁目9番2号
TEL. 03-3562-2331


本社/山梨県甲府市丸ノ内2丁目9-20
TEL. 055-231-1111


●電気設備工事 ●機械設備工事 ●エレベーター工事

本店/東京都港区芝公園2-4-1
秀和芝パークビルb館6f
TEL. 03-3432-6311



本社/東京都中央区日本橋蛎殻町1-35-8
三建ビルディング
TEL. 03-3667-3431


本社/東京都中央区入船3-7-2
TEL. 03-5541-5101



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