建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年10月号〉

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特集・わが国の文教施設整備最前線

前面は赤門との調和を重視

東京大学 (本郷)赤門総合研究棟(仮称)改修

南立面図(改修案)

北立面図(改修案)

赤門総合研究棟は、経済学部本館として経済学部の研究室・演習室・図書室などとして使用されていた。平成13年に(文・経・教・社研)総合研究棟(i期)が竣工し、経済学部の一部が移行したことから、文学部・経済学部・教育学部・社会科学研究所が共同利用する文系の総合研究棟として改修整備する。

経済学部本館は、昭和40年に建設されたものであり、経年による老朽化が著しく、耐震診断(二次診断)では、IS値が0.32と低く、大地震時には大きな損傷の恐れがあるため、耐震補強を行い、安全な教育研究環境の確保を図る。

また本改修工事により、施設の共有化による有効活用が図られるとともに、学際領域の人的コミュニケーションを通じて知的創造活動の活性化が期待され、また文系の総合研究棟として、将来の教育研究に柔軟に対応できる施設となる。

改修コンセプトとしては、構造の改善(耐震補強)に向けて、赤門を軸とし、正面に医学部本館、左側に教育学部校舎ともに擬ゴシック様式の建物に囲まれている北面は、ダブルスキン工法によって既存建物群と調和したデザインの補強とする。
南面は、杭の施工が困難なことから、鉄骨格子フレームによる面内補強とし、新棟の鉄骨ルーバーと調和させた。また、内部補強においては、既存の耐力壁を生かしながら最小の耐震壁の増設にとどめつつ、雑壁は撤去して建物重量の軽減を図ると同時に空間の自由度を高めた。

ゾーニング計画としては、将来計画を踏まえたゾーニング計画に基づき、建物全体のフロア構成の見直しを行うことで、フロアー単位に4つのスペースに別けて将来の変化に柔軟に対応できるものとした。
具体的には

バリアフリー対策
エントランスのスロープ設置、身障者対応エレベーターヘの更新、身障者便所の設置など、バリアフリー対策を行う。歩道は、赤門からのアプローチ部の整備を行い、ダブルスキン工法による新しい外観と一体化したものとし、周辺環境との調和を図る。
設備については、老朽設備の機器・配管・配線などの全面的な更新を行う。単位空間を設定した設備計画により、将来の変化に柔軟に対応可能なものとした。
既存関連施設を含めた施設の有効活用
現状は、部局単位で必要な諸室を保有し、これが全体として面積効率の悪さの一要因となっている。そのため、本改修工事により、4部局が共同使用する施設となることから、これらの集約・再配分とスペース共有化によって稼働率を上げ、有効活用を図る事が可能となる。また、本工事建物と新棟(総合研究棟1期)のコミュニティーラウンジ及び講義室などを渡り廊下でつなぐことで、一体的な相互利用が可能となり、さらに有効活用が図られる。
室の配置計画における基本的な考え方としては、ゾーニング計画を基に、既存建物側の落ち着いた南面を研究個室、北側を共通演習室などとし、建物中央部のl型コーナー部には、リフレッシュルーム・便所・給湯室などを設けて交流の空間とする。
また、避難動線を確保でき、かつ耐力壁の少ない部分にオープンな研究室・演習室を配置して、新たな研究(プロジェクト研究など)にも対応可能なスペースとする。
外装においては、赤門との調和に配慮し、ダブルスキン工法による耐震補強の基壇部はsrc躯休にスクラッチタイル張りとし、上部は鉄骨フレームによるゴシック的表現のファサードとする。一方、裏側にあたる既存外壁は、あくまでニュートラルなデザインとする。
内装における一般的仕上げは、床はビニル床シートとし、壁は塗り替え及び塗装、天井はロックウール吸音板を使用する。
既存建具はアルミサッシに改修し、廊下間仕切りは基本的に透明感のある既製間仕切にして、開放感を生み出すとともに中廊下形式の建物の暗さを改善する。
【(本郷)赤門総合研究棟(仮称)改修】
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