建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年9月号〉

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特集 首都圏・鉄道新時代

小田急小田原線(世田谷代田駅〜喜多見駅間)の8箇所の都市計画道路と17箇所の踏切道を立体化

地域が一体化し、沿線のまちづくりに貢献

東京都・世田谷区・小田急電鉄(株) 小田急小田原線連続立体交差事業

東京都、世田谷区、小田急電鉄鰍フ三者は、小田急線世田谷代田駅〜喜多見駅間(6.4km)の連続立体交差事業及び複々線化事業を進めている。この地域は従来から慢性的な交通渋滞に悩まされていたほか、鉄道によって地域が分断され、沿線のまちづくりに大きな障害を与えていた。このため、平成6年から鉄道を立体化して踏切をなくし、より快適なまちづくりを可能にする連続立体交差事業に着手した。これに併せて小田急電鉄(株)では、鉄道輸送力の強化とラッシュピーク時間帯の混雑緩和や所要時間の短縮を図るため、複々線化工事を進めている。

工事は平成16年度中の完成を目指しており、高架橋の約8割が完成。平成12年4月の祖師ヶ谷大蔵駅付近の立体化を皮切りに平成13年10月には千歳船橋駅付近の下り線の高架切り替えが終了し、これにより千歳橋1号踏切では、踏切遮断時間が着工前の48分から28分に短縮された。平成14年度には、梅ヶ丘〜経堂駅付近の下り線を高架化、成城学園前駅付近の下り線を掘削し、工事区間の下り線全線を立体化。上り線についても立体化が完成し、工事区間の全ての踏切がなくなった。

昨年12月には上り線全線が高架化し全ての踏切が除去。鉄道が立体化され、踏切がなくなったことによって交通渋滞の緩和、鉄道と道路、歩行者の安全性が向上するとともに、緊急時における消防・医療活動の円滑化が図られた。また、鉄道によって隔てられていた市街地の一体化や、これに伴う駅周辺の整備にも大きな役割を果たすことになる。

一方この事業とあわせ、区間内にある6駅にエスカレーター、エレベーターの昇降設備や身障者トイレを設置し、周辺の一層のバリアフリー化を進めることとしている。
工事は複線である既設路線の南側に2線分の構造物を構築し、その構造物に線路を切り替えたあと、残りの2線分を構築して複々線化となる。



▲千歳船橋〜祖師谷大蔵間

▲複々線化区間(狛江〜和泉多摩川間)

▲成城学園前駅 ▲各駅にはエレベーターと
エスカレーターが設置されている
▲高架下空間を利用した駐輪場

<工事概要>

 都市高速鉄道第9号線(小田急小田原線)
 【区間】
世田谷代田駅(世田谷区代田3丁目)〜喜多見駅(世田谷区喜多見8丁目)
・延長約6.4km(高架約5.6km、掘割約0.8km)
【駅施設】
梅ヶ丘駅、豪徳寺駅、経堂駅、千歳船橋駅、祖師ヶ谷大蔵駅、成城学園前駅
・ホーム長    各駅210m(10両編成対応)
・ホーム幅員約  3〜12m
・エスカレーター 各駅上りホーム2基、下りホーム2基
・エレベーター  各駅上りホーム1基、下りホーム1基
<建設の経緯>
1964年 12月 都市計画決定
(高架式ただし成城学園前駅付近のみ地表式)
1993年 2月 都市計画変更決定
(地表式の成城学園前駅付近を掘割式に変更)
1994年 12月 工事着手
2000年 4月 祖師ヶ谷大蔵駅付近の立体化完成
4か所の踏切がなくなる
同 年 6月 経堂駅付近の立体化完成
3か所の踏切がなくなる
2002年 3月 下り線の立体化完成
2002年度中 上下線の立体化完成
残る10か所すべての踏切がなくなる
2004年度中 (予定)複々線化完成
小田急小田原線(世田谷代田駅〜喜多見駅間)
連続立体交差事業および複々線化事業の
早期整備に貢献する企業

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