建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年4月号〉

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特集・わが国の文教施設整備最前線

外国人留学生の日本語教育を充実

東京外国語大学 留学生日本語教育センター・国際交流会館

東京外国語大学は、国費外国人留学生及び外国政府派遣留学生の集中予備教育と生活環境の充実を図るため、「留学生日本語教育センター」「国際交流会館」2施設の建設を進めている。
留学生日本語教育センター
吹き抜けのガレリアを設置し、外大のコンセプト「対話」と「交流」を具現化
「留学生日本語教育センター」は、昭和45年に国費外国人留学生のための教育施設として設置された「日本語学校」、昭和61年に人文・社会系及び理工系の専門分野を志望する外国人留学生に対する日本語教授法、及びこれに基づく各種教材の研究開発を目的として設置された「留学生教育教材開発センター」とを統合して平成4年に設置された留学生日本語教育センターの新施設として建設される。
施設は、留学生教育・留学生指導・日本語教育推進・研究・交流・事務の6つの基本空間を機能的にゾーニング。日常的に学生が移動する留学生教育・留学生指導部門を1〜4階の低層階に、研究部門を5〜6階の高層階に配置。日本語教育推進部門は留学生教育・留学生指導部門と研究部門の中間階である4階に配置した。
平面的には高層部分を東西2つに分割。中央部分に6層吹抜のガレリアを設け、教官や留学生達が互いに触発し積極的なコミュニケーションが図れる空間をつくることにより、本学のコンセプトである「対話」と「交流」を具現化した計画としている。また、ガレリアに面して各階にラウンジを設け、対話と交流の活性化を促す空間づくりをしている。
外装は、キャンパスの統一の考え方である「武蔵野の森」との対話をテーマとし、既存樹木との調和を図るため、自然な素材感をもったアースカラーの磁器質タイル張とした。また、高層階である5・6階にバルコニーを設け、奥行きのあるファサードを構築している。
情報ネットワークについては、マルチメディアに対応した学内ネットワークを各端末で利用できるように館内ネットワークを構築している。
省エネルギー対策としては、トイレ・階段は人感センサーによる照明点滅制御、事務室・主要教室は照度センサーによる初期照度制御、研究室の空調機については人感センサーによる停止制御方式を採用している。
一般系統の空調機は、電力平準化及びランニングコスト低減を考慮したガスエンジンヒートポンプ方式を採用。また、研究室は省エネルギーと快適性に配慮し電気式の個別方式を採用している。
換気については、全熱交換機と空調換気扇を設置し省エネルギーを考慮している。トイレの洗浄には雨水処理した雑用水を利用している。
建設地は東京都府中市朝日町の東京外国語大学構内。建築面積1,594m2、鉄骨鉄筋コンクリート造地上6階建、延べ床面積5,510m2
完成は平成15年12月の予定となっている。
国際交流会館
隣接する日本語教育センターの寄宿舎として建設
「国際交流会館」は、「留学生日本語教育センター」の寄宿舎として建設。日本における国費外国人留学生及び外国政府派遣留学生の集中予備教育に適応した生活環境を確保し、留学生と日本人学生、及び多様な文化圏から来日する留学生同士の交流を図るための施設である。
施設は、建物の配置を南北軸とすることで、朝夕に在室することが多い学生にとって明るい部屋となるよう配慮。東西の棟に角度をつけることで生じた空間に本学のコンセプト、「対話」と「交流」の空間を挿入している。
施設構成は、全学共通利用・居住者共通利用・居住者スペースの3つの基本空間を機能的にゾーニング。1階に家族室・夫婦室を設けることで単身者との分離を図り、他に全学共通利用のスペースとして交流のための諸室を設け、アメニティを高めている。
また、居住者スペースとして単身室を2〜7階に設け、居住者共通利用スペースであるランドリー室を2、6階に、その他の階にはコミュニケーションスペースを配置して学生の利便性を図っている。
外装は、自然の素材感を持つアースカラーのスタッコにより自然との対話を表現し、団地全体の調和を図る。
居住者の各室には、安全・快適・経済的で環境にも配慮したオール電化を採用し、情報コンセントにより大学の情報ネットワークにアクセス可能とした。
共通利用スペースの空調はビル用マルチで行い、換気は省エネルギー考慮して空調換気扇を設置している。
居住者スペースについては、受益者負担の利便性から個別のエアコン・給湯器を設置している。
建設地は東京都府中市朝日町の東京外国語大学構内。建築面積927m2、鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階・地上7階建、延べ床面積3,270m2
完成は平成15年11月の予定となっている。

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