建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2003年4月号〉

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地域住民に愛され、親しまれ、信頼される病院を目指して

施設全体の狭隘化の解消を図るとともに、地域医療の充実を図る

北海道深川市 深川市立総合病院

深川市は、疾病構造の変化に対応し、地域医療の充実を目指した、深川市立総合病院の改築を進めている。
同病院は、深川市を中心とした北空知を主な診療圏とし、地域の中核病院として、昭和44年の全面改築以来、診療科目の増設や高度医療機器の導入により、地域住民への適切な医療サービスを提供してきた。
しかし近年、施設設備の老朽化や狭隘化が進み、利用者の多様化するニーズに対し、高度で先進的な医療を展開することが難しい状況となっていた。そこで、患者が安心して利用でき、高齢化や疾病構造の変化に対応できる病院として改築することになった。
基本コンセプトは、医療施設として居住性・機能性・安全性・経済性などの調和を図りつつ、患者の立場に配慮した医療環境の充実を重点に置き、地域住民に愛され、親しまれ、信頼される病院であること。
医療の充実
利用者の多様化するニーズに対応するため、内科の診療体制の整備をはじめ、総合リハビリテーション(@類基準)機能を確保。人工透析医療も、現在より10床を増床し、25床とする。
ミニドック・検診・健康相談業務の実施に合わせて、健康管理施設の充実を図る。また、2次緊急医療に必要な緊急で高度な治療を行うための整備を行う。
配置計画
建築計画では、安全性と機能性に配慮した配置とし、歩行者と車の利用を分離し、市道花園通線の一部を廃止にすることにより、駐車場からの移動などでも敷地内歩行者通過動線を確保。また、病院施設及び周辺環境は、すべての利用者にとって使いやすいバリアフリー化を徹底する。
病院施設内の医療環境(居住性・機能性・安全性・経済性の調和)
居住性は、自然光を十分に取り入れ、やすらぎのある空間を創出し、光庭の植栽や展示ギャラリーなどを配置することにより、施設環境における患者アメニティを充実させる。
病棟ナースステーションは、オープンカウンターを採用し、直接対話による癒しを補完する。
機能性は、明快な動線配置とし、患者空間と職員空間、診断空間と治癒空間を区分するなど機能的で分かりやすさに配慮した空間とする。また、1フロア2看護単位の病棟平面計画とし、面積効率と機能性の向上を図る。
安全性では、災害発生時における災害拠点病院にふさわしい合理的かつ安全な構造とし、大地震でも建物の倒壊を防ぎ、避難に十分で安全な構造体とする。
また、災害時には、待合ホールやリハビリ部門を患者収容の緊急対応スペースとして使用し、医療ガス・非常用電源などを配備する。
経済性では、コージェネシステムによる余熱の利用など省エネルギー化、省力化を進め、施設管理・維持費を抑制。外断熱工法を採用し、積雪寒冷地に適した施設とする。
ソフト面の充実
ソフト面(体制など)の取り組みとしては、現在、医師が手書きをしている処方せんや、職員が作成する検査伝票などを、直接コンピューターに医療情報として入力することで、病院内の情報を一元管理するオーダリングシステムを導入。これにより、患者の待ち時間を短縮するとともに、業務の省略化と簡素化を目指す。
また、病院内で使用する各種物品の管理や供給を一元管理することで、医療備品の在庫を少なくするなど経費の節約につなげる医材管理システムを導入する。
建設概要
【建築概要】
●敷地面積 16,997.72m2 (第1種住居地域)
【建物概要】
●構造 SRC (鉄骨鉄筋コンクリート造)  地下1階、地上6階、塔屋1階
●建築面積 5,717.89m2(新病院)
●延べ床面積 23,954.22m2(新病院)
【駐車場施設】
●構造 RC(鉄筋コンクリート造)、 地上2階 地上スペース
●駐車台数 368台 (身障者用13台を含む)
●自転車置場 117台分、バイク置場 20台分
【病院概要】
●病床数 305床(感染症用4床を含む)
●看護単位 6看護単位
●診療科目 17診療科
(内科、循環器科、消化器科、呼吸器科、小児科、外科、脳神経外科、肛門科、
 整形外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、麻酔科、
 リハビリテーション科、放射線科)
 ※循環器科、消化器科、呼吸器科を新設(神経科は内科に併合)
●想定外来患者数 1,000人/日(平均)

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