〈建設グラフ2000年2月号〉

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大阪市のまちづくり

(仮称)阿倍野区民センター

区民の要望を満たす総合空間の誕生

区民の集まる魅力的な空間へ
平成13年10月30日の完成を目途に、阿倍野区民センターが建設されている。区民センターや図書館、住宅、斎場までもそろった利便性の高い複合施設となる。
同施設は、用途の異なる5つの施設を、要求される機能に応じて物理的・構造的に分節しながらも、要所に取り入れた半屋外・内的な共有空間によって再統合することで、有機的施設を構成している。
また、敷地周辺のインフラと同施設との関係を都市レベルで考慮し、周辺環境とも調和のとれた環境を形成。さらに地域の文化活動の中核にふさわしい十分な機能の確保と同時に、人の集まる魅力的な空間づくりも果たす。
施設構成は、区民センター・図書館・斎場・住宅・自転車駐車場が一体化した複合施設となる。
区民センターは、多目的に利用可能な大ホールと、音楽を主体に考えられた小ホールの二ホール主体の施設で、図書館と合わせ、地域に文化と交流の場を提供することを目的としている。斎場は1,000人規模の式典が可能。自転車駐車場は地下鉄阿倍野駅前駐輪場としても使用され、270台の駐輪が可能である。住宅は、大阪市住宅供給公社の賃貸住宅で53戸。
施設の外観は阿倍野の地域性を生かし、全体的に軽やかでモダンなイメージとしながらも、柔かく暖かい人間的な雰囲気を醸し出すよう考慮した仕上材を使用し、また、狭小なアプローチ空間・広場に潤いを確保するため、立体的に緑地を構成、都市ならではのアメニティー空間を演出している。
建設地は大阪市阿倍野区阿倍野筋4-19-120、敷地面積は10,099.20 m2。規模・構造は鉄骨鉄筋コンクリート造、延べ床面積は19,566.82m2だ。
平野工場建設工事
平野区の原風景を具現化
曲線、局面で清掃工場の威圧感を緩和
大阪市は、老朽化した平野清掃工場の立て替えに着手しているが、単にごみ焼却場として機能的な清掃工場ではなく、平野地区の景観に配慮した外観に仕上げる計画だ。 外観のコンセプトは、かつての平野の原風景である大和川と、広く平らな原野であったこの土地に吹く“風”としており、この地の自然環境のイメージを具現化するものとして、特徴あるスカイラインの屋根を創出している。
また、曲線及び曲面を持たせることで、独特の柔かいイメージが建物のボリューム感を低減する効果をもたらすよう設計されている。また、建物周辺や駐車スペースの上部のみならず、建物屋上にも積極的な緑化を計ることで、環境に優しい施設となるよう工夫されている。
建設地は大阪市平野区瓜破南1丁目3番、敷地面積は28,364.17m2。規模・構造は建築面積15,153.41m2で、延べ床面積は46,778.22m2。鉄骨鉄筋コンクリート造の一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造。完成は平成14年6月30日で、共用開始は平成15年春頃を予定している。

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