建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年10月号〉

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分散している機能を集約し、透明性・客観性の高いより重要な拠点に

最高学府である「大学」の評価と、学位授与申請者に対する「学習成果の学位授与」を行うアカデミックな施設
平成15年度から本格実施へ

文部科学省文教施設部 大学評価・学位授与機構

文部科学省文教施設部は、平成12年4月に改組された機関「大学評価・学位授与機構」の事業規模の拡大や定員の増大を解消し、組織としての機能をより効果的・効率的に発揮できるよう恒久的施設の整備を進めている。
建設地は、東京都小平市学園西町1-29-1の一橋大学小平キャンパス構内。敷地面積10.588.17平方メートル、建築面積平方メートル。構造・規模は、鉄骨鉄筋コンクリート造地上7階地下1階建、延床面積12.934.12平方メートルとなる。完成は、平成15年2月の予定。
同施設は、これまで「学位授与機構」が実施してきた大学、大学院の修了者と同等の水準にあると認められる者に対する学位授与を行う業務に加え、大学等の教育研究活動の質的充実を支援・促進していくための透明性、客観性の高い第三者評価を行うことを目的として平成12年4月に改組された機関で、この改組により急激な事業規模の拡大、定員の増大により、現在3箇所(東京工業大学長津田地区、学術総合センター、筑波大学大塚地区)に分散して業務を行っている実状を解消すると共に、平成15年度から本格的に実施される「大学評価」に向けた整備となる。
敷地は、一橋大学小平キャンパスの一画の約10,000平方メートルで、周辺を閑静な住宅街と、武蔵野の面影を残す緑地帯等で囲まれた穏やかな雰囲気の場所にあることから、計画にあたっては既にとりまとめられている一橋大学小平キャンパス「創造の杜」構想との関連に配慮すると共に、下記の基本方針を基に計画を進めている。

また、同施設は、我が国の最高学府である大学等に対する評価の実施、学位授与申請者に対する「学習成果の評価・学位授与」といったアカデミックな事業を行う機関であり、事業運営を行う上で、多数の外部有識者の参画を得て実施する必要があることや、教官と事務職員が有機的な連携・協力の下に遂行していく必要があるといった特色を有する施設であるため、内部動線やセキュリティにも十分配慮している。
敷地の形状から配置計画を進めるにあたっては、北側の日影、外部動線及び増築スペースの確保などを考慮すると共に、東側住民との距離を最大限確保できる計画としている。また、敷地内には既存樹木が多いことから出来る限り樹木を保存し、武蔵野の森のイメージを継承すると共に、隣接する住宅地側には緩衝帯として緑地を確保するなど、周辺環境に配慮した計画としている。
平面計画として、執務空間は、環境負荷の少ない南・北側に配置し、建物中央にはボイド(ライトコート)を確保することにより、自然光、自然通風を取り込むことができる計画とすると共に、自然環境に接する面を多く確保することにより開放感のある空間をめざしている。また、可動間仕切壁、システム天井を多用することにより、将来の機能変更にも十分対応可能なフレキシビリティーな空間を可能とした。
設備計画として、空調方式は、空冷ヒートポンプ式氷蓄無ユニットの躯体蓄無空調方式を採用。躯体蓄無空調方式は、夜間電力時間帯に空調機から冷風または温風を空調対象室のコンクリート床等に吹きつけることで、躯体を冷却または加熱させて建物自体を蓄熱体として利用し、昼間の空調時には吸熱または放熱することで冷暖房負荷のピークシフト、ピークカット等を行う空調方式で、これにより、ランニングコストの削減に効果が得られる。また、照明設備はタスクアンビエント照明及び照度センサーによる照明制御を採用し、消費電力の削減を実現している。
外観計画として、外壁は、ガラスとルーバーの組み合わせにより透明で軽快なイメージをつくり出し、透明性、客観性の高い開かれた施設を表現すると共に、近隣にも建物のボリューム感を感じさせない軽快なデザインとした。また、ルーバーは横方向に配することで、夏期の直射日光を遮断し、春・秋期には拡散光を取り人れることができ、日射をコントロールする役目も果たしている。
環境に対する配慮としては、基本的に自然光・自然通風・緑などを有効に利用することで、省資源・省エネルギーを図り、環境に対する負荷を軽減する計画としている。
また、太陽光発電・屋上緑化・雨水利用など、自然エネルギーを積極的に利用した設備を備えた計画としている。


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