建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年5月号〉

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【特集:日本道路公団東京事務所】

佐久工事事務所の事業概要

上信越自動車道の4車線化工事が進行中

▲上田ローマン橋完成予想図
佐久工事事務所は、昭和58年に上信越自動車道の内、松井田IC〜小諸IC39.5kmの建設のため設置。以来18年を経て、現在は上信越自動車道の碓氷軽井沢IC〜更埴JCT間の四車線化工事(66.4km)及び中部横断自動車道の新設及び調査(22.7km)を担当している。
路線の概要
上信越自動車道は、群馬県藤岡市で関越自動車道から分岐西進し、長野県更埴市で長野自動車道、新潟県上越市で北陸自動車道と接続する約203kmの高速道路。当該区間のうち、藤岡IC〜佐久IC間は平成5年3月、佐久IC〜小諸IC間は平成7年11月、小諸IC〜更埴JCT間は平成8年11月にそれぞれ開通し、このうち、碓氷軽井沢IC〜更埴JCT間の66.4kmが暫定2車線となっている。この区間での1日当りの交通量は18,000〜22,000台となっているが、休日等の交通集中期には年間約220回の交通渋滞が発生している。
路線は、碓氷軽井沢〜佐久間は妙義荒船佐久国定公園に属する山岳地帯を通過することからトンネル、橋梁の連続する区間となっている。 佐久IC〜上田菅平IC間は、浅間山、湯の丸山麓の丘陸地を切盛土構造で通過し、上田菅平IC〜更埴JCT間は再び太郎山、五里ヶ峯等の山間部をトンネル、切土構造で通過する。
新設事業区間の中部横断自動車道は、静岡県の清水市から長野県佐久市に至る延長約136kmの高速道路。この路線は、上信越自動車道を介して太平洋と日本海を結ぶ広域高速道路ネットワークを形成し、また、北関東自動車道、上信越自動車道と一体となり、車京から放射状に伸びる関越自動車道、東北自動車道及び常磐自動車道と接続。東京から100〜150kmの環状道路をも形成する重要路線である。うち、佐久工事事務所は八千穂IC(仮称)〜佐久JCT(仮称)を担当している。
工事概要
○上信越自動車道の四車線化工事
碓氷軽井沢IC〜佐久IC間(工事延長14.4km)は、4,000m級の八風山トンネルを含む4本のトンネル(延長10,100m)が連続する区間。このうち、開伽流山トンネルを含む3.7kmは平成12年3月に完成し、4車線として供用している。残る3本のトンネルについても貫通しているが、この中で、日暮山トンネル(2,051m)は膨張性泥岩の地質にI期線でも難航したが、U期線においても同様に難航し、平成8年3月に工事に着手し5年半の歳月を経、平成13年12月に貫通した。現在、舗装、施設工事を進めており、平成14年秋には完成予定だが、U期線を暫定2車線で供用しながら、盤ぶくれにより路面に変状が生じているI期綴の改修工事を行った後、4車線化になる。
佐久IC〜上田菅平IC間(工事延長16.4km)は、橋梁工事及び舗装工事を行っている。橋梁では、周辺の地形や風景に調和し景観的に地元から好評を得ている上田ローマン橋を工事中。これは、RC20径間連続アーチ橋で充腹部と開腹部からなる橋梁。これは、構造的にはI期線と大きな違いはないが、U期線は施工性や耐震性を高めるため発泡モルタル(単位体積重量0.8t/立方メートル)を使用する等の改良を加えている。また、ノージョイント構造であるため走行性が良く、騒音、振動が少ない環境にも優れた橋梁だ。なお、当該区間は平成14年度内の4車線化を予定している。
上田菅平IC〜更埴JCT間(工事延長17.1km)は、4,000m級の太郎山トンネル、五里ヶ峯トンネルを含む7本のトンネル(12,400m)が連続する区間で、そのうち、太郎山トンネルを残し6本のトンネルは賞通している。太郎山・五里ヶ峯の両トンネルは、I期線の避難用通路として施工した避難坑を拡幅するもの。供用線で大事故等が発生した場合、避雑用通路としての機能を確保しながら工事を進めている。また、太郎山トンネルでは、約400m区間で破砕泥岩部を通過するため、供用線への影響を考慮しリング支保工を採用して掘削を進めた。トンネル内の換気は、従来のバイパス方式でなく側面式で計画。これは、トンネルを大断面(3車断面)で掘削し、側面に集じん機を設置するもので、トンネルの大断面掘削技術の進歩及び機器のコンパクト化により採用したものだ。
4車線化工事での新技術・新工法として、前述のリング支保工や側面式集じん機の他、舗装は走行性の向上を図るべく高機能舗装とし、トンネル内はコンポジット舗装を採用。また、pc橋梁においてもコスト縮減、メンテナンスの容易さを考慮して外ケーブル工法を採用している。
▲太郎山トンネル
○中部横断自動車道
佐久南IC(仮称)〜佐久JCT (仮称)は施行命令が出ており、設計協議を進めながら、一部、佐久JCT付近(上信越自動車道のジャンクション部)の用地買収も進めている。八千穂IC(仮称)〜佐久南IC(仮称)は整備計画区間として調査を進めている。
◆管内道路網図

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