建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年6月号〉

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新たな医学系教育研究の創造

流動的プロジェクト型研究に対応する施設

熊本大学・(本荘)総合研究棟

熊本大学は、「21世紀に向けた新たな教育研究・医療環境の創造」をテーマに整備している本荘キャンパスの北地区において、医学系の学部・講座・研究施設等の組織の枠を越えた流動的なプロジェクト型研究に対応できる高度で先端的な学術研究を推進する基盤とした「(本荘)総合研究棟」の建設を進めているところである。

建設地は、熊本市本荘1-1-1の熊本大学本荘団地構内。敷地面積107,486平方メートル、建築面積1,340平方メートル。構造・規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地上9階建、延床面積9,830平方メートルとなる。
同施設の主な内容としては、解剖関係諸室、総合研究室、本荘地区RI関係室の3部門を統合した建物であるため、性格の異なる各部門をフロアー別に配置し、1階部分は遺体の搬出入及び外部関係者の出入りを考慮した法医・病理解剖関係諸室を、2階部分は系統解剖諸室を計画している。3〜8階には総合研究室を配置し、ri関係諸室は放射線管理区域に対する一般研究者、学生の安全面、RI関係排気等を考慮して主に9階部分に計画している。

また、3〜8階の総合研究室関係の実験室等は、プロジェクト型研究に対応出来るよう各室の間仕切りは研究実験上必要なものを除き、将来の研究内容の変更にも追随出来るようにフレキシブルに計画。この他、3・8・9階にはゆとりの場として、リフレッシュスペースを設け、研究者及び学生等の交流を深める空間となる。
デザイン的には、同大学の医学教育・附属病院が基本理念とする「高度の医学教育・研究」「地域医学教育の中心的役割」「高度先進医療」をモチーフとして、外装は既存医学部基礎研究棟に合わせてアカデミズム性を示す色調を基本にしており、1階部分を基壇としての御影石貼り、2階以上は磁器質タイル貼りにして彫りの深いディティールとしている。

竣工は、平成15年1月頃の予定で、本荘団地の医学系施設の拠点として期待が持たれている。
現在、同大学本荘キャンパス北地区にある「医学部・附属病院」で進められている再開発整備は、近年の生命医学の進歩はめざましく、医学教育の内容も分子生命学から情報処理まで広汎におよび常に変革を求められていることなどの理由から、同大学の医学部・附属病院においても世界的な視野を持ちつつ、高度先進医療を提供し信頼される医師及び医療関係者の育成と共に医学の進歩に寄与する研究を展開し、さらに地域の医療水準の向上に貢献することを目指して整備を行っているものである。
本荘北地区では“本荘団地再開発計画”に基づき、機能的に関連する医学部基礎研究棟が平成10年に竣工したが、これに引き続いて今回の整備を進めているものである。


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